vol.05 ケーススタディ ~患者さん編~ - 動画で解説! 実習マナー&コミュニケーション講座

vol.05 ケーススタディ
~患者さん編~

あなたは将来、どのようなナースになりたいですか?
「な行」ナース? 「か行」ナース?

※「な行」ナース、「か行」ナースとは?
「な行」…なげる。逃げる。抜け駆け。妬む。のん気。
「か行」…考える。気がきく。工夫する。健康。行動力がある。
これはある大学病院の事務長が新人研修で話されたお話です。みなさんは「か行」のナースを目指し、現場力・人間力が備わった素晴らしい看護師になってください。

さまざまなケースから対応を学ぼう

実習中によくあるケースをまとめました。実際の事例を参考にして、解決策を見ていきましょう!

Q
ほかの患者さんの病状を聞かれました
A
「存じ上げない」と伝える

「申し訳ありません。私は存じ上げません」と伝えましょう。「答えられない」という表現は知っているのに答えないという印象を与える可能性もあるので学生の立場ではわからないという姿勢を取るがよいでしょう。

Q
担当の患者さんから病状の詳しい内容を聞かれました
A
「直接先生にお尋ねになった方が・・・」と伝える

患者さんもあなたを信用しているから尋ねてこられたのだと思います。切り捨てるような言い方は避け、「今度、先生に直接お尋ねになった方が良いと思います。先生も○○さんがどのように心配されているのかを知りたいと思います」というようなプラスな言い方をしましょう。 なお、指導者さん、担当医には、「先ほど担当の○○さんから病状について詳しく質問されました。私はお答えできないと伝えましたが、いかがいたしましょうか?」と相談しましょう。

Q
お菓子をあげると言われました
A
「規則でいただけない」と言い、断る

患者さんにとっては可愛い子供や孫のように思われてこのように言ってくださったのでしょう。相手を傷つけないように「ありがとうございます。でも規則で、いただいてはならないことになっているのです。ただ、○○さんのお気持ちはとてもうれしく思います」と伝えましょう。

Q
買い物を頼まれました
A
即答せず、指導者に報告して指示を受ける

「~が欲しいのですね。私では判断できないので少しお待ちください」と伝えましょう。患者さんの病状によっては飲食制限、行動制限をされているかもしれませんので、指導者さんに『患者の○○さんから欲しい物があると買い物を頼まれました。「私では判断できないのでお待ちください」と伝えました。何かご指示はありますでしょうか?』と報告して、指示を受けましょう。

患者さんと話す看護実習生
Q
同じ部屋の患者のいびきがうるさいと言われました。場所を変えていいでしょうか
A
詳細を聞き、指導者に報告して指示を受ける

誰のいびきがうるさいのか? 夜眠れないのか? 別の部屋に移りたいのか?を聞きましょう。「責任者に相談してからお返事いたします」と伝え、指導者さん、担当医に「○号室のAさんから隣のBさんのいびきがうるさくて眠れないので部屋を変えてほしいと言われました。いかがいたしましょうか?」と報告して、指示を受けましょう。
ベッドが空いているように思っても何かの準備をしているかもしれませんので、勝手に判断はしないこと。また、苦情を訴えた患者さんといびきをかく患者さんの状態も報告すべきです。

Q
実習生に対し、なかなか心を開いてくれない患者さんを担当することになりました
A
仕事は基本通りに行い、「寄り添う姿勢」を大切に

患者さんの対応は一言で答えられるものではありませんが、「心を開く・開かない」に関わらず自分の使命を果たし、信頼関係を築くことが大切です。やるべき仕事は基本通りに行いましょう。その時は特に、笑顔、穏やかな声を心掛けてください。
また、患者さんによっては、必要以上の会話は不快かも知れませんが、「寄り添う姿勢」を大切に実習を続けましょう。

Q
寝たきりで気力を失われてしまった患者さんを担当することになりましたが、声の掛け方がわかりません
A
あいさつのあとにコミュニケーションを取ってみる

医療従事者ならばこれからも悩み続ける内容ですね。そもそも「ケア」とは、患者さんの生活、人生が豊かになるように考えて行うこと。ですから「こうしなければならない」とこちらの希望を押し付けることは相応しくありません。その心構えを持って接することが必要です。
人間関係を作るコミュニケーションの基本ですが、相手を察する気持ちで、あいさつのあとに一言続けてみてください。たとえば、「おはようございます。今日はお天気が良いですよ」「梅の花が咲きましたよ」「診察お疲れさまでした」など。返事は求めず、答えを期待しないことです。相手の心にはきちんと届いています。

Q
患者さんに「死にたい」「生きていても良いことはない」というような言葉を言われ、何と返事をすればいいかわかりません
A
否定はしないで返答する

「死にたいと思ったのですね」「生きていても仕方ないと思ったのですね」とオウム返しをしましょう。そして、「なぜそう思うのですか?」「良かったらお話していただけませんか?」と穏やかに聞いてみましょう。
患者さんが話してくれたら、感謝し傾聴してください。もしあなたから何か伝えたいのならば「私は○○さんがいてくれたら嬉しいです」というように言葉で伝えると良いでしょう。

