- 所在地:栃木県
- 病床数:1132床
- 看護師数:1465名
当院の魅力は他施設より高い職員満足度です。特に、働きやすい職場環境、充実した教育制度、満足の高い福利厚生が自慢です。
医療・看護DX特集
患者中心の看護を掲げる自治医科大学附属病院の看護部では、看護業務の可視化と効率化に向けてITシステムを活用しています。導入の背景や推進の取組み、活用のメリットを話していただきました
「支え合う看護」を実践するため業務を可視化
最初の画面はスタッフ別業務量の棒グラフ。終わった業務は色が変わるなど分かりやすい
当院の看護師は、「JUNIORS(ジュニアス)」と呼ぶ看護業務進捗管理システムを活用しています。ネーミングは、Jichi(Medical) University Nursing Information Online Real-time Systemの頭文字から来ていて、最初に「自治医科大」と付くように、当院独自に医療系システム会社と共同開発したものです。それまで看護師一人ひとりの仕事の進み具合は、主にチームのリーダーが確認していましたが、なかには気を遣って「大丈夫です」としか言わない人もいます。また新卒看護師などは自分の業務がどれだけ残っているか把握できず、そう答えるしかないケースも見受けられました。このような背景から個人の負担を軽くし、チームとして超過勤務を削減するために業務整理を行う必要があることを認識し、JUNIORSを開発・導入しました。
JUNIORSは電子カルテと連動し、患者さんの観察プランやケアプラン、そして教育プランがどれだけ進んでいるかをリアルタイムでわかりやすく表示します。データ入力は電子カルテのみですが、患者さんやご家族の対応を優先して後回しにする人も多く、当初はなかなか活用が進みませんでした。しかし2年前に調査したところ、JUNIORSを使用している病棟とそうでない病棟では、明らかに超過勤務の減り方が異なり、効果の大きさを認識したのです。これ以降、看護部の目標に「JUNIORSの活用」を掲げ、今年度も本格的に取り組んでいます。
具体的には看護部の看護業務委員会がリーダーシップを取り、活用が進む部署の好事例などを共有しました。「私の病棟でもやってみます」という看護師長も増え、現場の意識もだいぶ変わってきたようです。もともと電子カルテのパソコンをワゴンに積んでベッドサイドを回っていますので、患者さん対応が終わるたびにさっと入力するのは、慣れてしまえば何の負担もありません。チームメンバーそれぞれの進捗状況がリアルタイムに「見える化」され、リーダーも残りの業務を誰に振り分けるか、采配がしやすくなりました。手の空いた人が進んで手伝う体制が整ったことにより、新人も助けを呼びやすくなったようです。JUNIORSは助け合いの風土をさらに応援してくれるシステムとして機能しているといえるでしょう。
(看護部 看護部長 福田さん/1988年入職)
チームの絆がさらに深まる。看護師の満足度も向上
患者さん一人ひとりのケアプランが一目で把握できるから今すべきことに集中できる
◆看護部の理念を実践するにあたり、当院では長年、固定チームナーシングを採用しています。1年間固定メンバーで看護実践に取り組むことにより、チーム内で経験年数を問わず助け合い、相談し合えることが大きなメリットです。また、やりたい看護の実現に向けてテーマを決め、チームの中でさらに小集団に分かれて目標達成にむけた活動を行います。例えば「転ばない看護」がテーマなら、1人は関連データを収集し、別の1人は文献を探すなど入職1年目の新人でも必ず役割を任されます。おのずとベテランの先輩が若手に相談する機会も生まれ、「仲間で育て合う」意識がより強くなるので、早くから手応えのある看護ができることが魅力です。実地指導者と教育担当者は各部署に配置していますが、新人をチーム全員で育てる意識のもと、プリセプターを付けないことも大きな特色です。皆で協力し、悩みもやりがいも分かち合わなければ、看護の質は高まりません。JUNIORSの開発・導入の背景には、そんな私たちの強い信念があります。理想のチーム看護に集中するためにJUNIORSを使いこなし、チームの一員として力を発揮してほしいと期待しています。
(福田さん)
