看護師国家試験攻略法

第112回
看護師国家試験に向けて

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第112回看護師国家試験は、改定された新しい出題基準に基づいて出題されます。
それを踏まえて、第112回試験に立ち向かうためには、
どのような対策が必要になるのでしょうか。
効果的な勉強方法をはじめ、押さえておくべきポイントをお伝えします。
(監修:ナース・ライセンススクールWAGON 講師代表・髙栁真里子)

新たな「看護師国家試験出題基準」公表される!

2022年3月28日、厚生労働省より「保健師助産師看護師国家試験出題基準 令和5年版」が公表されました。第112回看護師国家試験は、この新しい出題基準に基づいて出題されます。改正前のカリキュラムで学んだ受験者への配慮もあり、試験内容が一変するような急激な変化は起こりませんが、とにもかくにも第112回試験の対策は新出題基準をチェックすることから始まると言っても過言ではありません。以下に改定の概要をまとめたので押さえておきましょう。

※厚生労働省「保健師助産師看護師国家試験出題基準 令和5年版」について

全体

・人口・疾病構造や社会背景などを踏まえつつ、近年の保健・医療・福祉の実情など看護を取り巻く状況の変化に伴い、より重要となる教育内容に関する項目の精選と充実を図った

・中項目が実際の「出題の範囲」であることから、具体的に示す内容や求める知識・能力が明確となるような表現の工夫を行った

・小項目は「中項目に関する内容を分かりやすくするために示したキーワード」であることから、個々の記載事項に番号を振らない形式へと変更するとともに、過度に限定的にならないよう内容の精査を行った

・看護基礎教育におけるカリキュラムの改正経緯を踏まえ、各職種に求められる実践能力と卒業時の到達目標との整合性について留意しながら見直しを行った

必修問題

・習熟度や難易度を考慮して、必修問題として問うべき内容の精査を行った。また、近年の教育現場及び臨床現場の実態を踏まえ、感染防止対策に関する項目の充実を図った

人体の構造と機能

・人体の正常な構造及び機能に関して、疾病を理解するために必要な知識を問えるよう、目標及び各項目の見直しを行った

・老化に関しては、老年看護学において支援とあわせて知識を問うことが適切なことから、項目を整理した

疾病の成り立ちと回復の促進

・基礎医学における体系との整合性を踏まえ、全身の感染性疾患、皮膚機能に関する項目を新設したほか、看護基礎教育における基本的な知識として学ぶ疾患について項目を整理・追加した

健康支援と社会保障制度

・目標との整合性を踏まえ、大項目及び中項目の体系を整理した。また、健康支援の基盤となる法・制度の近年の動向を反映し、全体的に項目を整理・追加した

基礎看護学

・「必修問題」や「看護の統合と実践」との重複内容や整合性について全体的に整理し、出題の範囲やキーワードがより明確となるよう表現を見直すとともに、基礎看護学で問うべき内容を整理した

成人看護学

・臨床現場における看護実践や看護基礎教育としての知識の必要性を踏まえて、各疾患や検査・処置・治療に関する患者及び家族への看護について、項目を整理・追加した

老年看護学

・高齢者の生活や、高齢者に特有な症候・疾患・障害に関する看護について、老年看護学としての出題の範囲が明確となるよう、中項目及び小項目の体系と表現を全体的に見直した

小児看護学

・子どもと家族への支援について、発達段階や課題を主眼として問うことができるよう、中項目及び小項目の体系を整理した

母性看護学

・母性看護の基盤となる概念や、女性・母子を取り巻く環境について目標を統合し、項目を整理した

・妊娠・分娩・産褥期及び早期新生児期における看護について、看護師国家試験としての出題範囲を考慮して項目を全体的に整理した

精神看護学

・身体合併症のある患者への看護や、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築と社会資源の活用など、近年の精神看護における動向を踏まえて項目の充実を図った

在宅看護論/地域・在宅看護論

・改正後のカリキュラムでは、「在宅看護論」が「地域・在宅看護論」に変更となり、科目の位置づけも変更となるが、改正前のカリキュラムの「在宅看護論」と改正後のカリキュラムの「地域・在宅看護論」の双方において適用する内容とするため、表題を「在宅看護論/地域・在宅看護論」とし、位置づけは改正前のカリキュラムにそろえることとした

・地域における多様な場における対象者や看護の役割の拡大を踏まえて項目の充実を図った。具体的には、地域・在宅看護の対象である在宅療養者及び家族の特徴と健康課題について、対象を取り巻く環境や地域での生活を含めた理解を問うとともに、地域における多様な場での看護の役割や多職種連携について、全体的な体系の再構成を含めて項目を整理・追加した

看護の統合と実践

・看護基礎教育を修了した時点で備えているべき基本的な事項として問う内容が明確となるよう、習熟度及び難易度も含めて検討し、全体的に項目を整理した

・複合的な事象において看護の知識を統合し活用できる判断能力を問う目標IVについて、教育内容としての「看護の統合と実践」の導入の趣旨を踏まえ、切れ目のない支援を提供するための継続した看護、複合的な状況にある対象や看護を判断し危険を回避する取組み、安全確保のための総合的な判断・対応などに関する5つのテーマを提示し、これらのテーマをもとに、専門分野の各科目で学んだ内容を統合し、臨床実践場面における状況設定問題として出題することを明示した

