看護師国家試験攻略法

勉強方法と
スケジュール

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看護師国家試験の対策を含め、どんな勉強でもそうですが、
いくら頑張って取り組んでも、それが間違った方法であれば
結果につながらないことがしばしばあります。特に実習などで忙しい看護学生さんであればこそ、
正しい国試対策の方法を知り、効率的に実力を高めていくことが望まれます。
(監修:ナース・ライセンススクールWAGON 講師代表・髙栁真里子)

まずはこれから!絶対に優先すべきこと

国試対策をスタートするにあたって、最初にすべきは土台作りです。つまり、「人体の構造と機能」の徹底的な理解です。単純に出題数だけを見ると、「人体の構造と機能」は「基礎看護学」や「成人看護学」より少なく、優先順位が低いように感じるかもしれません。しかし、基礎がきちんとできていれば、他の科目の理解もより順調に進み、結果的には合格への「近道」を通ることができるのです。

また、必修問題をクリアするうえでも基礎は大切です。必修問題にはI~IVまで4つの「目標」が設定されていますが、このうち最も出題ボリュームが大きい目標IIIの中に、「人体の構造と機能」が含まれています。つまり、時間がないからといって基礎固めを避けていては、いつまでたっても合格にたどり着けない…という事態になりかねないのです。

合格への近道!

しかし、一方で、「人体の構造と機能」を苦手とする学生さんは非常に多いのが現状です。どのような勉強をすれば、これを克服できるのでしょうか? そもそも、病気という「異常」を理解するためには、その前提となる「正常」な体の状態を正しく理解しておく必要があります。その点を学ぶのが、「人体の構造と機能」というわけです。

そこでオススメするのは、自分の日常的な生活や行動に置き換えて考えるクセをつけること。例えば、「食べる」「排泄する」といった日常的な行動をするときに、自分の体の中では何が起こっているのか想像してみましょう。また、自分と患者さんを比べたときの違いを、「なぜこのような違いが起きるのだろう?」と疑問を持ってとらえることで、より深く「人体の構造と機能」を学んでいくことができます。

過去問題集はいつ、どう使うのがベスト?

過去問題集は、過去5年分を目安に取り組み、間違った問題を解き直していくのが基本です。ここで大切なのは、問題の難易度別に取り組み方を変えること。まずは、過去問題集に掲載されている正答率をチェックしてみましょう。正答率が70%以上と高い問題は、難易度が低く基礎的なものです。このレベルの問題で確実に得点することが、看護師国試においては非常に重要です。逆に、正答率が30%以下と低く、難易度が高い問題は、優先的に取り組むべきではありません。まずは、「皆が解けている問題を確実に解く」ことを最優先します。応用問題や難易度の高い問題については、それができてから手をつけるようにしましょう。

過去問題集を購入する時期は、学校によっても異なります。早い場合は、1年生の時点で購入し、授業で学んだことがどのように看護師国試で出題されているか適宜チェックできる環境を整えているようです。知識が新鮮なうちに実際に出題された問題に触れることで、試験のレベルを知り、効果的に勉強を進めることができるでしょう。もちろん、いきなり1年分を通して解くのは難しいでしょうが、折に触れて目にする程度でも十分に効果的です。「入学したばかりで過去問なんて…」と臆することなく、学校からアナウンスがない場合も自ら早めに入手するのがベストです。

一方、多くのケースでは、3年生になってから過去問題集を購入します。これは、ちょうど実習が始まる時期と重なります。そこで、実習で経験した科について、過去問を解くという方法も効果的です。小児科の実習をしたら小児看護学の問題を解く、精神科の実習をしたら精神看護学の問題を解くといった具合です。体験したことは頭に残りやすいうえ、実習の予習・復習としても役に立つため、とても有効な勉強方法だといえるでしょう。ただし、実習は体力的にも精神的にもハードで、過去問演習との両立はかなり大変と感じる人も少なくないはず。すべての問題を解こうとするのではなく、「1年分だけ解く」「解説をチェックする」など、自分なりに可能な範囲で実践してみましょう。

模擬試験を有効活用するポイント

今では、ほとんどの看護学校で学生さんに看護師国試の模試を受けさせるようにしています。しかし、ただ「受けて終わり」では意味が薄いでしょう。合格可能性などの結果を見て一喜一憂するのではなく、模試の経験を生かして合格へ一歩近づこうという意識が大切です。

まず、模試を受ける際は、なるべく本番と同じように緊張感を持って取り組むことが大切です。看護師国試は試験時間が長く問題数も多いことから、模試は時間配分を練習する絶好の機会となります。模試でタイムオーバーしてしまったら、どこで時間がかかったのかを確認し、本番で同じ過ちを繰り返さないようにしましょう。また、「定期的にマークミスがないか確認する」「一目見て分からない問題は後回しにする」「自信のある問題、じっくりと見直したい問題、分からない問題について、それぞれ問題用紙に印をつける」といった試験のテクニックを知っていても、本番でいきなり実践するのは難しいもの。自分に合った方法か確かめるためにも、模試の機会を活用しましょう。

