看護師の働き方にはどんな選択肢がある?施設の種類や勤務形態を紹介

看護師の働き方にはどんな選択肢がある?施設の種類や勤務形態を紹介

看護師の働き方は多様化しており、ライフスタイルや志向に合わせてさまざまな選択肢があります。病院だけでなく訪問看護ステーションや介護施設などで働く看護師は多く、勤務形態も日勤のみや夜勤ありなど人それぞれです。

本記事では、働き方に悩む看護学生のみなさんに向けて、看護師の主な勤務先や勤務形態を紹介し、自分に合った働き方を考えるヒントをお伝えします。

1. 多様化する看護師の働き方

従来まで、看護師の働き方は「病院での勤務」が大半を占めていましたが、現在ではさまざまな選択肢が広がっています。訪問看護や介護施設、保育園、企業、行政機関など、多様な職場で看護師が活躍しており、ライフスタイルなどに合わせて柔軟に働ける時代です。

ここでは、多様化している看護師の働き方について解説します。

病院以外も!各施設で活躍する看護師の割合

令和6年「衛生行政報告例(就業医療関係者)」によると、全国で就業している看護師の総数は約136万人です。そのうち約65%が病院で働いていますが、割合は年々やや減少傾向にあります。

看護師の就業先グラフ

その他には、助産所、社会福祉施設、保健所、都道府県、市区町村、事業所、看護師等学校養成所又は研究機関などが含まれます。また、ここ数年の看護師の総数から見た病院で働く看護師の割合は以下のとおりです。

総数 病院 割合
平成30年
(2018年末)
1,218,606 863,402 70.9%
令和2年
(2020年末)
1,280,911 883,715 69.0%
令和4年
(2022年末)
1,311,687 888,858 67.8%
令和6年
(2024年末)
1,363,142 895,944 65.7%

統計からは、看護師の働き方が病院中心から「地域や生活の場」へと広がっていることがわかります。例えば、訪問看護では患者の自宅を訪れて生活に寄り添ったケアをしたり、介護施設では高齢者の暮しを支える役割を担ったりします。

さらに、企業や学校での産業保健・健康教育、保健所での公衆衛生活動など、地域全体の健康を支える分野に進む看護師も増えています。こうした変化は、患者のニーズが「治す医療」から「支える医療」へと移行していることが背景として考えられるでしょう。

「働き方改革」により、労働環境は改善傾向

看護師というと「夜勤があって生活リズムが崩れそう」「長時間労働で休めない」などのイメージを持つ人も少なくありません。実際、交代制勤務や人員不足による負担は課題ですが、国の「働き方改革」によって労働環境は改善の方向に進んでいます。

厚生労働省は医療機関向けに「医師労働時間短縮計画作成ガイドライン」を提示し、時間外労働の上限規制や、タスク・シフト/シェアの推進を打ち出しています。

また、日本看護協会も「就業継続が可能な看護職の働き方の提案」を公表し、短時間勤務や夜勤負担の軽減、子育て・介護との両立に関する支援策を挙げています。

その結果、シフトの多様化、ワークライフバランスを重視した勤務形態など、看護師の働きやすさは改善傾向にあり、これから就職を考える人にとっても選択肢が広がっている状況です。

2. 【看護師の勤務先】働き方の選択肢

看護師の勤務先は病院に限らず、訪問看護や介護施設、保育園・学校、企業、保健所など多岐にわたります。それぞれの職場環境や役割を理解することで、就職活動・将来のキャリア形成を考えるうえで大いに役立ちます。

病院

病院は看護師の代表的な勤務先であり、教育体制やキャリア支援が比較的整っている点が魅力です。また、大学病院、民間病院、公立病院、公的病院、医院・クリニックといった多様な形態があり、幅広い役割を担うため診療科ごとに専門性を高めやすいといえます。

大学病院

大学病院は高度医療や研究の拠点として位置付けられており、専門的な医療技術に触れる機会が豊富です。新人教育プログラムや専門・認定看護師の育成制度も整備されていることが多く、キャリアアップを目指す看護師にとって効果的な選択肢の1つとなります。

さらに、研究活動や臨床試験への参加を通じて、学術的視点を養えるのも特徴です。ただし、緊急対応や高度医療を担うことから、高い専門性と強い責任感が求められる職場でもあります。