「過去問を学ぶ」のではなく、「過去問で学ぶ」意識を持つ

看護師国試対策において過去問演習が重要であることは言うまでもありませんが、過去問を解いて単純に○×をチェックしているだけでは、十分な学習効果は得られません。このことを実際の問題に即して考えていきましょう。

第103回 午前 問題53:運動神経の刺激の伝達経路を図に示す。
ギラン・バレー症候群で主に障害される部位はどれか。 運動神経の刺激の伝達経路

この問題の解説として、例えば次のように記載されているとします(正解は2)。

1.アは上位運動ニューロンです。脳梗塞などで主に障害されます。

2.ギラン・バレー症候群で主に障害される部位は、イの下位運動ニューロンです。

3.ウは神経筋接合部です。重症筋無力症などで障害される部位です。

4.エは筋肉です。筋ジストロフィーなどで障害される部位です。

次に、この問題を見てください。

第111回 午後 問題:上位運動ニューロン徴候および下位運動ニューロン徴候の有無について表に示す。筋萎縮性側索硬化症(ALS)において正しいのはどれか。 上位運動ニューロン徴候および下位運動ニューロン徴候の有無

前問の解説で、ギラン・バレー症候群の関連疾患として筋萎縮性側索硬化症(ALS)を示し、「ALSでは上位・下位両方の運動ニューロンが障害される」ことにまで言及している過去問題集があれば、それをしっかりと勉強しておくことで、この問題でも十分に応用が利いて正解にたどり着くことができるでしょう(正解はa)。

このように、自身の解答の正誤にかかわらず、すべての選択肢について理解を深め、横断的な知識を養っていく必要があります。そのためにも、解説が丁寧で分かりやすい過去問題集を選ぶことが大変重要です。過去問題集の選択に迷ったときは、すでに自分が十分に理解しているテーマの問題で解説を見比べ、より分かりやすく、より詳しく説明してあると感じたほうを選ぶといいでしょう。

受験生のタイプ別!看護師国試対策法

十人十色とはよく言ったもので、国試対策を進める上でも、自分に合った方法を選ぶことが合格への近道です。苦手なことがはっきりしていれば、おのずと対策の方法も決まります。いくつか例を挙げてみましょう。

1.暗記は得意だけれど、応用することが苦手なタイプ

第102回 午後 問題73:血清に含まれないのはどれか。

1.インスリン
2.アルブミン
3.γ-グロブリン
4.β-グロブリン
5.フィブリノゲン

この問題で「インスリン」を選んでしまう人も、「インスリンは膵臓で分泌されるホルモンである」「ホルモンは内分泌器官から放出される微量の化学物質である」「内分泌は血中へ、外分泌は体外や消化管内へ放出される」という知識は持っていることが多いです。であれば、あと一歩だけ考えを進めれば、「血液中に分泌されたホルモンが血清に含まれないわけはない!」と気付くはずなのです(正解は5のフィブリノゲン)。しかし、応用が苦手な人は、正解の一歩手前で落とし穴にはまってしまいます。

こうしたタイプであることを自覚している人は、関連性のある問題を繰り返し解き、正解に近付くプロセスのイメージをつかんでください。何度も繰り返すことで、知識を結び付けて理解する方法になじむことが大切です。

2.教科書に書いてある長い文章を読むのが苦手なタイプ

例えば、一連のビリルビン代謝を文章で読んでも、即座に理解できる人は少ないと思います。そうしたときは、図やイラストが非常に役立ちます。その上で、物質を擬人化し、長い文章を物語にしてみたらどうでしょうか。「非抱合型(間接)ビリルビンは水に溶けないため、血漿中の輸送はアルブミンに結合した状態で行われる。肝臓は急速にビリルビンを取り込むが、結合した血清アルブミンは……」という文章も、「脾臓というところで、生まれて120日たった赤血球さんが亡くなりました。間接ビリルビンという戒名が付けられ、アルブミンという葬儀屋さんが肝臓へ運んで行きました」という物語形式に変えてみると、グッとイメージしやすくなるはずです。

看護師国家試験合格への道

3.手を動かしただけで「やった気」になるタイプ

授業中に板書は写すけれど、書いただけで終わってしまうタイプです。板書は「手紙」だと思って、読んだ人が分かるように意識して書いてみましょう。正方形(7.5×7.5cm)の付箋に理解したことを短い文章やイラストでまとめてみることも効果的です。付箋の色も、解剖は黄色、疾患は緑、看護はピンクのように決めておくと、より分かりやすくなります。この付箋学習法は、家族にも見えるところに付箋を貼っておくことで、家族を巻き込んで応援してもらえるという副次的な効果もあるようです。

4.できない言い訳ばかりする/常に自信がないタイプ

自分ができないことや、自信がないことにばかり目を向けるのではなく、できていることや、自信があることを書き出してみましょう。看護の勉強を始めてから、さまざまな経験をしてきて、できることは確実に増えているはずです。国試対策は家づくりにも似ていて、どんなに急いで知識を頭に詰め込んでも、自信に裏付けされた基礎をしっかりと整えていなければ、そこに建てた家はやがて崩れ落ちてしまいます。一歩ずつ着実に、できることを一つでも増やすことを意識して日々を過ごしてください。今は何を目的に頑張っているのか、あらためて思い起こしてみる時間も大切です。

今、学んでいるすべてのことは、あこがれの現場で独り立ちし、活躍するための養分になります。国試合格のために必要な知識は、臨床で求められていることでもあるのです。無駄なことは一つもありません。そのことを意識して、第112回試験の対策を着実に積み重ねていきましょう。

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