看護師の離職率はどれくらい?離職理由や長く働ける病院選びのコツを紹介

看護師の離職率はどれくらい?離職理由や長く働ける病院選びのコツを紹介

看護師の離職率は高いイメージを持たれがちですが、実際には全産業の平均と比べて極端に高いわけではありません。しかし、業務量が負担になったり、職場の人間関係に悩んだりして就職後すぐに辞めてしまう方もいます。

長く安心して働くには、病院の制度や環境をしっかり見極めることが大切です。本記事では、これから看護師を目指す学生の方に向けて、看護師の離職率や主な離職理由、長く働ける病院選びのコツを紹介します。

1. 新卒看護師の離職率は8.8%、全体では11.3%

日本看護師協会の調査によると、2023年度に新卒で看護師になった人のうち8.8%が1年以内に離職しています。また、新卒を含む看護師全体の離職率は11.3%でした。

これらの数字は、一般的に高いのでしょうか、それとも低いのでしょうか。

ここからは新卒看護師の離職率推移とともに、離職率の比較対象となる全産業の平均値などを詳しく見ていきましょう。

新卒看護師の離職率は過去2年より改善

新卒看護師の離職率は、過去2年より改善しています。新卒看護師の離職率推移は次のとおりです。

年度 新卒看護師の
離職率
2019年度 8.6%
2020年度 8.2%
2021年度 10.3%
2022年度 10.2%
2023年度 8.8%

感染症流行による業務の負担増を一つの要因として、2021・2022年度には一旦増加したものの、2023年度は一桁台に下がり2019年度の水準まで改善しました。

理由としては、感染症流行が落ち着き、病院での教育体制強化やメンタルサポートの充実、職場環境の見直しなど、新人看護師が安心して働き続けられる環境が整いつつあることが挙げられます。

看護師の離職率は全産業の中でそれほど高くない

厚生労働省の調査によると、2023年の全産業における一般労働者の離職率は12.1%でした。同年の看護師全体の離職率は11.3%ですので、全産業と比較するとそれほど高くないことがわかります。

なお、全産業のうち2023年度の離職率が最も高かったのは「生活関連サービス業・娯楽業」の20.8%、最も低かったのは「複合サービス事業(郵便局や協同組合など)」の6.8%でした。

2. 【項目別】看護師の離職率

ここからは、卒業学校や都道府県、病院の規模などの項目別に、看護師(正規雇用)の離職率を詳しく紹介します。

【卒業学校別】看護師の離職率

卒業学校別の新卒看護師の離職率は次のとおりです。

卒業学校 新卒看護師の
離職率
大学(看護系大学、
大学校)
8.0%
短期大学
(3年課程)
8.1%
看護師学校養成所
(3年課程)
8.1%
看護師学校養成所、
短期大学
(2年課程)
13.7%
その他(5年一貫教育・
高等学校専攻科など)
9.5%

大学を卒業した新卒看護師の離職率は8.0%であるのに対し、2年課程の養成所や短期大学を卒業した場合は13.7%とやや高い値となっています。

【都道府県別】看護師の離職率

新卒看護師と看護師全体の離職率が低い都道府県を、1位から10位までランキング形式でそれぞれ紹介します。

新卒看護師の離職率が低い都道府県 新卒看護師の離職率
1 富山県 2.8%
2 福井県・
沖縄県
4.7%
3 石川県 4.8%
4 徳島県 4.9%
5 秋田県 5.0%
6 滋賀県 5.1%
7 茨城県 5.4%
8 京都府 5.8%
9 北海道 5.9%
10 三重県 6.1%
看護師全体の離職率が低い都道府県 看護師全体の離職率
1 岩手県・
山形県
6.8%
2 秋田県 7.4%
3 富山県 7.6%
4 徳島県 7.9%
5 群馬県・
香川県
8.1%
6 福井県 8.2%
7 島根県 8.4%
8 鳥取県・
佐賀県
8.5%
9 青森県 8.6%
10 長野県 8.8%

なお、新卒看護師の離職率が最も高いのは香川県で15.2%、次いで東京都11.7%、大阪府11.3%という値でした。

また、看護師全体の離職率が最も高いのは東京都で14.2%、次に大阪府13.7%、神奈川県13.6%と続きます。

【設置主体別】看護師の離職率

看護師が働く勤務先の設置主体別に、新卒看護師と看護師全体の離職率を紹介します。

設置主体 新卒看護師の離職率 看護師全体の離職率
国立 7.0% 10.2%
公立 7.7% 7.7%
日本
赤十字社
5.7% 9.4%
済生会 9.3% 11.4%
厚生農業
協同組合
連合会
7.1% 10.0%
その他公的
医療機関
3.0% 7.5%
社会保険
関係団体
21.9% 10.5%
公益社団法人、公益財団法人 10.3% 13.4%
私立学校
法人
7.8% 12.5%
医療法人 10.8% 14.4%
社会福祉
法人
12.1% 12.0%
医療生協 7.3% 11.6%
会社 3.9% 9.0%
その他の
法人
10.9% 11.4%
個人 11.8% 12.1%

新卒・全体でいずれも離職率が低い設置主体としては、その他公的医療機関、公立、日本赤十字社などが挙げられます。

【病床数別】看護師の離職率

病床数別の新卒看護師と看護師全体の離職率は次のとおりです。

病床数 新卒看護師の離職率 看護師全体の離職率
99床
以下
12.1% 12.6%
100〜
199床
12.1% 12.6%
200〜
299床
9.4% 12.2%
300〜
399床
8.8% 11.5%
400〜
499床
8.2% 10.4%
500床
以上
8.0% 10.4%

