保健師の初任給はいくら?看護師との違いや年収・働き方まで徹底解説

  • 公開:2025/11/21
  • 更新:2025/11/21
保健師の初任給はいくら?看護師との違いや年収・働き方まで徹底解説

保健師の初任給はどれくらいなのか、看護師と比べて高いのか・低いのかは、看護学生や保健師を目指す方にとって気になるポイントです。公務員保健師であるのかによって初任給とボーナスは変動し、経験年数別や男女別などの統計も出ています。

本記事では、保健師になりたい看護学生の方々に向けて、最新の公的データや統計を基に、保健師の平均初任給と手取り額をはじめ、収入の高め方や今後の給与予測などについてもわかりやすく解説します。

1.保健師の平均初任給と手取り額

保健師の初任給は、勤務先の種類や雇用形態によって幅があります。公務員として自治体に採用される場合は地方公務員の給与規定に基づき、短大卒・大学卒の区分で支給額が変わります。一方、産業保健師・学校保健師・病院保健師などは、各法人の給与規定に準じます。

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」から「20〜24歳・経験年数0年」の値を参照すると、保健師の初任給目安は月額25万2,900円です。そして、手取り額は給与から税金や社会保険料を引いた値を概算として「月額×0.8」で計算する方法が一般的です。

計算式に当てはめると、月額20万2,320円が目安となります。また、年間賞与その他特別給与額は4万2,200円で、年収換算で307万7,000円です

所定内給与額 手取り額 年間賞与その他特別給与額 年収
保健師の初任給目安 25万2,900円 20万2,320円 4万2,200円 307万7,000円

保健師は種類ごとに初任給が異なる可能性がある

保健師には、行政保健師・産業保健師・学校保健師・病院保健師といった種類があり、それぞれ給与水準が異なります。特に、公務員でありながら保健師の過半数以上を占める行政保健師は安定性が高く、初任給も保健師全体の平均より高い傾向です。

また、産業保健師は企業や健康保険組合に所属することから、勤務先の企業規模・業種によって初任給と年収に大きな差が生じます。その他、深夜労働があったり、残業時間が加算されたりするような職場では、各種手当による給与所得の増加に期待できます。

公務員保健師の初任給とボーナスの実態

公務員保健師は地方公務員として採用されるため、初任給は自治体の給与規定で決まります。例えば、千葉県庁の「令和6年4月採用職員」の保健師における初任給は25万6,400円です。

さらに、期末・勤勉手当(ボーナス)として年2回、合計4.5ヶ月分が支給され、その他にも家族状況や勤務形態に応じて各種手当が支給されると書かれています。ただし、ボーナスに関してはあくまで規定の一部であり、1年目から全額支給されるとは限りません。

基本的には、公務員保健師であっても、1年目は数万円程度の支給になると考えられます。なお、2年目以降を踏まえると、公務員保健師は安定した収入とボーナスが保障されているため、看護学生にとっても大きな魅力といえます。

保健師よりも看護師の方が初任給は高い

保健師の初任給は、看護師と比較するとやや低めとなる傾向があります。理由としては、保健師の業務が「地域や職場での健康支援・予防活動」を中心としており、夜勤や時間外勤務が少ないことが挙げられます。

日本看護協会「2024年病院看護実態調査報告書」によると、新卒看護師の初任給は「高卒+3年課程新卒」で27万6,127円、「大卒」で28万4,063円です。また、年間賞与その他特別給与額は、「令和6年賃金構造基本統計調査」によると5万8,800円が目安です。

なお、看護師と保健師のどちらも、初任給には多少の地域差があり、2年目からは引かれる税金が増えます。

所定内給与額 手取り額 年間賞与その他特別給与額 年収
保健師の初任給目安 25万2,900円 20万2,320円 4万2,200円 307万7,000円
看護師の初任給
(高卒+3年課程新卒)
27万6,127円 22万901円 5万8,800円 337万2,324円
看護師の初任給
(大卒)
28万4,063円 22万7,250円 5万8,800円 346万7,556円

