認定看護師になるには?必要な条件や看護分野の選択肢、注意点を解説

認定看護師になるには?必要な条件や看護分野の選択肢、注意点を解説

認定看護師になるには、通算5年以上の実務経験と認定看護師教育機関での課程修了を経て、認定審査に合格する必要があります。認定看護師を目指す場合は、認定資格制度をよく理解しておくことが大切です。

本記事では、認定看護師になるために必要な条件、実務経験や教育機関について、また資格取得を目指すうえでの注意点や看護学生の方々が意識したいポイントについても、わかりやすく解説します。

※2025年12月11日時点の情報です。最新の資格要件については、各公式サイトをご参照ください。

1.認定看護師になるにはなにが必要?

認定看護師になるには、看護師免許に加え、一定の実務経験と認定看護師教育機関で学ぶことが必要です。その後、日本看護協会の認定審査に合格することで認定看護師になることができます。これらの要件について、以下で詳しく見ていきましょう。

通算5年以上の実務経験

まず必要となるのが、看護師としての5年以上の実務経験(実務研修)です。そのうち3年以上は自身が目指す認定看護分野で実務経験を積まなければなりません。認定看護分野の実務経験が積める施設は、日本看護協会のホームページから確認できます。

なお、「通算」で5年以上なので、転職や休職などでブランクが発生したり、勤務施設が変わったりしても、その前後の期間を合算することが可能です。

認定看護師教育機関での課程修了

実務経験を積んだあとは、認定看護師教育機関で所定の課程を修了する必要があります。現在開講している課程はA課程(2026年度で教育終了)とB課程の2つがあり、A課程の場合は600時間以上(6ヶ月〜1年)、B課程の場合は800時間程度+特定行為研修の実習(1年以内)のカリキュラムです。

2025年度の時点で、認定看護師教育機関の数は全部で46機関ありますが、開講している教育課程の種類はそれぞれ異なります。そのため、目指す認定看護分野の課程がある教育機関を選ばなければなりません。

授業は平日の昼間に行われることがほとんどで、一度仕事を休職するか、長期出張扱いにしてもらうケースが多いようです。ただし、なかには週末に授業を行っている教育機関もあります。

認定審査への申請・合格

上記2つの要件を満たせば、認定審査を受けることができます。日本看護協会の審査申請システム(Web申請)を通して申請でき、筆記試験によって合否が判定されます。試験の概要は以下のとおりです。

実施日程 年1回(第33回は2025年10月8日)
試験方法 筆記試験(マークシート方式・四肢択一)
試験時間 100分
出題範囲・配点 共通科目を含めた各認定看護分野の教育基準カリキュラム
・客観式一般問題:20問(50点)
・客観式状況設定問題:20問(100点)
合格基準 150点満点中105点以上

合否は審査申請システムにて発表され、合格者は登録手続きを行って認定看護師認定証の交付を受ける必要があります。なお、試験料(審査料)と認定料はともに51,700円(税込)です。

2.認定看護分野の実務経験について

認定看護師になるための最初のステップは、実務経験を積むことです。その中でも、目指す認定看護分野での3年以上の経験が必要になることが重要なポイントとなります。2019年の制度改正でこの認定看護分野にも変更があったため、よく確認しておきましょう。