新卒・全体ともに、病床数が99床以下の小規模な病院よりも、400床以上の大規模な病院の方が離職率は低くなっています。

3.看護師の離職率が低い病院の特徴

上述のデータを見ると、国立や公立の病院は比較的離職率が低い傾向にあります。また、病床数が多い大規模な病院ほど、離職率は低くなっていることもわかります。

採用人数の多い大病院は、教育体制や研修制度が整っていることが多く、安心してじっくり成長していけます。また、給与や福利厚生の安定、業務負担の分散も看護師の離職率低下につながる要因です。

ただし、大病院のシステムが全ての人に合うとは限りません。中には、アットホームな雰囲気の中、幅広い業務に携われる中小病院の方が働きやすいという方もいます。そのため、長く働くためには自分に合った環境を見つけることが大切です。

4. 看護師が離職を考える主な理由

看護師が離職を考える主な理由

看護師はどんなときに辞めたいと思うのでしょうか。ここでは、「2024年病院看護実態調査結果」内の「看護管理者が考える主な退職理由」を参考に、看護師が離職を考える主な理由を5つ紹介します。

人手不足により業務の負担が大きい

看護師の人数が不足している職場では、1人あたりの担当業務が増えて慢性的な忙しさを感じやすくなります。疲労を回復したり、リフレッシュしたりする時間が取れないため、ストレスを抱えたまま業務に取り組まざるを得ない状況になることもあります。

このような過重労働が続けば、肉体的にも精神的にも限界を感じ、離職を考える方も増えてしまうでしょう。

仕事への適性に不安を感じる

看護師の仕事は、患者さんの命や健康に直接かかわるため、責任の重さを強く感じることがあります。特に、経験の浅い新卒看護師は自分のスキルに自信が持てず、「自分は看護師に向いていないのでは」と悩んでしまうかもしれません。

大きなやりがいと社会的意義を感じられる一方で、高い注意力や責任感が求められる場面が多く、精神的な緊張を強く感じることがあるため、離職の動機につながる可能性があります。

職場の人間関係で悩みがある

看護師の仕事はチームで行うことが多く、職場での人間関係が働きやすさに大きく影響します。メンバーとのコミュニケーションがうまくいかない場合、業務の効率が落ちるだけでなく、孤立感やストレスを感じやすくなります。

特に、人間関係の変化が少ない環境では、関係性の固定化により精神的な負担が大きくなることもあるでしょう。その結果、より働きやすい環境を求めて離職を検討するケースが少なくありません。

給与や待遇に不満がある

命に寄り添う看護師の仕事は、常に精神的な緊張と重い責任が伴います。また、長時間の夜勤や患者さんの身体サポートなど、肉体的な負担も大きい仕事です。

これらの仕事内容に対して報酬が見合っていないと感じた場合、不満を抱きやすくなり、離職を検討するきっかけになることがあります。

また、昇給やキャリアアップの機会が限られている場合も、将来への不安につながるため、より条件の良い職場を求めて離職を検討する方が増えると予想されます。

他の職業や職場に興味を持った

看護師として働く中で、他の職業や職場に興味を持つことも離職の理由になります。「医療現場で培ったスキルを別の職業で活かしたい」「医療とは全く異なる職種で社会を支えたい」などの理由で違う業界を目指す方もいるでしょう。

しかし、看護師は一旦離職したとしても復職しやすい職業です。国家資格である看護師の需要は高く、希望すればまたいつでも看護師として働けるという安心感が、他業種への挑戦を考えるきっかけになることもあります。

5.看護師として長く働ける病院選びのコツ

せっかく看護師になるなら、同じ病院でできるだけ長く働きたいという学生のみなさんも多いのではないでしょうか。そこで、ここからは看護師として長く働ける病院選びのコツを4つ紹介します。

自己分析をしっかり行う

看護師が長く働ける病院を選ぶには、自分に合った環境を知ることが欠かせません。そのために有効なのが自己分析です。

例えば、過去の実習で「やりがいを感じた場面」を振り返ったり、「急性期でスキルを磨きたい」「患者さんとじっくり関わりたい」といった希望を整理したりすると、向いている職場が見えやすくなります。

離職率の低い職場を探す

離職率が低い病院は、人間関係が良好で働き方の環境も整っている傾向があるため、安心して長く働ける可能性が高くなります。

もちろん離職率だけで職場の良し悪しをすべて判断することはできませんが、離職率の低さは長く働ける職場を探すうえでの大きな目安になります。

給与だけでなく福利厚生や教育制度にも注目する

病院を選ぶ際は、給与の額面だけで判断せず、福利厚生や教育制度を確認することも大切です。

例えば、住宅手当や育児支援制度が整っていれば、ライフステージが変わっても安心して働き続けられます。また、研修や資格取得支援がある病院なら、スキルアップをしながらキャリアを積むことが可能です。

病院説明会や見学会で職場の雰囲気を確認する

説明会や見学会に参加することで、スタッフ同士の関わり方や現場の空気感を肌で感じられます。どのような仕事をしているかだけでなく、患者さんへの接し方や看護師同士のやり取りを観察すると、その病院の人間関係や働きやすさをイメージしやすくなります。

もしも、先輩に質問できる時間があれば「新人のときに受けたサポート」や「働きやすさを感じる点」などを聞いてみると良いでしょう。

6. まとめ

看護師の離職率は、全産業と比較してそれほど高いわけではありませんが、中には人手不足や人間関係の悩み、待遇への不満などを理由に、就職から1年も経たずに離職してしまう方もいます。

しかし、病院選びを工夫すれば、看護師として長く働き続けることは十分に可能です。学生のうちに自己分析を行い、自分に合う働き方を見極めたり、離職率の低い職場や福利厚生・教育制度の充実度を確認したりすることが大切です。

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