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産婦人科看護師になるには?主な仕事内容や一日の流れ、求められるスキルを解説
産婦人科看護師は、妊娠・出産という人生の大きな節目に寄り添い、母子の安全と安心を支える大切な役割を担います。また、子宮や卵巣など女性特有の疾患に関わることも多いため、専門的な知識だけでなく、患者一人ひとりに寄り添う思いやりと柔軟な対応力が欠かせません。
本記事では、産婦人科看護師を目指す看護学生の方々に向けて、実際の仕事内容や一日の流れ、求められるスキルなどをわかりやすく解説します。
監修者
荒井 麻弥

昭和大学保健医療学部看護学科卒業。大学病院の集中治療室で急性期看護に従事したのち、産業保健師として労働者の健康管理やメンタルヘルス支援に携わる。離島医療や高齢者施設での勤務を経験し、急性期から慢性期、在宅支援、終末期ケアまで幅広い領域を担当。地域特性に応じた支援や多職種連携を重視し、一人ひとりの生活に合わせたケアを心がける。これまでの幅広い臨床経験をもとに、看護師や保健師を目指す方に役立つ情報を発信中。
INDEX
1.産婦人科看護師になるには何をすればいい?
新卒から産婦人科看護師を目指す場合、具体的に何をすればいいのでしょうか。ここでは、産婦人科看護師に必要な資格について解説したうえで、役割や年収など産婦人科看護師の基本を紹介します。
看護師資格以外に特別な資格は不要
産婦人科看護師として働く際、看護師資格以外に特別な資格は必要ありません。看護師資格を持つ方で、産婦人科のある病院などに採用されれば、誰でも産婦人科看護師になることができます。
ただし、産婦人科看護師には一般的な病棟看護師にはない役割があるため、新卒から目指す場合は学生のうちに仕事内容などについて確認しておくことが大切です。
産婦人科看護師の役割
産婦人科は「産科」と「婦人科」の総合診療科です。
産科としての主な役割は、妊娠・出産・産後という女性の大きな転機に寄り添い、安心してその時期を過ごせるように支えることです。「新しい命の誕生」という喜びの場面に関われる点は、産婦人科看護師ならではの魅力と言えます。
一方、婦人科としての主な役割は、子宮や卵巣など女性特有の器官に関わる疾患の治療サポートです。患者さんの生活背景や心の負担に配慮しながら、女性の健康を生涯にわたって支える役割を担います。
このように産婦人科看護師は、女性のライフステージに寄り添いながら、産科と婦人科の両面で専門性を発揮できる職業です。
助産師・婦人科看護師との違い
助産師は、看護師資格に加えて助産師国家資格を持ち、出産前の健康指導や正常分娩の介助、母乳指導といった出産に関わる一連の流れを主体的にサポートできます。一方、産婦人科看護師は分娩そのものを取り扱うことはできず、医師や助産師のサポート、患者さんのケアが主な仕事です。
また、婦人科看護師とは女性特有の疾患を診察・治療する婦人科で働く看護師を指します。婦人科に産科の機能はないため、基本的に婦人科看護師が分娩に関わることはありません。
産婦人科看護師の年収
産婦人科看護師の年収について特化したデータは公表されていませんが、基本的に一般看護師の年収と大きな差はないと考えられます。
厚生労働省のデータから算出した2024年の看護師平均月収・平均年収は次のとおりです。
看護師の平均年収
| 平均月収 | 363,500円 |
|---|---|
| 平均年収 | 5,197,000円 |
企業規模計(10人以上)
【出典】e-Stat「令和6年賃金構造基本統計調査|職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
なお、日本看護協会の資料によると、2024年の看護師平均初任給(税込給与総額)は以下の金額でした。
看護師の平均初任給
| 高卒+3年課程新卒の平均初任給 | 276,127 円 |
|---|---|
| 大卒の平均初任給 | 284,063 円 |
【出典】日本看護協会「2024年 病院看護実態調査 報告書」
2.産婦人科看護師として働ける主な職場
産婦人科看護師になりたいと考えた場合、就職先にはどのような選択肢があるのでしょうか。ここでは、産婦人科看護師として働ける主な職場を4つ紹介します。
総合病院の産婦人科
総合病院に設置されている産婦人科では、正常な妊娠・出産のサポートだけでなく、合併症を抱える妊婦さんやハイリスク出産への対応も行われます。
また、子宮筋腫・卵巣嚢腫・子宮がんなどの婦人科疾患に対する治療・手術も行われるため、看護師は幅広い医療知識と技術を身につけることができます。
産科・レディースクリニック
産科・レディースクリニックとは、妊婦健診や分娩、婦人科疾患の外来診療などを中心に行う小規模医療機関のことです。大規模な総合病院と比べると患者さんとの距離が近く、アットホームな雰囲気で働きたい方に向いています。
緊急時には限られた設備・人員で対応する必要があるため責任は大きいですが、その分やりがいも感じやすい環境と言えます。
不妊治療専門クリニック
不妊治療専門クリニックとは、妊娠を希望する方に向けて、不妊の原因を調べたり治療を行ったりすることに特化した医療機関です。
一般的な産婦人科や婦人科でも不妊治療を行う場合はありますが、不妊治療専門クリニックは分娩や婦人科疾患の診療は扱わず、体外受精や顕微授精など高度生殖医療まで含めた不妊治療のみを提供している点が大きな特徴です。
生殖医療に関する知識やスキルを高めたい方にとっては、大きな学びの場になります。
助産院
助産院とは、助産師が中心となって妊娠・出産・産後のケアを提供する施設のことです。医師はおらず、帝王切開や分娩誘発などの医療行為は行えないため、医学的リスクの低い正常分娩を対象としています。
基本的に、看護師はサポートスタッフとして助産師の補助や妊産婦さんのケアを行います。高度な医療スキルを学ぶより、家庭的な雰囲気の中で一人ひとりと向き合いながら、温かいケアを提供したいという方に向いています。
3.産婦人科看護師の主な仕事内容と一日の流れ
産婦人科看護師は具体的にどのような仕事を行っているのでしょうか。ここでは、産婦人科看護師の主な仕事内容と、産科病棟で働く看護師の一日の流れを解説します。
産婦人科看護師の主な仕事内容
産婦人科看護師の仕事は、妊産婦や新生児のケアに加えて、女性特有の疾患に関わるため細やかな配慮が求められます。ここでは、産科と婦人科に分けて、それぞれの仕事内容を詳しく紹介します。
【産科の仕事内容】
| 主な仕事 | 内容 |
|---|---|
| 医師の診療・治療の補助 | バイタル測定、尿・血液検査補助、内診・エコー検査補助など |
| 分娩時の介助 | 医療機器の準備、陣痛管理、呼吸・姿勢のサポート、出産時の補助など |
| 産後ケア | 産褥婦の更衣・歩行介助・体調管理など |
| 新生児ケア | 新生児の体温・体重測定、発育・健康チェック、授乳サポートなど |
| 退院後の生活相談 | 経産婦さんとご家族からの生活相談受付、授乳・沐浴指導など |
【婦人科の仕事内容】
| 主な仕事 | 内容 |
|---|---|
| 医師の診療・治療の補助 | バイタル測定、注射、点滴など |
| 手術前後のケア | 手術前の精神的ケア、手術後の創部観察、疼痛コントロール、化学療法時の副作用対応、患者さんやご家族への説明など |
| 不妊治療相談・サポート | 排卵日管理、人工授精や体外受精のスケジュール調整、心理的サポート、治療計画の説明など |
| 更年期障害相談・サポート | 更年期にみられる症状についての相談受付、治療に関する説明、生活習慣改善に関するサポートなど |
病棟で働く産婦人科看護師の一日の流れ
病棟で働く産婦人科看護師の一日の流れを、日勤と夜勤に分けてそれぞれ紹介します。細かい仕事内容は病院によって異なるため、一例として参考にしてください。
日勤の流れ
日勤で働く産婦人科看護師の仕事の流れは次のとおりです。
| 時間帯 | 主な仕事内容 |
|---|---|
| 8:00 | 出勤
|
| 9:00 |
|
| 10:00~12:00 |
|
| 12:00 |
|
| 12:45~ | 休憩(交代で昼休憩をとる) |
| 13:00~17:00 |
|
17:00 |
退勤 |
夜勤の流れ
夜勤で働く産婦人科看護師の仕事の流れは次のとおりです。
| 時間帯 | 主な仕事内容 |
|---|---|
| 16:30~17:00 | 出勤
|
| 17:00 |
|
| 18:00 |
|
| 19:00~21:00 |
|
| 21:00~1:00 | 消灯
|
| 1:00~8:00 | 休憩(交代で仮眠・仮眠のない病棟もあり)
|
8:00 |
退勤 |