認定看護分野一覧

現在は制度改正に伴う新制度への移行期間であるため、従来(A課程)の分野と新制度(B課程)の分野の両方で実務研修が行われています。以下が分野の一覧です。

A課程 B課程 求められる知識・技術の例
感染管理 感染管理 ・感染予防・管理システムの構築
・医療関連感染サーベイランス
がん放射線療法看護 がん放射線療法看護 ・症状マネジメントとセルフケア支援
・放射線防護策、安全管理技術
がん化学療法看護 がん薬物療法看護 ・投与管理とリスクマネジメント
・がん化学療法(がん薬物療法)に伴う症状緩和
・患者・家族の意思決定支援と療養生活支援
緩和ケア 緩和ケア ・痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題のアセスメント
・家族の喪失や悲嘆への対応
がん性疼痛看護
救急看護 クリティカルケア ・急性かつ重篤な患者の全身管理
・安全・安楽に配慮した早期回復支援
集中ケア
慢性呼吸器疾患看護 呼吸器疾患看護 ・呼吸症状のモニタリングと評価、重症化予防
・療養生活行動支援、生活調整
訪問看護 在宅ケア ・生活の場におけるQOLの維持・向上とセルフケア支援
・気管カニューレ、胃ろうカテーテル等に関する知識・技術
手術看護 手術看護 ・手術侵襲及びそれによる苦痛を最小限に留めるためのケア
・手術時の患者の病態判断、対応
小児救急看護 小児プライマリケア ・重篤な状態にある児に対する重症化予防
・外来及び地域等におけるトリアージ
・不適切な養育または虐待の予防、早期発見
新生児集中ケア 新生児集中ケア ・ハイリスク新生児の全身管理
・障害なき成育のための個別ケア
・家族形成支援
慢性心不全看護 心不全看護 ・心不全症状のモニタリングと評価、重症化予防
・療養生活行動支援、生活調整
透析看護 腎不全看護 ・疾病の進展予防、合併症の早期発見と症状マネジメント、セルフケア支援
・至適透析の実現に向けた支援
・自己決定の支援
不妊症看護 生殖看護 ・妊孕性の評価
・意思決定支援
・患者・家族の安全・安楽・納得を守る看護実践とケア調整
摂食・嚥下障害看護 摂食嚥下障害看護 ・摂食嚥下機能とその障害の評価
・評価結果に基づく援助・訓練方法の選択
・増悪防止に向けたリスク管理
糖尿病看護 糖尿病看護 ・血糖パターンマネジメント
・透析予防、療養生活支援
・予防的フットケア
乳がん看護 乳がん看護 ・周手術期ケアと意思決定支援
・治療に伴う女性性と家族支援
・合併症の予防・管理
認知症看護 認知症看護 ・症状マネジメント及び生活・療養環境の調整
・家族への心理的・社会的支援
脳卒中リハビリテーション看護 脳卒中看護 ・重篤化回避のためのモニタリングとケア
・早期離床と生活の再構築に向けた支援
皮膚・排泄ケア 皮膚・排泄ケア ・褥瘡のトータルマネジメント
・ストーマケア
・排泄管理とスキンケア

実務研修では、教育課程入学時に望まれる勤務状況として研修内容の基準も決められています。分野ごとにこれらの基準に基づいた研修が行われることになります。実務研修を実施している施設については、日本看護協会のウェブサイトで確認することが可能です。

認定看護師制度の改正による分野の変更

A課程からB課程への変更に伴う大きな違いは、分野の数が21分野から19分野に変更されたこと、分野名も一部変更されていることです。変更点を以下にまとめました。

【分野の統合】

  • 「救急看護」「集中ケア」→「クリティカルケア」に統合
  • 「緩和ケア」「がん性疼痛看護」→「緩和ケア」に統合

【分野名の変更】

  • 「がん化学療法看護」→「がん薬物療法看護」
  • 「慢性呼吸器疾患看護」→「呼吸器疾患看護」
  • 「訪問看護」→「在宅ケア」
  • 「小児救急看護」→「小児プライマリケア」
  • 「慢性心不全看護」→「心不全看護」
  • 「透析看護」→「腎不全看護」
  • 「不妊症看護」→「生殖看護」
  • 「摂食・嚥下障害看護」→「摂食嚥下障害看護」
  • 「脳卒中リハビリテーション看護」→「脳卒中看護」

分野については、「救急看護」と「集中ケア」が統合されて「クリティカルケア」に、「緩和ケア」と「がん性疼痛看護」が統合されて「緩和ケア」になりました。加えて、訪問看護や透析看護などの9分野の分野名が変更されています。

また、各分野における必要な知識・技術についても、医療ニーズの変化などに合わせて変更が加えられています。

3.認定看護師教育機関について

各認定看護分野での経験を含めて実務経験を積んだあとは、認定看護師教育機関で所定の課程を学びます。看護系大学附属の教育センターや看護協会などで認定看護師教育が行われています。

教育機関の数と種類

2025年度の時点で、認定看護師教育課程を開講している機関は全部で46機関です。内訳は以下のとおりです。

  • A課程のみ開講:8カ所
  • B課程のみ開講:33カ所
  • A課程とB課程の両方を開講:5カ所

また、分野別の教育機関の数を見ると、以下のようになっています。

感染管理
・A課程:4
・B課程:21
がん放射線療法看護
・A課程:1
・B課程:2
がん薬物療法看護
・B課程:4
緩和ケア
・A課程:2
・B課程:4
集中ケア:1
救急看護:1
・クリティカルケア:4
呼吸器疾患看護
・B課程:1
・訪問看護:1
在宅ケア:1
手術看護
・B課程:2
小児プライマリケア
・B課程:1
新生児集中ケア
・B課程:1
・慢性心不全看護:1
・心不全看護:1
腎不全看護
・B課程:1
生殖看護
・B課程:1
摂食嚥下障害看護
・B課程:4
糖尿病看護
・B課程:1
乳がん看護
・B課程:1
認知症看護
・A課程:4
・B課程:10
脳卒中リハビリテーション看護:1
・脳卒中看護:1
皮膚・排泄ケア
・A課程:1
・B課程:4