◆私の病棟ではもう2年ほどJUNIORSを活用しています。もともと超過勤務が多い病棟ではなかったので、残業時間の削減など数値的にはそれほど劇的な成果は見られませんが、スタッフ間のコミュニケーションは明らかに変わりました。以前から職場の雰囲気そのものは和やかでしたが、職場に慣れない新人や、異動してきたばかりのスタッフが、周囲に「手伝ってほしい」と声を掛けにくいようでした。しかしJUNIORS活用後はチームのメンバーもお互いの業務が見られるので、気になる様子のスタッフがいれば残務をチェックし、「これとこれを手伝います」と先回りしてサポートしています。助け合う風土が、以前にも増してより強固になりました。毎年行う看護職員満足度調査では、「上司の指示なく協力できる」や「支え励まし合う雰囲気がある」などの回答率が高く、また年を追うごとに上昇しています。もちろん「やりがいを感じる」も多く、全体として満足度もかなり高まっています。今後も、スタッフがいきいきと活躍するための一助として、JUNIORSを積極的に活用していきます。
(7B病棟 看護師長 岡田さん/2011年入職)
リアルタイム入力を習慣化。1日1回は全員で確認
JUNIORSによりスタッフ間の風通しがさらに良くなり、コミュニケーションも密に
私が看護師長を務める7B病棟は、泌尿器科と心臓血管外科、整形外科の混合病棟です。JUNIORSを本格的に活用するまでは、チームリーダーが一人ひとりに「今日はどこまで終わったの?」と声を掛け、進捗状況を確認したうえで残務を調整していました。しかし先ほど申し上げたように、目の前の業務に精一杯で、自分の残務量が分からない新人もいます。また忙しいスタッフほどナースステーションになかなか戻らないため、確認することすらままならず、リーダー自身が忙しい場合にはすべてが後回しになってしまうこともありました。そこでまず電子カルテの「その都度入力」を習慣化することを目指しました。
習慣化はなかなか大変でしたが、主任看護師やリーダー看護師にも協力してもらい、根気よくメンバーの意識を高めていきました。現在はほぼリアルタイムの入力ができています。JUNIORSの活用方法は部署により異なりますが、7B病棟では毎日お昼休憩が終わった後、必ず勤務者全員分のデータを印刷して配り、自分の残務を確認しています。チーム全体を見てリーダー看護師が残務を調整しやすくなったのはもとより、手の空いたスタッフが用紙をチェックし、自発的に忙しいスタッフを手伝うようになりました。「本当に助かる」という感謝の声もよく聞いています。
また、JUNIORSにはナースコールの件数も反映されるため、ナースコールが多いスタッフは急患対応から外したり、優先して手伝うなどリーダー看護師がより細やかな調整ができるようになりました。私はJUNIORSの活用促進に力を入れる看護業務委員会のメンバーなので、今後もさらに便利に使えるよう、現行の機能を充分に活かすほか、看護記録との連動など、さらなる進化に向けて要望や提案を行うつもりです。
もちろんJUNIORSを使っているからといって、スタッフ間の声掛けが減ったわけではありません。むしろスムーズに助け合えていることから、さらに距離が縮まり、コミュニケーションがより密に行えるようになりました。看護師長としてはスタッフが協力し合いながら成長していく姿に、喜びとやりがいを感じています。人柄が良く、温かい先輩ばかりなので、新人の皆さんも伸び伸びと働いています!
(岡田さん)
学生のみなさんへメッセージ
看護部では「安心感と温もりのある患者中心の看護を提供します」を理念に、患者さんに寄り添うやさしい看護を目指しています。その実践のカタチがチームで育て合う固定チームナーシング方式です。高度先進医療に対応できる高度な専門実践力と患者さんの生活を支える視点での援助ができる看護職を育成しています。チームメンバーとして役割を見い出し、責任を全うし、頼られる手応えは計りしれません。これから看護師を志す方々が確かなキャリアを踏み出すための最高の環境を整備しています。
問い合わせ先
問い合わせ先・雇用法人名 | 学校法人自治医科大学 附属病院 【担当部署】看護部 【電話番号】0285(58)7203 【E-mail】kangobu@jichi.ac.jp |
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住所 |
329-0498 |
アクセス | ○JR宇都宮線「自治医大駅」下車、徒歩10分または循環バスで5分 ○東北新幹線を利用の場合、東京方面からは「小山駅」、 東北方面からは「宇都宮駅」で下車し、JR宇都宮線に乗り換え |
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