荒井 麻弥
産婦人科看護師の業務は、産科・婦人科で大きく異なります。産科では分娩対応や産後ケアが中心となる一方、婦人科では手術前後の看護、検査説明、長期治療に伴う精神的サポートが重要です。実際の現場では産婦人科の両方を担当するケースも少なくありません。分娩対応や産後ケアに加え、婦人科手術や検査、治療を同時に担うため、状況に応じた気持ちの切り替えと幅広い知識が求められます。
4.産婦人科看護師が感じる「やりがい」と「大変なこと」
産婦人科看護師は、他の科の看護師では味わえない喜びがある一方で重い責任を感じることもあります。ここでは、産婦人科看護師として働くうえでの「やりがい」と「大変なこと」について解説します。
産婦人科看護師のやりがい
「命の誕生」に直接かかわることができるのは、産婦人科看護師にとって最も大きなやりがいの一つでしょう。出産という人生の幸せな節目をサポートし、新生児のお世話を通して妊産婦さんやご家族と喜びを分かち合えることは、その他の診療科の看護師にはない特別な体験です。
また、女性特有の身体や心の悩みに深く寄り添えるのも、産婦人科看護師ならではのやりがいです。がん治療や更年期という困難な状況をサポートし、女性が自信を取り戻して歩み出す姿を見届けられたときは、産婦人科看護師として大きな達成感を感じられるでしょう。
産婦人科看護師の大変なこと
妊婦さんや産後の母体、新生児の体調は急変のリスクがあるため、常に注意深く観察しながら適切な判断を行わなければなりません。また、出産は時間を選ばないので、日中・夜間を問わず分娩サポートなどのハードワークが重なることもあります。
さらに、産婦人科では患者さんにデリケートな質問をしなければならない場面も多いため、看護師には細やかな配慮が求められます。治療や手術の補助に加えて、患者さんやご家族への説明、心のケアといった幅広い業務を同時にこなす必要があることも、大変だと感じる点です。

