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小児科看護師になるには?主な仕事内容や一日の流れ、必要なスキルを解説
小児科看護師は、子どもの健康を守り成長を支える大切な役割を担っています。診療の補助や処置の準備だけでなく、不安を抱える子どもや保護者に寄り添いながらサポートすることも求められます。
本記事では、小児科看護師になりたい看護学生の方々に向けて、小児科看護師の主な仕事内容や一日の流れを紹介します。さらに、必要とされるスキルと高め方についてもわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。
監修者
荒井 麻弥

昭和大学保健医療学部看護学科卒業。大学病院の集中治療室で急性期看護に従事したのち、産業保健師として労働者の健康管理やメンタルヘルス支援に携わる。離島医療や高齢者施設での勤務を経験し、急性期から慢性期、在宅支援、終末期ケアまで幅広い領域を担当。地域特性に応じた支援や多職種連携を重視し、一人ひとりの生活に合わせたケアを心がける。これまでの幅広い臨床経験をもとに、看護師や保健師を目指す方に役立つ情報を発信中。
INDEX
1. 小児科看護師になるには何をすればいい?
小児科看護師になりたいと思ったら、具体的に何をすれば良いのでしょうか。ここでは、まず小児科看護師に必要な資格について解説し、役割や年収についても紹介します。
看護師資格以外に特別な資格は不要
看護師が小児科で働くのに特別な資格は必要ありません。看護師資格を持った方であれば、小児科のある病院に採用されることで誰でも小児科看護師になることができます。
ただし、小児科看護師は子どもの成長や発達に寄り添いながら、家族を含めたサポートを行う必要があるため、一般的な看護師とは異なる専門性が求められます。
小児科看護師の役割
小児科看護師は、子どもの診療補助、不安を和らげる心のケア、成長に応じたサポートなどを担います。また、子どもの治療に付き添う保護者に対するケアも重要な役割です。
小児科は一般的に0~15歳頃までが対象とされていますが、近年は20歳までの診察を推奨する動きもあり、小児科看護師には幅広い年齢に対応するスキルが求められます。
【参照】公益社団法人日本小児科学会「小児科医は子ども達が成人するまで見守ります」
小児科看護師が扱う疾患
小児科では、けがなどの外科的処置を除いて多くの疾患に対応しています。実際、小児科で診られているのは次のような疾患です。
- 感染症:風邪、インフルエンザ、溶連菌感染症、RSウイルスなど
- 呼吸器疾患:気管支炎、肺炎、喘息など
- 消化器疾患:胃腸炎、便秘、食物アレルギーなど
- 皮膚疾患:アトピー性皮膚炎、蕁麻疹など
- 発達・成長に関する問題:発達の遅れ、低身長など
- 予防接種・健康診断
小児科看護師は、これらの疾患に対して医師の診療補助や投薬管理を行い、さらには子どもが安心して治療を受けられるよう温かくサポートします。
また、保護者には日常生活でのケア方法や予防のポイントを伝えるなど、家庭と医療の橋渡し役としても重要な役割を担っています。
小児科看護師の年収
小児科看護師の年収について特化したデータは公表されていませんが、基本的に一般看護師の年収と大きな差はないと考えられます。
厚生労働省のデータから算出した2024年の看護師平均月収・平均年収は次のとおりです。
| 看護師の平均年収 | |
|---|---|
| 平均月収 | 363,500 円 |
| 平均年収 | 5,197,000 円 |
企業規模計(10人以上)
【出典】e-Stat「令和6年賃金構造基本統計調査|職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
なお、日本看護協会の資料によると、2024年の看護師平均初任給(税込給与総額)は以下の金額でした。
| 看護師の平均初任給 | |
|---|---|
| 高卒+3年課程新卒の平均初任給 | 276,127 円 |