これを見ると、分野ごとの教育機関の選択肢は比較的少ないことがわかります。旧制度であるA課程は2026年度をもって教育が終了するため、分野によってはA課程はすでに開講していない場合も多いです。また、年度によって休講していることもあるため注意が必要です。

教育機関の詳細については、日本看護協会の検索ページからも検索することができるので、よく確認しておきましょう。

入学要件と費用

認定看護師教育機関への入学要件は、実務経験の要件をクリアしていること、そして入試に合格することです。入試の内容は教育機関によって異なりますが、多くは書類審査や筆記試験、小論文、面接などを組み合わせて合否が判定されます。定員は1機関・1分野あたり15〜30人程度です。

出願受付は10月頃から始まることが多いですが、願書の提出時には、推薦書や勤務証明書、看護事例報告書などの応募書類が必要で、職場で準備してもらったり、作成に時間がかかったりするものもあるため、余裕を持って準備しましょう。

受験料と入学金、受講料・実習費の目安は以下のとおりです。

費用 金額の目安
受験料 5万円程度
入学金 5~10万円程度
授業料・実習料 80~140万円程度

職場によっては受講料の補助といった支援制度を設けている場合もあります。また、日本看護協会にも奨学金制度があるので、金銭的な負担を減らすために確認してみることをおすすめします。

受講内容・方法

認定看護師教育のA課程、B課程それぞれの科目や受講期間、受講方法などについて概要をまとめました。

A課程 B課程
科目 ・共通科目
・分野ごとの専門科目
・共通科目
・分野ごとの専門科目
・特定行為研修区分別科目を1~3区分程度含む
受講期間 6カ月以上1年以内(600時間以上) 1年以内(800時間程度+特定行為研修における実習時間)
教育方式 集合教育 集合教育(eラーニングを含む場合あり)

授業は講義のほか、技術演習やロールプレイ、グループワークなども含まれます。課程の後半では臨地実習も実施され、施設で実際に患者を受け持つことになるでしょう。

B課程で実施される「特定行為研修」とは、経口用気管チューブの位置の調整、経皮的心肺補助装置の操作・管理、インスリンの投与量の調整といった、実践的な理解力・思考力・判断力と高度かつ専門的な知識・技能が特に必要とされる38の診療補助行為に関する研修です。区分は全部で21区分で、分野に合わせた区分別科目が含まれています。

4.認定看護師を目指す際の注意点

ここまで認定看護師のなり方について解説してきましたが、資格取得を目指すにあたって特に注意しておきたい点もあるので覚えておきましょう。

資格を得るまでには時間がかかる

まず、準備を始めてから実際に資格を取得するまでの期間に注意が必要です。5年以上の実務経験を積んだあとに教育期間で1年程度学ぶので、少なくとも6年間は見積もっておかなければなりません

また、なかには土日に授業を行う教育機関もあるものの、平日に受講しなければならないケースも多いので、退職や休職をせざるを得ない可能性も高いです。こうした点も含めて、何年も先のことまで頭に入れて行動する必要があります。

A過程からB過程への移行が進んでいる

これまでも何度か触れたように、認定看護師制度は2019年に改正が行われており、従来のA課程から新しいB課程への移行が進んでいます。それに伴い、A課程は2026年度をもって教育終了、2029年度をもって認定審査が終了することに注意しましょう。

これから認定看護師を目指そうとするのであれば、実務経験の期間も考慮しなければならないことから、B課程の認定看護師が対象となるでしょう。

なお、A課程認定看護師資格を取得している場合は、その資格がなくなることはありませんが、特定行為研修を受けて必要な手続きを行うことで、B課程認定看護師になることもできます。受講する特定行為区分に指定はなく、いずれか1区分以上の修了が条件です。

資格取得後は5年ごとの更新が必要

認定看護師の資格有効期間は5年間です。そのため、資格を保持し続けるためには5年ごとの更新が必要となります。

更新審査では、過去5年間に50点以上の自己研鑽等の実績(日本看護協会の申告表に基づく)があることが申請資格となります。申請時には、研修実績及び研究業績等申告表や、研修実績及び研究業績に関する証明資料の提出が求められます。審査料は30,800円(税込)、合格後の認定料は20,900円(税込)です。

なお、資格を一度失効した場合は、再認定審査によって再び認定を受けることができます。その場合は、過去5年間での50点以上の自己研鑽等の実績、もしくは24時間の研修の受講が申請資格です。