荒井 麻弥
産科では新しい命の誕生に立ち会える喜びがあり、婦人科では女性の不安や喪失体験に寄り添えることが大きなやりがいになります。一方で、婦人科ではがん告知や不妊治療など、精神的に重い場面に直面することも少なくありません。そのため、産婦人科看護師には専門的な知識だけでなく、自身の心のケアも含めたセルフマネジメントが重要になります。
5.産婦人科看護師に求められるスキルと高め方
産婦人科看護師を目指す学生の方々に向けて、求められるスキルと高め方を紹介します。ぜひ、学生のうちから少しずつ取り組んでみてください。
変化を早期に察知する「観察力」
産婦人科看護師は、妊産婦や新生児の変化をいち早く察知する「観察力」が非常に重要です。体温、血圧、心拍、子宮収縮の具合、出血の有無など微細な変化を見逃さず、迅速に対応することが母体と赤ちゃんの安全につながります。
また、重い婦人科疾患で治療中の患者さんは急変のリスクもあるため、容態の変化を見逃さないよう常に目を配る必要があります。
観察力を高めるには、「病院実習で患者さんの状態を細かく観察し、記録する」「バイタルサインの数値だけでなく、その変化が何を意味するかを考える習慣をつける」「観察した内容をまとめ、後で振り返ることで経験を蓄積する」といったことが有効です。
患者さんやご家族に安心感を与える「コミュニケーション力」
妊娠・出産・婦人科疾患の治療は不安を伴う場面が多いため、産婦人科看護師は適切な言葉かけをして、患者さんやご家族を安心させることが大切です。
コミュニケーション力を高めたい方は、先輩看護師や教員の声かけ方法を観察し、自分なりに真似してみるのも良い方法です。また、実習で患者さんと接する際は、言葉の内容だけでなく表情・声のトーン・ジェスチャーなども意識して、相手が明るい気持ちになるような雰囲気作りに努めましょう。
緊急の事態にも冷静に対応できる「判断力」
産婦人科では、急な分娩や新生児の状態変化に加え、婦人科患者さんの急変や術後トラブルなど、緊急対応が必要な場面が多くあります。そのため、冷静に対応できる「判断力」が不可欠です。
学生の方は、教科書や実習で学んだケースをもとに、「もし自分が産婦人科看護師ならどう対応するか」を考え、理由と手順を整理してみましょう。また、同時に複数の処置が必要な場面で、何を優先すべきかを考える訓練を行うことも、判断力の向上につながります。

荒井 麻弥
産婦人科看護師には、産科で求められる迅速な判断力に加え、婦人科で必要とされる丁寧な説明力や傾聴力が求められます。患者が抱える悩みを言葉にしにくい場面も多く、信頼関係の構築が看護の質を左右します。日々の関わりを振り返り、「なぜこの声かけをしたのか」を考えることがスキル向上につながります。
6.まとめ
産婦人科看護師は、妊婦や産後の母体、新生児のケアを中心に、診察補助や分娩サポートをおこないます。さらに、女性特有の疾患に対する診療や手術の補助、治療中の患者さんの看護にも関わります。看護師資格があれば特別な資格なしでも働くことができ、生命の誕生に立ち会えたり、女性の健康をサポートできたりする点は大きな魅力です。
卒業後、産婦人科看護師として活躍したい方は、求められるスキルを学生のうちから意識しておくと良いでしょう。
また、自分に合った職場を探すための情報収集も欠かせません。マイナビ看護学生では、産婦人科看護師として働ける多くの病院情報をチェックでき、将来の働き方をイメージするのに役立ちます。説明会や見学会の情報も豊富なので、自分らしいキャリアを描くため、ぜひ活用してみましょう。














荒井 麻弥
産婦人科看護師の職場は、分娩を扱う病棟だけでなく、婦人科外来や手術を行う病院、女性医療に特化したクリニックなど様々です。自分が「命の誕生」と「女性の健康」のどちらにより関わりたいかを考えることが、職場選びのヒントになります。