そして、模試の結果が返ってきたら、間違えた問題を見直すのが基本中の基本。解き直しをするのはもちろんですが、自分の弱点だけをまとめた「ミスノート」を作成するのも効果的です。とはいえ、間違えた問題があまりに多くて、すべてを見直す時間がない…という学生さんも少なくないでしょう。そうしたときは、すべてを見直すのではなく、過去問題集と同様に正答率が70%以上の問題に絞って取り組んでみましょう。全国規模の模試であれば、解説には必ず各問題の正答率が記載されているはずです。「まずは基礎固めをする」という考え方は、模試を活用するためにも応用できるのです。

模擬試験にも挑戦しよう

国家試験対策&実習前確認テスト

理想的な国試対策のスケジュールは?

1.最終学年の夏休みまでに…基礎固めと必修問題対策!

「人体の構造と機能」をはじめとする基礎的な部分の勉強は、取り組むのに早すぎるということはありません。できるだけ早くから手をつけて、「正常な体」について理解を深めておくことで、その後の国試対策も順調に進みます。また、このような基礎固めは、そのまま必修問題対策にもつながっていきます。過去問題集の中から必修問題だけを抜き出すなどして、確実に80%以上得点できるように集中して取り組んでいきましょう。このとき、「必修問題=暗記問題」ととらえるのではなく、「なぜそうなるのか」をしっかりと理解したうえで問題を解いていくことが大切です。できれば実習前までに、遅くとも夏休み中には、必修対策を終えておくことが理想的です。

2.実習後から冬休み頃までは…過去問題演習と模試に集中!

大忙しの実習がひと段落したら、いよいよ国試対策は追い込みの時期に突入します。焦りも出てくるでしょうが、ここまでに基礎固めができていれば、この時期からグンと成績を伸ばせるケースも多いのです。過去問演習や模試に積極的に取り組み、本番に近い実践的な学習を積み重ねていきましょう。前述の通り、正答率が70%以上の問題に絞って復習を重ねることが効果的です。

また、この時期は苦手分野を克服する(ほとんど)ラストチャンスでもあります。年が明けてから落ち着いて苦手分野に取り組むのは、時間的にも精神的にも難しいもの。だからこそ、このタイミングで「分からない」を放置するのは厳禁なのです。学校や予備校の先生に質問したり、友達を集めて教え合ったりと、周りの人の協力も積極的に仰ぎましょう。

3.年明けから直前期にかけては…無理せず体調管理を!

年が明けたら、新しい問題集などには着手しないのが基本です。これまで使用してきた教材を見直したり、間違えた問題を解き直したりして、知識の定着を図りましょう。自分のやってきたことを信じ、落ち着いてラストスパートをかけられるといいですね。

一方で、体調管理に気を配ることも忘れずに。うがい・手洗いの励行、人込みにはなるべく出かけないといった基本的なことを守り、試験当日を体調不良の状態で迎えることのないよう注意しましょう。また、深夜まで勉強する夜型のスタイルを早めに切り替えることも大切。午前中からスタートする試験で頭が十分に働くよう、早寝早起きの生活リズムを保つことも、重要な国試対策の一つです。

あなたは大丈夫?よくある「不合格パターン」

長年にわたって看護師国試対策を指導してきた先生がこっそり教えてくれた、よくある「不合格パターン」をご紹介します。国試対策においては、「人の振り見て我が振り直せ」の意識も大切です。あなたも同じ轍を踏まないよう、チェックしておきましょう!

「たぶん、きっと大丈夫!」自分の実力が分かっていない楽観的すぎるタイプ

看護師国試の合格率が約90%と高いことから、「それほど頑張らなくても合格できる」と思い込んでしまっているタイプ。そもそも成績が振るわない状況なのに、「なんとかなるでしょ!」と楽観的すぎる見通しのまま、あっという間に最終学年を迎えてしまいがち。国試対策を頑張り始めるのは実習が終わってから、さらには年が明けてからという学生さんもいるようです。もちろん、たった1~2か月間で広い出題範囲を網羅的に勉強するのは難しく、あえなく不合格ということも。せめて、あと数か月早く対策を始めていれば…。

コツコツ頑張ってはいるけれど…効率が悪く周りが見えていないタイプ

一見、まじめに勉強を続ける優等生だけれど、学習の効率が悪く、結果につながりません。例えば、出題率の低い分野や難問まで掘り下げすぎて、本当に必要なことに時間を使えていないといったタイプです。学校や予備校で周囲の人の勉強方法を気にすることなく、焦るあまり自宅にこもって自己流で頑張り続けるような学生さんは要注意。周囲を見渡してしかるべき人に相談し、冷静に自分の勉強方法を見直すことができれば、「合格」の二文字は大きく近づきます。

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