2.【条件別】保健師の平均年収

保健師の平均年収は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を参考に算出することができます。ここでは、経験年数別・男女別・年齢別・規模別・地域別といった条件別に、保健師の平均年収を解説します。

【経験年数別】保健師の平均年収

保健師の経験年数別に平均年収を計算すると、経験年数0年で約377万円、1〜4年は約430万円となります。5〜9年以降に500万円を超えており、長く働くことで安定的に給与が上がる職種であることがわかります。

経験年数 所定内給与額 年間賞与その他特別給与額 平均年収
0年 29万5,500円 22万9,200円 376万9,200円
1〜4年 27万7,700円 96万6,900円 429万9,300円
5〜9年 32万5,600円 125万2,000円 515万9,200円
10〜14年 32万4,000円 114万2,400円 503万400円
15年以上 34万100円 108万8,800円 517万円

【男女別】保健師の平均年収

保健師の男女比率を見ると、2022年末のデータでは女性が58,352人(約96.8%)、男性が1,947人(約3.2%)です。圧倒的に女性保健師の比率が高い傾向にあり、その分平均年収も高いといえます。

年間賞与その他特別給与額をすべての保健師の平均値で固定した場合、平均年収は男性で約452万円、女性で約477万円となっており、それほど大きな差はありません。

男性 女性
男女比率 1,947人(約3.2%) 58,352人(約96.8%)
性別 所定内給与額 年間賞与その他特別給与額 平均年収
29万3,600円 99万9,200円 452万2,400円
31万4,400円 99万9,200円 477万2,000円
男女計 31万3,300円 99万9,200円 475万8,800円

【年齢別】保健師の平均年収

保健師の年収は、年齢に合わせて段階的に上昇する傾向があります。20代前半(20〜24歳)では平均年収が約385万円と比較的低めですが、経験を積むにつれて給与や賞与が上昇し、30代後半~40代では480〜500万円前後まで上がります。

特に、50〜54歳で平均年収は約574万円に達し、キャリアのピークを迎えることがわかります。その後、定年前後で再び下がる傾向が見られ、60代では400万円前後に落ち着きます。長期的なキャリア形成を想定した場合でも、安定した職種といえるでしょう。

年齢 所定内給与額 年間賞与その他特別給与額 平均年収
20〜24歳 25万9,000円 74万6,600円 385万4,600円
25〜29歳 29万9,000円 129万7,200円 488万5,200円
30〜34歳 29万3,600円 77万7,700円 430万900円
35〜39歳 33万3,100円 83万9,100円 483万6,300円
40〜44歳 32万7,200円 106万1,800円 498万5,800円
45〜49歳 33万6,800円 124万2,300円 528万3,900円
50〜54歳 36万6,200円 134万6,100円 574万500円
55〜59歳 38万2,700円 100万7,700円 560万100円
60〜64歳 29万2,000円 83万5,400円 433万9,400円
65〜69歳 21万5,600円 5万2,900円 264万100円

【規模別】保健師の平均年収

勤務先の規模によっても年収には差が出ます。100人未満の小規模事業所では、平均年収が約493万円と最も高い水準で、賞与額も安定しています。一方、100〜999人規模では約444万円とやや低めで、大規模(1,000人以上)の事業所では約485万円となっています。

このような傾向から、小規模な事業所のほうが給与水準が高い場合もあると判断できます。理由としては、一人ひとりの業務負担の大きさ・専門性の高さが影響していると考えられるため、規模だけでなく業務内容や福利厚生も含めて比較検討することが大切です。

企業規模計 所定内給与額 年間賞与その他特別給与額 平均年収
10〜99人 34万4,700円 80万3,200円 493万9,600円
100〜999人 30万1,300円 82万3,800円 443万9,400円
1,000人以上 31万1,400円 111万7,600円 485万4,400円

【地域別】保健師の平均年収

都道府県別・地域別でも、保健師の平均年収を算出することができます。平均年収が最も高いのは高知県で約667万円、続いて大阪府(約643万円)、福島県(約572万円)です。特に、上位県では給与額に加えて賞与の水準が高いのが特徴です。