| 大卒の平均初任給 | 284,063 円 |
【出典】日本看護協会「2024年 病院看護実態調査 報告書」
2. 小児科看護師として働ける主な職場
小児科看護師として働ける職場は複数あり、それぞれ特徴や必要なスキルが異なります。ここでは、主な5つの職場について解説します。
小児病棟
小児病棟は大学病院や総合病院に設置されていることが多い病棟で、入院が必要な子どもたちを対象に検査や治療のサポート、日常生活の援助など幅広いケアを行います。
長期間入院する子どもも多いため、成長や発達を見守りながら継続的に支えることが求められます。
PICU(小児集中治療室)
PICU(小児集中治療室)は、重症の小児患者を対象に、24時間体制で集中治療を行う専門病棟です。
重篤な症状に対する処置、または手術後の管理が必要な子どもたちをケアし、生命維持や合併症の予防、家族へのサポートを行います。
NICU(新生児集中治療室)
NICU(新生児集中治療室)は、早産や低出生体重、重い病気を抱えた新生児に対して集中治療を行う専門病棟です。
小児科看護師は、新生児の生命維持にかかわる医療的ケアを24時間体制で行い、保護者への説明や育児支援なども担います。
GCU(新生児回復室)
GCU(新生児回復室)とは、NICU(新生児集中治療室)での治療を終えた新生児が、退院に向けて回復や成長のサポートを受けるための病棟です。
ここでは、体温・体重・授乳などの管理を行い、新生児が家庭で過ごせる状態になるまで小児科看護師が見守ります。状況によっては、NICUに入らず直接GCUでケアを行う場合もあります。
小児科クリニック
小児科クリニックは、日常的な病気の診療や健康観察を行う医療機関です。外来による診療や予防接種、健康相談、乳幼児健診などが中心であり、入院施設はほとんどないか限られています。
地域に密着した医療を提供するのが特徴であり、小児科看護師は診察の補助や採血などの医療行為にも多く携わります。
こども病院
小児科ではありませんが、子どもと接することができる職場の一つにこども病院もあります。こども病院は、一般的に新生児から思春期までの子どもを対象にした施設で、先天性心疾患や小児がん、小児慢性疾患など専門性の高い治療を行っています。
施設全体が子どもに配慮した設計になっており、長期入院時の成長を支えるため遊び場や学習支援、心理士によるサポートなども整っているのが特徴です。
3. 小児科看護師の主な仕事内容と1日の流れ
小児科看護師は具体的にどのような仕事を行っているのか、また病棟で働く看護師の一日の流れについても解説します。
小児科看護師の主な仕事内容
小児科看護師の基本的な業務は、診察補助や入院中のケアなど一般看護師と共通する部分も多いですが、子どもが対象であるからこその配慮や役割も求められます。
| 小児科看護師の主な仕事 | 内容 |
|---|---|
| 医師の診療・ 治療の補助 |
聴診の補助、着替えの手伝い、 気をそらせる声掛けなど |
| プレパレーション | 検査や手術を受ける子どもの不安を軽減し、 理解を得るために行う準備・説明 |
| 日常生活の サポート |
入院中の食事、排泄、入浴、 投薬のサポート、見守り |
| 保護者の サポート |
病気や治療内容の説明、家庭でのケア方法指導、 保護者からの相談受付 |
子どもは恐怖を感じやすく、食事や入浴、投薬にもサポートが必要なことが多いため、成人を対象とする一般看護師とは異なる視点を持ちながら業務を行わなければなりません。
病棟で働く小児科看護師の一日の流れ
ここでは、病棟で働く小児科看護師の一日の流れを、日勤と夜勤に分けてそれぞれ紹介します。細かい仕事内容は病院によって異なるため、一例として参考にしてください。
日勤の流れ
日勤で働く小児科看護師の仕事の流れは次のとおりです。
| 時間帯 | 主な仕事内容 |
|---|---|
| 8:00 | 出勤・申し送り (夜勤者から子どもの体調変化や夜間の様子を引き継ぐ) |
| 9:00 |