Q
「入院中に持ち物を盗られた」「お金がなくなった」などと言われました
A
冷静に、いつ・どこで・何が・なぜ・どのように・いくら(数量)を確認する(指導者に報告し、指示を受ける)

このような場合、患者さんは慌てており、パニック状態であることが多く、落ち着いていただくためにもあなた自身が冷静に導いてあげる姿勢が大切です。ゆったりと椅子に座って荷物の整理をしていただきながらこちらはなるべく手を出さず見守るようにしましょう(いつもとは違う場所に入れてしまっていた、妄想だったなどという話をよく聞きます)。

患者さんの苦情から学ぼう

患者さんは、どんな場面で「不快」であると感じるのでしょう? 実際の事例を参考にして、解決策を見ていきましょう!

事例1
事例
大声で検査や薬の話をされた。プライバシーを守ってほしい。
解決策
解決策

こちらにとっては特に気にならないことでも患者さんには気になることがある、という事実を理解しましょう。病名はもちろん、検査名、検査部位、薬品名なども様子を見ながら説明をするようにしましょう(周囲に聞こえるような大声では話さない)。ただし、本人はきちんと確認する必要がありますので、耳元で抑えたトーンで話す・○○先生指示の検査・薬は実物を見て確認する、などの工夫を行いましょう。

事例2
事例
髪を頻繁にかきあげていて、不潔な印象を受けた。
解決策
解決策

仕事の前に髪をきちんとまとめましょう。仕事中もすぐに直すようにしましょう。

事例3
事例
廊下から聞こえる話声がうるさい。
解決策
解決策

体調の悪い患者さんにとっては、大きな声だけでもつらく感じる時があります。また笑い声は、「自分が笑われている」「馬鹿にされた」などと誤解を生むこともありますので注意が必要です。廊下で話をする際は、要件を手短に、落ち着いたトーンの声で話しましょう。

事例4
事例
看護師の前では丁寧なのに、実習生同士だと突然学生言葉が連発し、聞いていて不快だった。
解決策
解決策

出勤した時から「仕事」に徹するよう気持ちを入れ替えましょう!また、仕事中は友だちではなく、仕事仲間です。切り替え上手になりましょう。
ついそのようになってしまい、途中で気がついたら「失礼いたしました。気をつけます」と素直に謝罪しましょう。

会話をする看護実習生
事例5
事例
トイレで会った時、視線をそらされて感じが悪かった。
解決策
解決策

トイレ(休憩室)でも気を抜かないこと。休憩中でも、すれ違った方、目が合った方には穏やかに挨拶や会釈をしましょう。

事例6
事例
カーテンを急に開けられて嫌な思いをした。
解決策
解決策

患者さんにとってカーテンは部屋のドアと同じ。開ける前に「○○さん失礼いたします」などと声を掛けましょう。窓際のカーテンも気をつけてください。また、昼間カーテンを閉めている患者さんの部屋で、「暗いから」と急に開けてしまうのもNG。何か理由があるかもしれません。体調を伺うように「どうしましたか」と声掛けをしましょう。

心得ておくべきこと

「患者の患の字」は、「心」に『串』を刺している、痛い、つらい、苦しい状態です。私たちの仕事は串を抜くこと。だからこそ、医療マナーとコミュニケーション能力が必要だと心得ましょう。

思いやりの態度

「指導する」のではなく「寄り添い」ながら回復までのお手伝いをする姿勢が大切です。あくまでも患者さん自身が治す力を持っているからです。

誠意を持つ

患者「診てもらっている」医療従事者「診てあげている」このような上下関係にならないように気をつけましょう。以前、患者さんの前で、「先生、この患者さん帰していいですか?」と言った看護師に苦情がありました(「帰っていただいてもよろしいですか?」などと言うべきですね)。サービス業と位置付けられている面も学んでいきましょう。

礼儀正しく

「親しい」のと「馴れ馴れしい」のは違います。立場を考えた姿勢を持ちましょう。ポイントは言葉遣い。友だち言葉、子供扱いした言葉は不快感を与えます。

医療従事者としての姿勢を大切に

同情ではなく理解と向上が大切です。思い入れが強くなり過ぎて、自分まで引きずられることのないように注意しましょう。つらい思いを理解して、回復へ向かわせる気持ちを大切にしてください。

優先順位を付ける判断力を持つ

担当の患者さんをケアしている時にほかの患者さんが急変、指導者を探しているときにナースコールなど、現場では一度にいろんな事態が起きる可能性があります。
安全に冷静に判断できるようになるためには、つねに優先順位を考える癖をつけましょう。
「大変なときこそ落ちついて!」

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プロフィール

医療マナー講師 栗田 瑠美子

医療マナー・就職マナー担当講師。美容健康アドバイザー。医療系専門学校、ハローワーク委託訓練、病院、薬局、介護施設においてセミナー多数。明日から役立つ研修内容には定評がある。働く女性のための健康アドバイスや健康メイクアップ講座も好評。

医療マナー講師 栗田 瑠美子

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