回復期・慢性期病院特集

超高齢社会となった日本の高齢化率は28.9%(2022年10月1日現在)に達しており、2065年には約2.6人に1人が65歳以上になるという推計値が出ています(内閣府「令和4年版高齢社会白書」)。
後期高齢者の割合が高まっていること、独居の高齢者や認知症・要介護認定者の数が年々増えていることを考えても、国内の医療・介護ニーズはますます伸びていくでしょう。

加齢はさまざまな疾患のリスク因子であり、複数の疾患を抱えてADLも低下した人々を的確にケアしていく必要があります。また、医療費の抑制や病床数の確保といった観点から政策的に平均在院日数が短縮され、自宅や施設などに戻って医療を受けるケースが増えるという流れは、今後も変わらない見込みです。

医療機能は「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つに区分されていますが、先に述べた背景から、今後は回復期・慢性期の需要がさらに高まっていくことが確実だといえます。
この領域の知見を持った看護師は社会的に不可欠な存在であり、その人材確保に向けた動きが加速するでしょう。

回復期・慢性期病院の特徴と魅力

診療科によって求められる看護が違うように、医療機能によっても看護の特徴が異なってきます。
回復期病棟では在宅復帰に向けて治療やケア、リハビリテーションを提供し、地域に戻る患者さんやご家族をサポートします。多職種で連携しつつ、退院後の生活がスムーズになるよう支えていくためには、想像力や調整力を発揮することが欠かせません。

一方、長期にわたる療養を支える慢性期病棟では、生活習慣病で入退院を繰り返す患者さんもいますが、高齢者や重度の障害を抱える方も少なくありません。
後者の場合は、病院が「生活の場」のようになるケースもあり、患者さんの習慣や性格傾向、背景などを全人的にとらえ、よりQOLを重視した関わりが求められるでしょう。

看護学生が入職先を検討するとき、「まずは急性期から」と考えることが多いですが、自分の看護観にマッチする領域からキャリアをスタートするほうが看護本来のやりがいを感じやすいということもあります。
回復期・慢性期に少しでも魅かれるものがあるなら、ぜひ前向きに考えて選択肢に入れてみてください。