民間病院

民間病院は規模や診療内容に幅があり、地域密着型から高度急性期医療を行う病院までさまざまです。例えば、地域密着型の中小病院では患者と近い距離で関われる一方、大規模な総合病院では幅広い診療科での臨床経験が積めます。

なお、教育体制や福利厚生に差があるケースも多いため、病院ごとの経営状態で待遇と勤務環境に差が出やすい点を把握しておくのが大切です。求人票・現地見学・先輩看護師の話などを通じて、どのくらい教育や研修制度が整っているのかを確かめましょう。

公立病院(都道府県市区町村組合)

公立病院は地域の中核を担う病院として、その地域で最も多くの診療科や手当・福利厚生制度を備えていることが多く、看護師の身分は地方公務員であるため安定性が高い勤務先です。

救急・災害医療や感染症対策など、地域全体の医療ニーズへの対応に加え、経営状態に影響されない側面からも雇用条件が安定しています。また、地域の保健所や行政機関との連携によって、看護師として行政への理解と地域医療への貢献度を高めることも可能です。

公的病院(国家公務員、独立行政法人、赤十字等)

国公立の病院以外、国立病院機構、労災病院、赤十字病院などの公的医療機関は、全国規模で統一的な人事制度や教育システムを持っており、広域的にキャリアを展開できるのが強みです。

公的基準に準じた待遇や研修制度が設けられているため、安定性と教育環境の双方を備えていることが多いです。一方、組織としての規律や制度が厳格なため、柔軟性を求める人はやや制約を感じやすい可能性があります。

医院・クリニック

医院やクリニックは外来診療が中心で、日勤主体の勤務形態が一般的です。夜勤が少なく、比較的ワークライフバランスを取りやすいです。そして、慢性疾患の管理や予防医療に関わることが多いのも特徴で、患者と近い距離で長期的な関係性を築けます。

ただし、基本的に少人数体制であるため看護師一人ひとりの業務範囲が広く、その分負担も大きくなりやすいです。また、入院対応を伴わないことにより、重症患者や急変対応に関する経験が限られ、専門性を高めたい人には物足りない可能性があります。

訪問看護ステーション

訪問看護は、在宅療養を行う患者や高齢者の生活環境に寄り添った看護を提供します。医師・リハビリ職と連携しながら利用者の生活全般を支えるため、コミュニケーション力や判断力が重視されやすいです。

病棟とは異なり、多岐にわたるスキルが求められます。厚生労働省の「看護職員の確保を巡る状況」報告では、訪問看護ステーションの求人倍率が最も高く3.22倍であり、訪問看護を含む人材確保が困難な状況によって、今後も看護職員の需要が増えると推測されています。

介護施設

介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどで働く看護師は、高齢者の健康管理・生活支援を行います。急性期の処置よりも慢性的な健康管理や医療的ケアが中心であり、長期的な関わりを通じて利用者・家族と信頼関係を築けるのが特徴です。

介護施設は日勤の勤務形態がほとんどですが、夜勤やオンコール体制を敷いている施設も存在します。さらに、近年では施設によって医療依存度の高い利用者が増えており、医療ケアの役割が拡大していることから、介護・医療両方の知識が求められる傾向にあります。

保育園・幼稚園・学校

保育園や幼稚園、学校で勤務する看護師は、子供の健康管理と保健指導、保護者への健康相談を担当します。保育園・幼稚園では、園児の体調管理や応急処置に加え、感染症予防、アレルギーを持つ子供の食事管理などが主な業務です。

学校看護師は、医療的ケアが必要な児童生徒のサポートを目的に配置され、臨床経験を教育現場に活かすような業務が中心となります。また、養護教諭免許を取得し、学校教育法に基づいた役割を担う養護教諭を目指すといったキャリア形成も考えられます。

企業

企業で働く看護師は「産業看護師」と呼ばれ、従業員の健康維持と労働環境の改善に携わります。業務内容は、健康診断の実施・事後フォロー、過重労働者への面談、メンタルヘルス対策、職場巡視による衛生管理などが中心です。

厚生労働省が定める労働安全衛生法では、一定の規模以上の会社に健康管理を行う体制を整えることが義務付けられており、そこに看護師が関わっています。日中の勤務が中心であるため、生活リズムを整えやすいのも特徴です。