地域差は数百万円に及ぶことも想定されることから、将来的なライフプランを考える際には、働きたい自治体や医療機関の給与水準を確認しておくことが重要です。

都道府県 所定内給与額 年間賞与その他特別給与額 平均年収
全国 31万3,300円 99万9,200円 475万8,800円

【平均年収が高い都道府県順】

都道府県 所定内給与額 年間賞与その他特別給与額 平均年収
1 高知 42万7,200円 154万3,900円 667万300円
2 大阪 38万900円 185万6,500円 642万7,300円
3 福島 35万7,500円 143万3,900円 572万3,900円
4 群馬 35万2,500円 146万1,400円 569万1,400円
5 滋賀 30万6,900円 200万7,700円 569万500円
6 奈良 33万7,500円 158万4,300円 563万4,300円
7 宮城 34万4,200円 145万6,300円 558万6,700円
8 兵庫 35万5,000円 120万1,600円 546万1,600円
9 神奈川 38万6,300円 82万1,900円 545万7,500円
10 長野 35万9,200円 112万2,100円 543万2,500円

3.初任給アップを目指して学生のうちからできること

保健師の初任給や年収は、基本的に自治体や勤務先によって大きく左右されます。しかし、学生のうちから個々に努力することで、就職活動を有利に進められる可能性があります。

関連資格やスキルを在学中に習得する

保健師になるには、まず看護師免許が必要ですが、それ以外にも役立つ資格やスキルがあります。日本看護協会が公式に認定している資格制度には、公衆衛生や母子健康など、保健師としての活動領域に直結するものがあり、将来的に取得を目指すことができます。

学生のうちに挑戦できるのは、医療英語、リーダーシップ、ITスキル、統計解析など、実務を補強するスキルです。これらを学んでおくと、採用時に即戦力として評価され、キャリアアップや昇給にもつながりやすくなる可能性があります。

実習やボランティアで多様な現場を経験する

学生の間に参加できる実習やボランティアは、保健師としての視野を広げる大きなチャンスです。例えば、地域での保険相談イベント、母子保健に関わる子育て支援活動、学校での健康教育支援などがあります。

さまざまな活動を経験することで、実際の保健師の仕事を体験できるだけでなく、将来どのような分野で働きたいのかイメージを掴みやすくなります。また、積極的な活動は履歴書や面接での具体的なアピール材料になり、就職活動にも役立ちます。

就職先の情報収集を早めに開始する

保健師の採用試験は、自治体や勤務先によって時期・内容が異なります。そのため、早めにどの自治体・職場に興味があるのかを調べておくことが大切です。

例えば、採用試験の倍率、初任給・ボーナスの有無、休日数、福利厚生などを比較しておけば、安心して準備を進められます。さらに、募集要項や過去の採用実績をチェックすると、どのような経験とスキルを持つ学生が評価されやすいのかも見えてきます。

学生生活の過ごし方を工夫するきっかけにもなるため、情報収集は早いほど有利です。

4.看護学生に注目される保健師の魅力

保健師は、看護学生の中で注目される職業の1つです。初任給や年収などの収入面だけでなく、地域社会でのやりがい、安定した待遇、成長を感じられるキャリアパスが魅力といえます。ここでは、看護学生のうちから知っておきたい保健師の魅力を解説します。

地域や学校で人の健康を支えるやりがい

保健師の最大の魅力は、地域や学校で住民の健康を守るというやりがいです。病気の治療を行う病院看護師とは異なり、保健師は予防や健康づくりの最前線で活動します。

例えば、乳幼児健診や予防接種のサポート、学校での健康管理、高齢者の生活習慣病予防など、多世代にわたる人々の暮しを支えます。自分の関わりが住民の健康に直結し、地域全体の安心につながる実感を得られるのは、保健師ならではのやりがいです。

