看護師国家試験攻略法

第111回
看護師国家試験の
振り返り

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2022年2月13日(日)、第111回看護師国家試験が実施されました。
コロナ禍において2回目となる試験実施であり、
あたかも「COVID-19に罹患しないこと」が一次試験であるかのような理不尽に
不安を抱きながら当日を迎えた学生さんも多かったのではないでしょうか。
ここでは今回の試験内容を振り返り、次回の試験対策に生かせるポイントを探っていきましょう。
(監修:ナース・ライセンススクールWAGON 講師代表・髙栁真里子)

第111回試験の出題傾向や特徴は?

第111回試験を分析した髙栁先生によれば、出題傾向に大きな変化はみられなかったものの、社会情勢の変化に沿った問題が多くなったということです。その社会情勢の変化について、看護基礎教育検討会報告書には次のように書かれています。少し長くなりますが引用します。

少子高齢化が一層進む中で、地域医療構想の実現や地域包括ケアシステム構築の推進に向け、人口及び疾病構造の変化に応じた適切な医療提供体制の整備が必要である。また、医療・介護分野においても、AI(Artificial Intelligence:人工知能)、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)等の情報通信技術(ICT)の導入が急速に進んできている。
これらの変化に合わせて、患者をはじめとする対象のケアを中心的に担う看護職員の就業場所は、医療機関に限らず在宅や施設等へ拡がっており、多様な場において、多職種と連携して適切な保健・医療・福祉を提供することが期待されており、対象の多様性・複雑性に対応した看護を創造する能力が求められている。
また、「医師の働き方改革に関する検討会報告書」(平成31年3月 厚生労働省)も踏まえ、またチーム医療推進の観点からも、特定行為研修を修了した看護師の活用等によるタスク・シフティングや、タスク・シェアリングの推進等が求められている。

※厚生労働省「看護基礎教育検討会報告書」(令和元年10月15日)より引用

看護師国家試験の問題は医療に関わる社会情勢の変化も考慮してつくられていますし、その変化をキャッチすることは看護師になってからも必要な姿勢です。常に社会の動きに対してアンテナを張っておくことを忘れないでください。

それでは、より具体的な出題傾向と特徴を、実際の問題に即してみていきましょう。

看護師国家試験に挑む看護学生

【特徴1】五肢択二問題が大幅減

一般問題における五肢択二問題の出題数が、前回試験より8問も少なくなっていました(全体の出題数としては43問→35問)。より正確な知識が求められる五肢問題の減少に注目すれば、第110回試験より難易度が少し下がったといえます。

【特徴2】暗記問題を抑えて思考問題が増加

第103回試験から思考問題(知識の丸暗記ではなく、知識をもとにした思考が求められる問題)が増加傾向になり、それは今回に至るまで続いています。知識をただ丸暗記するのではなく、複数の知識を結び付けて理解し、実践につなげる力が強く求められているのです。いくつか例を挙げて解説します。

午前 問題:脳の外側面を左右から見た模式図を示す。
右利きの健常成人のBroca(ブローカ)の運動性言語中枢はどれか。 脳の外側面を左右から見た模式図

この問題では、(1)通常、右利きの人の99%は左側が優位半球である、(2)ブローカ野は前頭葉に位置するという2つの知識が頭の中で即座に結び付かなければ正解を導き出すことができません。また、図の左右を勘違いしてしまうと、やはり正解に至りません。多くの問題では図中に左右が明記されていますが、基本的に解剖図などは患者さんと向き合った状態での向き(自分とは反対)であることに留意しましょう。

午前 問題:Aさん(30歳、初産婦)はX年2月5日に妊婦健康診査のために来院した。X年2月のカレンダーにAさんの受診日と分娩予定日を示す。看護師は、医師からAさんの母子健康手帳に受診時の妊娠週数と日数を記入するよう依頼された。
Aさんの受診時の妊娠週数および日数で正しいのはどれか。 X年2月のカレンダー

この問題を迅速かつ正確に解くためには、(1)分娩予定日は40週0日である、(2)妊娠日数は0~6日でカウントするという2つの基礎知識が必要となります。これらが理解できていれば、当然のごとくカレンダー上で正解を読み取れることでしょう。ところが、「分娩予定日は280日である」と丸暗記しているだけでは、数え間違いや単純な計算ミスで正解を逃す可能性が高くなってしまいます。1つの数字や言葉を記憶して満足することなく、分娩予定日に関しては「280日=40週0日」、糖尿病診断に関しては「グリコヘモグロビン=HbA1c」などのように、横断的な知識の蓄え方をしておくことが重要です。

午後 問題:上位運動ニューロン徴候および下位運動ニューロン徴候の有無について表に示す。筋萎縮性側索硬化症(ALS)において正しいのはどれか。 上位運動ニューロン徴候および下位運動ニューロン徴候の有無について

この問題では、(1)中枢側の運動神経を上位運動ニューロン、末梢側の運動神経を下位運動ニューロンと呼ぶ、(2)運動ニューロン徴候がある=運動ニューロンが障害されている、(3)ALSでは中枢・末梢いずれの運動ニューロンも障害されるという3つの知識が結び付いて初めて正解にたどり着けます。医療用語の意味や言い換え、さらには疾患に対する理解が複合的に問われた良問であるといえるでしょう。

なお、これらの例題を含め、別紙を参照するタイプではなく、問題や選択肢そのものに図や表が織り込まれた「図説問題」の増加も第111回試験の特徴の一つです。

第111回のボーダーラインはどうだった?

第111回試験の受験者数は6万5025人(うち新卒者5万9148人)で、合格率は91.3%(うち新卒者は96.5%)でした。合格率は近年、90%±2%程度で推移しており、第110回試験の90.4%からは微増となっています。合格ボーダーラインは以下の通りです。

必修問題及び一般問題を1問1点、状況設定問題を1問2点とし、次の(1)~(2)の全てを満たす者を合格とする。

(1)必修問題…40点以上/50点

ただし、一部の問題において採点対象から除外された受験者にあっては、必修問題の得点について、40点以上/49点、39点以上/48点とする。

(2)一般問題/状況設定問題…167点以上/250点

なお、第111回試験では、必修問題において採点除外等の取り扱いをした問題が4問ありました。

・問題として適切であるが、必修問題としては妥当でないため=午前問題1、午後問題7
→この2問については、正解した受験者については採点対象に含め、不正解の受験者については採点対象から除外するという扱いになりました。

・複数の正解があるため=午前問題6
・設問が不明瞭で複数の選択肢が正解と考えられるため=午前問題34
→この2問については、複数の選択肢を正解として採点されました。

第111回 看護師国家試験 合格状況

受験者数
(人)
合格者数
(人)
合格率
(%)
全体 65,025 59,344 91.3
新卒者 59,148 57,057 96.5

過去5年の看護師国家試験合格率推移

過去5年の看護師国家試験合格率推移のグラフ

※参照:厚生労働省「第108回保健師国家試験、第105回助産師国家試験及び第111回看護師国家試験の合格発表

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