5.認定看護師を目指す看護学生が意識したいポイント

将来的に認定看護師になることを検討している看護学生の皆さんは、学生のうちから資格取得に向けて準備をしておくと良いでしょう。具体的に意識したいポイントについて解説します。

携わりたい分野を明確化する

認定看護師には、全部で19の分野があります(B課程の場合)。そのため、ただ漠然と認定看護師の資格を取りたいと考えるのではなく、「どの分野の認定看護師を目指すか」を明確にしておくことをおすすめします。

自分自身の興味・関心から、携わりたい分野について考えておきましょう。また、日本看護協会のウェブサイトでも各分野における知識と技術、教育カリキュラムの基準などが公開されているので、これらを見てみるとイメージが膨らむかもしれません。

認定看護師への適性を考える

看護師がキャリア形成をしていくうえで役立つ資格は、認定看護師以外にも数多くあります。特に、同じ日本看護協会が認定している「専門看護師」は、認定看護師と似ている部分もあり、どちらを目指すか迷う方も多いでしょう。

一般的には、次のような傾向がある方は認定看護師がおすすめであると言われています。

  • 患者に寄り添い、現場での看護実践にこだわりたい
  • 特定の分野に特化した看護スキルを身に付けたい
  • 特定行為などの高いスキルが必要な業務も積極的に行いたい
  • 現場を重視しつつ、後輩などの指導にも携わりたい

ただし、例えば妊娠・出産や新生児のケアに携わりたい場合は、国家資格である助産師免許の取得を目指すなど、ほかの道も考えられます。さまざまな選択肢を考慮してキャリアの方向性を検討しましょう。

資格を取得しやすい職場を選ぶ

認定看護師を目指すのなら、資格の取得に向けた準備がしやすい職場を選ぶのも一つのポイントです。認定看護師や専門看護師などの資格に関しては、資格取得支援制度を設けている職場もあります。

土日に受講できる教育機関を選ぶことなどに加え、職場の支援制度を活用すれば、働きながらの取得も目指しやすくなるでしょう。

また、認定看護分野の実務経験が積める医療機関や、認定看護師が活躍している施設を選ぶのもおすすめです。職場選びの際は、認定看護師への足がかりを掴めるか、資格取得後のキャリアにつながるかといった点を意識しましょう。

6.認定資格取得後の働き方やキャリア

認定看護師の資格を取得したあとは、どのような働き方やキャリアを実現できるのか、気になっている方もいるでしょう。認定看護師になることは、看護師の働き方やキャリアにも大きなプラスとなることが期待できます。

仕事の幅の広がりや給与アップにつながる

認定看護師の資格を取得して専門的な知識と技術を身に付けることで、より高度な対応ができるようになったり、その分野においてできることが増えたりするでしょう。また、意見を求められる場面が増えたり、部署を横断する業務を任されたりするほか、院内研修などの講師を担うこともあるようです。

客観的なスキルの証明にもなるため、人事評価にもつながります。資格の所有が評価され、昇進などによって給料が上がることも多いでしょう。加えて、職場によっては資格手当が支給されることもあります。日本看護協会の調査では、認定看護師に資格手当が支給される施設は41.2%、平均額は月額8,530 円です。

病院勤務以外の選択肢もある

看護師の職場といえば病院やクリニックが代表的ですが、認定看護師の資格を取ると、それ以外の選択肢も選びやすくなるでしょう。さまざまな医療関連の現場のなかから、自身の専門性を生かせる環境に身を置くことができます。

日本看護協会の調査データを見てみると、実際に訪問看護ステーションや看護系の教育研究機関などで働く認定看護師も一定数いることがわかります。ほかの看護師の指導に携わる機会が多いことは一つの特徴で、勉強会やセミナーの開催などにも関われるチャンスがあるでしょう。

資格取得後に転職を検討する際も、認定看護師のスキルの高さは自己アピールの材料となり、採用の可能性が高まると考えられます。

7.まとめ

認定看護師になるには、一定の実務経験を積んだあと認定看護師教育機関で学び、認定審査を受ける必要があります。認定看護師制度では特定の看護分野ごとに認定が行われるため、その分野での実務経験も必要です。

資格取得までにはある程度の期間と費用がかかりますが、取得後はその専門性を生かしてより幅広い仕事ができたり、待遇がアップしたりするケースも多いです。

取得までの負担を少しでも抑えるためには、資格取得支援制度がある職場や認定看護師が活躍している職場を選ぶのもおすすめです。マイナビ看護学生では、病院情報や説明会日程を簡単にチェックできます。ぜひ登録して、合同説明会や就職セミナーで情報収集を行い、ご自身に合う就職先を見つけましょう。