安心して働ける待遇や福利厚生

保健師の多くは自治体や公的機関に勤務するため、公務員としての安定した待遇を受けられるのも魅力です。

給与やボーナスが規定に基づいて支給されるだけでなく、産休・育休、介護休暇といった制度も整っており、ライフステージが変わっても安心して働き続けられます。

また、地方自治体によっては住宅手当や通勤手当なども充実しているため、長期的なキャリア形成を考えるうえで心強い職場環境といえるでしょう。

キャリアパスが豊富

保健師のキャリアは、「キャリアラダー」と呼ばれる段階的な成長モデルに沿って積み上げていけるのが特徴です。キャリアラダーとは、初心者から専門性の高いリーダー職へと、1段ずつステップアップしていく仕組みです。

例えば、新人期は、乳幼児健診の補助や健康相談といった基礎的な活動を中心に経験を積みます。その後、数年の実務を経て地域の健康課題を分析し、住民に合わせた保健指導や予防活動を企画する役割を担えるようになります。

さらに、キャリアを重ねると地域保健計画の立案・後輩の育成など、チームをまとめるリーダーとして活躍することも可能です。

厚生労働省の報告では、多くの自治体で個々の成長を支える研修制度が整備されており、段階に応じて学び直し・スキルアップの機会が用意されています。看護学生のうちから、将来どの段階まで進みたいかをイメージできるため、キャリアパスの豊富さも魅力です。

5.今後の保健師の給料について

保健師の初任給や平均年収は比較的安定しているものの、今後は社会の変化に応じて給与水準が見直される可能性があります。特に、高齢化や健康課題の複雑化に伴い、地域・産業の現場で保健師が果たす役割の重要性が高く、需要増加が待遇改善につながるでしょう。

ここでは、将来の給与動向を見据えて押さえておきたいポイントを解説します。

需要の増加によって賃金改善が進む可能性がある

日本では高齢化の進行や生活習慣病の増加により、地域住民の健康を支える予防医療と地域保健の重要性が高まっています。その中心を担う保健師は、地域ごとの健康課題に対応するために欠かせない存在であり、今後さらなる需要の拡大が見込まれるでしょう。

全国保健師長会の調査でも、保健師の業務増加や役割の高度化が指摘されており、人材確保のために処遇改善の必要性が挙げられています。こうした動向から、今後は賃金や勤務環境の改善が進む可能性もあります。

特に、自治体や行政機関において、給与水準の見直し・働きやすい環境整備が進められれば、初任給・年収の上昇も期待できるでしょう。

産業保健師は役割・スキルで給与が上がりやすい

自治体や行政に勤務する保健師は安定した給与体系が特徴ですが、企業または健康保険組合で働く産業保健師は、役割・スキルによって収入に大きな差が生まれる傾向があります。

例えば、大手企業に務める産業保健師は、従業員の健康管理やメンタルヘルス対策、職場環境改善など幅広い業務を担い、企業の生産性に直結する役割を持つため、比較的高い給与水準が設定されやすいといわれています。

さらに、英語やITスキル、統計解析の知識などを活かして活躍できれば、より高い報酬にもつなげることが可能です。

一方、中小企業や非常勤勤務では給与水準が低くなるケースもあるため、学生のうちから幅広いスキルを磨き、さまざまな分野で活躍できるように準備しておきましょう。

6.まとめ

保健師は、看護師資格を持ちながら地域の健康を守る専門職として、多様なキャリアパスと安定した収入を得られる職種です。学生のうちから実習やボランティアを通じて現場を経験し、就職先の情報を早めに収集することで、自分に合った働き方を見つけやすくなります。

また、自治体や企業による研修制度、キャリアラダーの仕組みを活用すれば、段階的にスキルアップしながら長期的に成長していけます。さらに、給与面についても年齢や経験に応じて上昇し、安定した生活を支える水準が確保されているといえるでしょう。

これから保健師を目指すなら、どの分野で活躍したいか・どの地域で働きたいかを意識しながら、学びと経験を積み重ねていくことが重要です。情報収集を早めに行うには、まずマイナビ看護学生に登録し、説明会・セミナーへの参加や病院検索を行ってみましょう。