なお、「産業看護師」と「産業保健師」は異なり、「産業保健師」として働くには「保健師国家試験」を受けて「保健師免許」を取得する必要があります。

保健所

保健所で働く看護師は、地域全体の健康を支える公衆衛生の専門職として活動します。感染症対策や母子健康、高齢者の健康管理、難病・精神保健に関する相談対応など、個人の治療よりも「地域住民の生活と健康」を支えるのが特徴です。

保健所は地域保健法に基づいて、都道府県や政令指定都市などに設置されており、配置される看護師は行政職員として採用されます。そのため、安定した勤務条件の中で、地域全体の健康づくりに長く関わることができるのが大きな魅力です。

3.【看護師の勤務形態】働き方の選択肢

看護師の働き方は、どの勤務形態を選ぶかも重要です。勤務時間のパターンによって、生活リズム・健康・収入・キャリア形成を左右するため、事前に意識しておくと安心です。ここでは、看護師における代表的な3つの勤務形態を解説します。

日勤のみ

日勤のみは、朝から夕方まで働き、夜勤がない勤務形態です。外来、クリニック、健診センター、訪問看護ステーションなどで多く導入されています。夜勤がない分、生活リズムを崩しにくいため、心身の負担が軽減されやすいのが特徴です。

ただし、ワークライフバランスを整えやすい反面、病棟勤務に比べると夜勤手当がないことから、収入は低めになる傾向があります。

特に、新卒時は夜勤を経験することで急変対応や入院患者の継続的なケアを学ぶ機会が多いため、日勤だけでは経験が偏る点を考慮しなければなりません。

交代制(夜勤あり)

交代制勤務は、病院や施設で24時間体制を維持するための代表的な働き方です。日勤と夜勤を交互に担当することで、患者の24時間体制での見守りをはじめ、幅広い時間帯ケアに関われます。

夜勤がある分、手当が加算されて収入が増え、急性期医療などでも学びが多いですが、体力的な負担や生活リズムの乱れが課題として挙げられます。夜勤ありの交代制勤務は、2交代制・3交代制・夜勤専従といった形が一般的です。

2交代制

2交代制は、基本的に日勤と夜勤(夜間)という2つのシフトが交互に回る方式で、夜勤時間が16時間前後と長めのケースが多いです。しかし、夜勤回数は比較的少なく、明けと休みを組み合わせて連休のように活用できるのがメリットといえます。

体力的には負担が大きいものの、まとめてしっかりと休みたい人に適した働き方です。夜勤中は患者の急変に対応したり、看護の計画を立てたりします。多くの大学病院や大規模病院で採用されており、学生が病院実習で経験するケースも少なくありません。

3交代制

3交代制は「日勤」「準夜勤」「深夜勤」に分かれており、1回の勤務は8時間前後と比較的短めです。1回の勤務負担が軽い一方、短期間でシフトが切り替わるため、人によっては生活リズムを維持するのが難しいと感じることがあるでしょう。

なお、深夜勤は体調管理に工夫が必要ですが、夜勤時間が短い分、体力に自信がない人でも働きやすいと考えられます。また、3交代制の勤務では、通勤にかかる負担を抑えるために、なるべく自宅と就業先の距離を短くできるように検討することが大事です。

夜勤専従

夜勤専従は夜勤だけを担当する勤務形態であり、夜勤手当によって高い収入に期待できるのがメリットです。育児や昼間の自由時間を確保したい人が選ぶ場合もありますが、夜間はスタッフが少ないことから突発的な対応・判断を1人で担う場面が多くなります。

そのため、一定の臨床経験を積んだ後に選ばれるケースが多いです。夜勤専従看護師の業務負担は決して軽くはないですが、連休が取りやすかったり職場の人間関係におけるストレスを抱えにくかったりなど、日勤看護師にはない利点もあります。

4.【看護師としての志向】働き方の選択肢

看護師のキャリアは病院で働くだけにとどまらず、志向やライフスタイルに合わせて多様な選択肢があります。どの道が正解というものではなく、患者との関わり方、スキルアップの方向性、生活とのバランス、収入面など重視したいポイントで選べる働き方が変わります。