・体調、バイタルチェック(年齢に合わせて工夫する) ・点滴や内服薬の確認 ・医師の回診同行、診察補助 |
| 10:30 |
・検査・処置の準備と付き添い ・プレパレーション(採血や検査を受ける子どもを安心させる) |
| 12:00 | 昼食準備・食事介助・口腔ケアなど |
| 12:45 | 休憩(交代で昼休憩をとる) |
| 13:00 |
・内服薬の確認・投与 ・子どもの体調観察、カルテ記録 ・保護者からの相談対応、家庭でのケア指導 ・リハビリやプレイルーム活動の付き添い |
| 16:00 |
・夕方のバイタルチェック、点滴交換、巡回 ・退院準備や保護者への指導 |
| 16:30 | 申し送り (夜勤者へ子どもの状態・注意点を引き継ぐ) |
| 17:00 | 日勤業務終了・退勤 |
夜勤の流れ
夜勤で働く小児科看護師の仕事の流れは次のとおりです。
| 時間帯 | 主な仕事内容 |
|---|---|
| 16:30 |
出勤・申し送り (日勤者から子どもの体調や保護者の希望、注意点を引き継ぐ) |
| 17:00 |
・点滴や薬の確認、バイタルチェック ・年齢に合わせた声かけを行う |
| 18:00 |
・夕食の配膳・食事介助 ・内服薬の確認・投与 ・保護者と一緒に食事をサポート |
| 19:00 |
・食後の片付け、口腔ケアの介助 ・病室やプレイルームの環境整備 ・記録入力 |
| 20:00 |
・巡回(子どもの体調・点滴の確認) ・安心して眠れるような声かけやスキンシップ |
| 21:00 |
消灯 ・バイタルチェック、点滴交換、ナースコール対応 ・夜間巡回(夜泣きや不安で眠れない子どもへの対応) ・付き添いの保護者に対するサポート |
| 1:00 |
・休憩(交代で仮眠・仮眠のない病棟もあり) ・巡回やナースコール対応(体調変化や泣き声を逃さないよう注意する) |
| 6:00 |
・起床介助・採血や検温・バイタルチェック ・朝食準備や食事介助 ・日勤者への申し送り準備 |

荒井 麻弥
小児科の1日は、子どもの小さな変化を丁寧に見守りながら、ご家族の不安にも寄り添い、安心して過ごせる療養環境を整えることが大切になります。観察や処置に加え、遊びや声かけを通して信頼関係を築く場面も多く、子どもの気持ちに寄り添う姿勢が欠かせません。業務の幅は広いですが、子どもの笑顔や成長を近くで感じられることが、日々の励みにつながります。
4. 小児科看護師が感じる「やりがい」と「大変なこと」
子どもとかかわる小児科看護師は、一般看護師にはない「やりがい」や「大変なこと」があります。具体的にどのようなことが挙げられるのかを見ていきましょう。
小児科看護師のやりがい
小児科看護師のやりがいは、子どもの成長に寄り添い、回復をサポートできるところにあります。
例えば、入院中に不安で泣いていた子どもが少しずつ笑顔を見せてくれるようになったり、治療を通じて「昨日より元気になった」「できることが増えた」など回復に立ち会えたりしたときは、看護師として大きな喜びを感じられるでしょう。
また、小児科看護師には「プレパレーション」など子どもの心をケアする専門的な知識が求められるため、経験を積むごとにスキルが磨かれていきます。小児科看護師は子どもの成長を見届けられるとともに、自分自身の成長も実感できる仕事といえます。
小児科看護師の大変なこと
上記のようなやりがいがある一方で、小児科看護師の仕事は大変な面も少なくありません。まず、子どもは自分の症状を言葉で正確に伝えることが難しく、看護師は泣き方や表情、仕草などから体調の変化を読み取る必要があります。
また、小児科では子どもと同じく保護者も強い不安を抱えてナーバスになっているため、より丁寧な説明と対応で安心感を与えなければなりません。
さらに、子どもは容態が急変することも多いので、わずかな異変を見逃さず素早く対応する観察力が必要です。このように、小児科看護師は高いスキルと精神的なタフさが求められる仕事でもあります。

荒井 麻弥
