ナーストピックス

Topic. 29

この記事は約5分で読めます。
女優の志田未来さんも登場!
看護学生がスペシャリストに学んだ
「看護の日トークイベント」

2021年5月9日(日)、
「2021年 看護の日トークイベント~だから、私は、看護を選ぶ。~」(日本看護協会主催)
が開催され、その模様が無料オンライン配信されました。
2人の看護学生が2人の認定看護師(集中ケア、感染管理)、
そして女優の志田未来さんと熱いトークを交わした本イベントのレポートをお届けします。

認定看護師の仕事現場を看護学生が訪問!

本イベントは、サブタイトルの「だから、私は、看護を選ぶ。」にもよく表れているように、主に若年層を対象として看護の魅力を伝えることが大きな目的でした。超少子高齢社会となった日本では、医療・看護の提供体制を維持していくために、18歳人口の18人に1人の割合で看護職をめざしてもらう必要があるのだとか。主催者である日本看護協会の福井トシ子会長は、「看護のスペシャリストが仕事の魅力を大いに語る姿を、ぜひ多くの中高生や看護学生にも見ていただきたい」とあいさつしました。

福井トシ子会長

トークセッションに登場したのは、2021年度の「看護の日」ポスターにも起用されている、看護学生の奈良部眞由子さんと稲垣凌太さん(ともに東邦大学看護学部2年生)。この2人が東京都立多摩総合医療センターの下澤洋平さん(集中ケア認定看護師)、日本医科大学多摩永山病院の山本愛さん(感染管理認定看護師)の職場を訪れた様子を収めた映像が流され、それを踏まえて質疑応答などが行われました。

この日のスペシャルゲストは、テレビドラマで看護師役を演じた経験もある女優の志田未来さん。「専門用語が難しくて、慣れているように話すのが大変でした」と当時の苦労を振り返るとともに、コロナ禍でよりいっそう注目される看護職の仕事について勉強したいと本イベントへの思いを語りつつ、トークセッションに参加していました。

集中ケアの現場から学ぶ「一歩先行く看護」とは?

集中ケア認定看護師の下澤さんが登場した映像では、緊迫感あるICUの現場が映し出されました。下澤さんは「重症の患者さんでも、早期からのリハビリテーションで身体を動かし、合併症を予防することが大切」と語るとともに、ECMO(体外式膜型人工肺)使用時の観察の手順やポイントなどを解説しました。

患者さんが元通りに社会復帰するためにも「一歩先行く看護」が欠かせないと語る下澤さん。そのために看護師として必要な力は何かと学生から問われると、「確かな知識をベースに、痛みなどの症状が出る前に予防的な対応をすること。そして、患者さんの病状だけでなく、その背景まで意識することです」と教えてくれました。

集中ケア認定看護師の下澤さん

また、集中ケアに従事する上で、「鎮静中の患者さんでも表情やささいな身体の動きから気持ちをくみ取ること」を心がけているという下澤さん。そのプロフェッショナルな仕事ぶりをのぞいた学生の2人は「意思を伝えられない患者さんに対しても想像力を持って接していることに驚きました」「温かく丁寧な看護を実践している姿を見て、ICUに抱いていたイメージがいい意味で変わりました」と感想を述べました。

感染制御部が守るのは「病院を出入りするすべての人」

一方、感染管理認定看護師の山本さんが登場した映像では、感染制御部に所属する看護師の役割が紹介されました。院内感染対策の状況をアセスメントし、計画的に実行・調整する任に就いている山本さんは、「病院に出入りするすべての人を感染症から守る」ことが最大の使命。患者さんやご家族はもちろん、医療従事者、事務や清掃など非医療職のスタッフも感染予防の対象者に含まれるということです。

プロフェッショナルとしての心構えを問われ、「組織はいろいろな人の努力の上で成り立っています。そのことに対して、感謝の気持ちを忘れないことが一番大切ではないでしょうか」と答えた山本さん。「スタッフさんへ指導する際に意識していることは何ですか」という質問に対しては、「職種により物事の見方が異なるため、意見が対立することもあります。でも、『患者さんのため』という思いは一緒のはず。その目的を見失わず、上手に意見をまとめていくことが大切です」と答えました。

感染管理認定看護師の山本さん

学生の2人は、「幅広く高度な専門性を持っていて、職場で頼られる存在だと分かりました」「よりスケールの大きな看護が、病院全体に与える影響を知りました」と感想を述べ、学ぶところが大きかったようでした。

思いを新たに、看護の道を突き進もう!

認定看護師が活躍する姿から、新鮮な刺激を受けた学生たち。「どんな看護師になりたいですか」と問われ、「確かな知識と技術を持ちながら、患者さん一人ひとりに寄り添える存在になりたい」「そこにいるだけで安心感を与え、生きる力を引き出せるような看護師をめざしたい」と、それぞれ決意を語りました。

思いを新たに、看護の道を突き進もう!

これを聞いた志田未来さんは、「私たちが皆さんに会うのは、肉体的にも精神的にも弱っているとき。そのときに看護師さんがかけてくれる言葉や笑顔に、いつも救われています。看護師になるまでの道のりでは楽しいことばかりではないと思いますが、自分の理想とする看護師像に向かって頑張ってください」とエールを送りました。

キッズダンサーによる力強いパフォーマンス

イベントを締めくくったのは、Nursing Nowキャンペーン公式ソング「元気の歌」。つんく♂さんが作詞作曲し、相川七瀬さんが歌う元気いっぱいの一曲で、キッズダンサーによる力強いパフォーマンスが華を添えました。まだ看護の道に入っていない中高生たちに看護の魅力をアピールできただけでなく、すでに看護を学んでいる学生にとっても将来のイメージがより鮮やかになったと思われる、素敵なイベントでした。

※Nursing Nowキャンペーン:世界保健機関(WHO)と国際看護師協会(ICN)が連携し、看護職への関心を集め、地位向上を図ることを目的とした世界的なキャンペーン。日本看護協会もこれを支持し、さまざまな取り組みを行っている。