ここでは、いくつかの代表的な志向に応じた働き方の例を解説します。

患者さんとじっくり関わりたい

「一人ひとりと深く関わりたい」という志向を持つ人には、訪問看護や介護施設、療養型病院といった場所が候補になります。

病棟のように短期間で入退院を繰り返す患者よりも、長期にわたって同じ人を継続的にサポートできる環境では、信頼関係を築きながら看護を行うやりがいが得られます。

急性期病院のようなスピード感のある現場とは異なり、患者・家族の生活背景に深く寄り添えるのが特徴です。

高度なスキルを身に付けたい

専門性の高いスキルを磨きたい人は、大学病院や急性期病院のICU・救急外来などが代表的な候補です。最新の医療技術や高度医療機器に触れる機会が多く、認定看護師・専門看護師を目指すためにさまざまな経験を積むこともできます。

さらに、研究・教育に携わる機会もあり、将来的にキャリアの幅を広げたい人にとって選択肢の1つとなります。ただし、業務のハードさや勤務時間の不規則さを伴うため、自分の体力・ライフスタイルとの兼ね合いを検討することが大事です。

仕事とプライベートを両立したい

「自分のプライベートな時間も大切にしたい」という人は、日勤のみのクリニックや健診センター、企業の健康管理室などが候補になります。夜勤がなく生活リズムを整えやすいことから、仕事とプライベートを両立しながらのんびり働きたい人に向いている働き方です。

また、勤務日数・時間が比較的安定しているため、学び直しやキャリアアップの時間を確保したい人にも適しています。なお、急性期病院と比べると幅広い症例を経験できる機会が少なく、実践での経験が積みにくいことも考慮しなければなりません。

収入面を重視したい

「しっかり稼ぎたい」という志向を持つ人には、夜勤を含む交代制勤務や将来的に夜勤専従といった働き方がおすすめです。給与に夜勤手当や時間外手当が加算されるため、日勤のみよりも収入が高くなりやすいのが特徴です。

そして、ICU、訪問看護ステーション、美容クリニックなど、一部の分野では経験・スキルに応じて高収入が期待できる職場もあります。ただし、高収入の分だけ体力的・精神的な負担を伴うことが多いため、長期的に働けるかどうかを見極めるのが重要です。

5.働き方の選択に悩む看護学生へのアドバイス

看護師のキャリアは、勤務先と勤務形態によって大きく異なるため、学生時代から自分の志向や希望する生活スタイルに合った働き方を考えておくことが大切です。まずは、病院や医療機関の情報を幅広く集め、実際の現場を知るようにしましょう。

ここでは、看護師の進路を検討する際に押さえておきたいポイントについて解説します。

病院の情報を収集しよう

最初のステップは、病院ごとの特徴や取り組みを知ることです。病院の採用サイトの情報に加え、マイナビ看護学生も活用して最新の案内を受け取るのがおすすめです。

登録・エントリーすると、各病院の教育制度や研修内容、福利厚生など、働き方につながるポイントを確認できます。特に、新人教育とサポート体制は安心してキャリアをスタートさせるうえで重要な要素となるため、早めに比較しておくと良いでしょう。

病院のことを深く知ろう

情報を集めただけでは、実際の雰囲気や働きやすさまではわかりません。そこで、病院の説明会・見学会に参加するのがおすすめです。実際に現場を訪れることで、スタッフ同士のコミュニケーションにおける雰囲気、教育体制が自分に合いそうかどうかを体験できます。

また、先輩看護師から直接話を聞ける場でもあり、将来働く姿を具体的にイメージする手助けになります。体験によって感じた印象は、自分に合った環境を選ぶ際の大きな判断材料となるため、気になる病院があれば積極的に参加してみましょう。

6.まとめ

看護師の働き方は、勤務先・勤務形態・自分の志向によって大きく変わります。看護学生の段階で「どの道を選ぶのが正解か」を決める必要はありません。大切なのは、情報を集めて現場を知り、自分に合いそうな働き方を少しずつ見つけていくことです。

説明会や見学会に参加したり、実際に働く先輩の声を聞いたりすることで、将来のイメージが自然と形作られていくでしょう。看護師としてのキャリアは1度決めたら終わりではなく、ライフステージや経験に応じて変えていくことも可能です。

学生時代には、「自分がどのような働き方がしたいのか」を意識しながら、一歩ずつ視野を広げていくのがおすすめです。まずはマイナビ看護学生に登録し、説明会・セミナーへの参加や病院検索を行ってみましょう。