小児科では、子どもの小さな成長や変化に喜びを感じられる場面が多くあります。回復が目に見えにくく、ゆっくり進むケースもありますが、子どもやご家族と一緒に確かな一歩を積み重ねていけることが大きなやりがいになります。
その反面、処置を怖がる子どもへの対応や、ご家族の不安を受け止める難しさに悩むこともあるでしょう。そんな時は、先輩看護師やチームの他職種のスタッフと協力してチームで支えることを意識してみてください。
5. 小児科看護師に必要なスキルと高め方
ここでは、小児科看護師に必要なスキルを紹介します。看護学生のみなさんが実践しやすいスキルの高め方も解説しますので、ぜひ取り組んでみてください。
子どもに安心感を与える「コミュニケーション力」
小児科で治療を受ける子どもたちの多くは、体の不調や慣れない環境に不安を抱えているため、子どもの目線に合わせて寄り添い、優しい笑顔と自然な会話を通じて「ここは安心できる場所だ」と感じさせることが大切です。
このようなコミュニケーション力を磨くには、日頃から傾聴の姿勢を持ち、相手が話しやすい雰囲気を作る意識が必要です。また、子ども食堂や読み聞かせのボランティアに参加するなど、積極的に子どもと関わる機会を持つのも良いでしょう。
病状や変化を見逃さない「観察力」
子どもは自分の体調をうまく言葉で表現できないことが多いため、小児科看護師には子どものわずかな変化から病状を察知する「観察力」が求められます。
この力を高めるには、実習の際に「患者さんの全身観察」を意識することが大切です。例えば、バイタルサインだけでなく、顔色や体の動き、声のトーンなども観察記録に残すようにしましょう。
また、日常生活では周囲の人をよく見て、表情や言動から感情の変化を推測する練習をすることも有効です。
長期的な看護に向き合う「忍耐力」
小児科で治療を受ける子どもたちの回復には時間がかかることも多く、すぐに成果が見えない場合があります。成人とは違いスムーズな意思疎通ができないこともあるため、あきらめずに寄り添い続ける「忍耐力」が欠かせません。
看護学生のうちからこの力を養うには、まず一つひとつの課題を確実にこなすことが大切です。苦手なことでも少しずつ継続して取り組み、最後までやり遂げたという達成感を味わいましょう。
また、指導者からの指摘は「学びの機会」ととらえ、落ち込みすぎないようにします。感情をコントロールしながら長期的な視点を持って課題に取り組むことで、困難にも負けない忍耐力を身に付けられるでしょう。

荒井 麻弥
子どもは言葉で状態を伝えにくいため、表情や行動の変化を読み取る力が欠かせません。そのため、丁寧な観察や柔らかなコミュニケーションが重要になります。また、小児科では看護の対象にご家族も含まれるため、家族看護の視点を持つことも大切です。これらのスキルは経験とともに身についていくため、最初から完璧である必要はありません。先輩の関わり方を学んだり、日々のケアを振り返ったりしましょう。
6. まとめ
小児科看護師は、子どもの成長や回復を支える大切な役割を担います。仕事内容は診療補助やプレパレーション、家族へのケアなど幅広く、一日の業務は観察や処置、コミュニケーションを繰り返しながら進みます。
症状をうまく伝えられない子どもの看護は大変ですが、成長を見守り、回復を近くで支えられるのは看護師にとって大きな喜びとなるでしょう。小児科看護師を目指すなら、早いうちから自分に合った職場を知っておくことも大切です。
マイナビ看護学生では、小児科をはじめ幅広い病院や施設の情報をチェックでき、将来の働き方をイメージするのに役立ちます。説明会や見学会の情報も豊富なので、自分らしいキャリアを描くため、まずは気軽に登録してみましょう。










荒井 麻弥
小児科看護師を目指すうえで、「子どもとご家族を支えたい」という気持ちは大きな力になります。基礎的な看護技術とともに、子どもだけでなくご家族の不安にも寄り添えるコミュニケーション力も欠かせません。最初は戸惑う場面もありますが、経験を重ねることで自信がついてきます。子どもの成長や笑顔に立ち会える瞬間は、この仕事ならではの大きなやりがいです。