実習悩み相談室 こんな時、あなたならどう考える?

看護学生にとって自分の看護観を形作る重要な時間が「看護実習」。

この連載は実習での起こったトラブルとその対処方法を紹介します。
いま、この記事を読んでいるあなたならどう考えますか? たくさんの意見の中から自分なりの看護を考えてみましょう。

対患者さん編 CASE3 自立できない患者さんとどう関わればよいのでしょうかゆきだるま(大学3年生)

何でも患者さんの言う事を聞かないとダメなのかな…

私の受け持った患者さんは、がんの手術を控えている患者さんでした。受け持ち前から不安を強く訴えておられ、いつも眉間にしわを寄せている方でした。

その方は、ずっとお琴などの楽器の師匠として生徒さんを教えていらっしゃった方なのですが、私が受け持たせていただいた後は、検査に行くときや診察に行くときも重くもないバッグを「ちょっと持って。はい!」と普通の生活が全て自立している状態であるにもかかわらず、持つのが当然のように渡してきました。

さらに術後に洗髪をしたのですが、ドライヤーで乾かすときに、自分で腕を上げられるのに「ちょっとやって!! 違うじゃない。もぅ、こうやるのよ!」と美容院のように30分以上かけて髪をセットしました。髪の毛を乾かすのも自分でできるのであれば、リハビリだと私は思いますが、どう対応したら良かったのでしょうか。

みなさんもこういう経験はありましたか?

どうやって乗り切ったか

言われたとおりにしました

どう対応していいかわからなかったので、患者さんに言われた通りに対応しました。でもいつも「これで良いのかな…」と思いながら過ごしました。

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みんなのつぶやき

自立の人の援助は難しいですよね。自立の患者さんができるのであれば、やってもらってもかまわないと思います。

私もこういう患者さんに当たったことがあります!弱っている患者さんの言うことだからついつい聞いてあげたくなりますよね…。私も指導者さんに相談して、このまま言いなりじゃいけない!と方向転換しました。

ゆきだるまさんが受け持った患者さんは、不安な気持ちをどのように表現したら良いのか、分からなくなってしまっているのではないでしょうか。患者さんの言いなりになるのではなく、どのような不安を抱えているのか、など、患者さんからお話を伺って、少しでも不安を軽減できるよう、援助していくことも、一つだと思います。

私も似た経験があります。実習で受け持たせていただけるのは患者さんの入院されているわずかな期間なので、受け持ち看護師さんの対応の仕方をみていました。学生だから強く言えない部分もあります。全部患者さんにやってくださいとまではいきませんでしたが、普段の必要なケアをこなしていくなかで少しずつ言えるようになりました。

不安だからこそ、お弟子さんに囲まれて敬われていた自分を保ちたかったのかな、と思います。でもやっぱり自分でできることは自分でやったほうが良いですよね。自分で何でもやることがリハビリにもなるとお伝えするしかないと私は思います。

私は、直ぐに教員や看護師さんに伝えました

実習お疲れ様でした。大変でしたね。毎日「これで良かったのかな…」とスッキリしない、そして矛盾に感じた実習期間だったでしょう。

患者さんへの日常生活援助は、疾患、病態、年齢、その他の状況によって異なりますが、すべてにおいて、その時々で変わってきますし、変えて行かなければいけません。

ゆきだるまさんはきっと優しいんでしょうね。そして「これじゃいけない、矛盾している」と思っても、「患者さんのおっしゃることだから…」「喜んでもらえるなら…」と言われるがまま、頼まれるまま、やってあげてしまったのでしょう。

でも、ゆきだるまさんが良かれと思ってした事は、援助ではありません。受け持ち患者さんへの「甘やかし」にしかならない事だったと思います。患者さんによっては入院、疾患、これからの不安などのメンタル的な理由や、疾患特有の疼痛、術後やリハビリ等の身体的理由で依存心が高くなる場合があります。それを受け止め、より良い援助を考え与えるのが看護であって、すべてにおいて患者さんの依存に従うのは看護とは言えません。看護師は専属の付き人やお手伝いさんじゃないのですから。
 
私が看護学校に入学して間もない頃、先生がおっしゃっていました。

「看護師は優しい人がなるんじゃないのよ。看護は優しいだけじゃできない。優しさは本当の援助と言えません。優しくするのは誰にでも出来る事。でも、あなたたちは看護師です。優しさと厳しさが時には必要です。だから勉強しなさい。沢山勉強しなさい。その患者さんに何が必要で、何がその患者さんにとって必要なのか学びなさい。それが看護です」。

私はいつも看護師と言う仕事に疲れた時、立ち止まった時、この言葉を思い出しました。

「優しいだけじゃ看護はできない」。その通りなんです。
 
実習中、学生は本当に弱い立場です。確かな事も否定されたり、ちょっとした事で誤解されたり、時に顔色を伺いながら実習をこなさなければなりません。

ビクビクすれば「しっかりしてない」と評価され、強気に出ると「生意気」と言われる。受け持ち患者さんと折り合いが上手く付かない場合、担当を外されてしまう事だってあります。でも自分の思った事、感じた事、悩んだ事を1人で抱え込まず、チームメイトや、担当の指導者、先生に相談する事も大切な実習のひとつですよ。

これからの実習では、時に厳しく、でも優しさももちろん持って、患者さん寄りにならず、適切な援助方法を考えながら頑張ってくださいね。 応援しています。

プロフィール

ナースいぶき

南国出身。看護学生時代は学費捻出のため、バイトに明け暮れる毎日。 (恥ずかしながら追試が多かった…(^_^;))
就職後、内科、循環器など、数々の科を経験。現在、仮面ライダーにハマっている夫、泣き虫な4歳の息子、おてんばな2歳の娘、おばあちゃん猫(♀)と暮しながら育児とナース、医療ライター業をこなすパワフルアラフォー。

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