看護師国家試験攻略法

第109回
看護師国家試験の
振り返り

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2020年2月16日(日)、第109回看護師国家試験が実施されました。
出題傾向や難易度にどのような変化がみられ、合格ボーダーラインはどうなったのでしょうか。
第109回試験を振り返り、そこから次回試験の対策に生かせるポイントを探っていきましょう。
(監修:ナース・ライセンススクールWAGON 講師代表・髙栁真理子)

比較的取り組みやすかった第109回試験

第109回試験を分析したナース・ライセンススクールWAGONの髙栁真理子先生によれば、今回の試験の難易度は前回と同程度、出題傾向にも大きな変化はみられませんでした。いわゆる悪問・奇問が少なく、過去問をベースにしっかりと学習を積み上げてきた受験生にとっては、比較的取り組みやすい内容だったといえます。ただし、2022年度から新しい看護基礎教育が開始される見通しとなっていることを受けて、今回の出題にも若干の影響がみられました。その具体的な内容をチェックしていきましょう。

1.形態機能学や疾病の成り立ちに関する出題が増加

2022年度から開始予定の看護基礎教育の見直しは、厚生労働省の看護基礎教育検討会で議論されてきたもの。総単位数の増加など複数の変更が予定されていますが、中でも注目したいのが、専門基礎分野の「人体の構造と機能」「疾病の成り立ちと回復の促進」が1単位増となり、現場で求められる基礎力の強化が重視されている点。こうした動きを踏まえて、第108回試験より「人体の構造と機能」「疾病の成り立ちと回復の促進」からの出題が増加しており、この流れは第109回試験でも続きました。
今回、特に顕著だったのは、五肢問題の出題が多かったこと。16問あった五肢択一のうち9問、18問あった五肢択二のうち10問が「人体の構造と機能」「疾病の成り立ちと回復の促進」からの問題で、かなりの割合を占めていることが分かります。

看護師国家試験に挑む看護学生

五肢問題では正答にたどり着くまでにより正確な知識が求められるため、この分野を重点的に学んでいた受験生が得点しやすい試験だったといえるでしょう。

2.アセスメント能力を試す出題が引き続き目立つ

第103回試験時の出題基準改訂以降、アセスメント能力を試す出題が増加しており、第109回試験でもその傾向は引き継がれました。こうした問題で正答にたどり着くためには、患者さんの病態を文章から読み取り、看護の視点から論理的に考える能力が欠かせません。知識を「点」として覚えるだけでなく、それらを有機的に結び付けて「線」として理解するような学習が必須だといえます。

その一例が、状況設定問題である問題94(午前)です。2型糖尿病のAさんの状況を踏まえてアセスメントするのですが、一見、選択肢1~3すべてが2型糖尿病患者の特徴をとらえているように思われます。

【選択肢】

  1. 緑内障が疑われる。
  2. 運動療法が必要である。
  3. 糖尿病性神経症が疑われる。
  4. 高蛋白質の食事摂取が必要である。

しかし、ここで問われているのは、あくまでも「Aさんの」アセスメント。状況設定として視覚に関する記載がないこと、合併症が進行している(=運動療法に制限がある)記載があることを考慮すると、3が正しい選択肢だと判断できます。

3.患者さんの全体像から検査値を読み解く力が問われる

第107回試験時の出題基準改訂から「検査値を読む力」が重視されるようになったことから、検査値をもとに判断させる出題も目立ちました。かつては「このオーダーで上昇している値は?」というような一問一答型が中心でしたが、近年では状況設定問題に絡めた応用的な出題も増えています。アセスメントを数値で裏付ける能力が求められているともいえるでしょう。

第109回試験では、状況設定問題である問題95(午前)が検査値をアセスメントする内容でした。前出のAさんが緊急血液透析となった病態について正しい選択肢(心不全)を選ぶ画像付きの問題で、尿素窒素や血清クレアチニン、カリウムなどの検査所見が提示されました。こうした問題で必要なのは、「そもそも何を問われているか」を把握する読解力、そして「正常」な状態の検査値を踏まえて「異常」に気づく力です。

4.絶対に正答したい過去問の類似問題も

看護師国試では試験問題の質や難易度を安定させるためにプール制を導入しており、特に過去問対策が重要だといわれています。第109回試験でも、過去問と類似した出題が散見されました。

もちろん、以前とまったく同一の問題が出るわけではありません。例えば、第109回試験の問題15(午前)は、成人の橈骨動脈における脈拍の測定方法を選ぶ問題でした。第101回試験の問題と類似していますが、そこでは写真だった選択肢がイラストになっている、測定する手が左右逆になっているといった違いがあります。

また、第109回試験の問題12(午後)は、「脳塞栓症を生じやすい不整脈はどれか」と問われ、「心房細動」と解答するものでした。これと類似した問題が第99回試験にありましたが、これは「心房細動で発症リスクが高まるのはどれか」と問われて「脳塞栓」と解答するものでした。つまり、質問の方向性が逆になっているわけです。

こうした過去問の類似問題は確実に得点しておきたいところで、もし落としてしまうと他の受験生との差が大きく開いてしまいかねません。

第109回のボーダーラインはどうだった?

第109回試験の合格率は89.2%(うち新卒者は94.7%)で、第108回試験の89.3%から微減となりました。合格ボーダーラインは以下の通りです。

必修問題及び一般問題を1問1点、状況設定問題を1問2点とし、次の1.~2.の全てを満たす者を合格とする。

1.必修問題…40点以上/50点
ただし、必修問題の一部を採点対象から除外された受験者にあっては、必修問題の得点について、40点以上/49点、39点以上/48点とする。

2.一般問題/状況設定問題…155点以上/250点

第109回試験では、採点除外等の取り扱いとなった問題は4問(必修問題として妥当でない=2問、複数の選択肢が正解=2問)でした。必修問題および一般問題・状況設定問題の合格ボーダーラインの得点率はいずれも例年並みの水準であり、一定の水準に達した受験生を合格させる国家試験として安定的な機能を果たしているといえるでしょう。

第109回 看護師国家試験 合格状況

受験者数
(人)
合格者数
(人)
合格率
(%)
全体 65,569 58,514 89.2
新卒者 59,320 56,175 94.7

新卒者内訳

区分 学校数
(校)
受験者数
(人)
合格者数
(人)
合格率
(%)
3年課程 826 47,441 45,484 95.9
- 大学 255 21,228 20,511 96.6
- 短期大学 25 1,196 1,102 92.1
- 養成所 546 25,017 23,871 95.4
2年課程 192 7,989 7,205 90.2
- 短期大学 1 104 91 87.5
- 養成所 157 4,379 4,175 95.3
- 高等学校専攻科 9 224 210 93.8
- 通信制 25 3,282 2,729 83.2
高校・高校専攻科
5年一貫教育
76 3,433 3,257 94.9
受験資格認定 - 345 222 64.3
1,094 59,320 56,175 94.7

過去5年の看護師国家試験合格率推移

過去5年の看護師国家試験合格率推移のグラフ

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