公立病院と民間病院の違いとは?看護師の初任給や就活のポイントも解説

公立病院と民間病院の違いとは?看護師の初任給や就活のポイントも解説

公立病院と民間病院は運営母体が異なり、施設数や役割などにも大きな違いがあります。また、看護師の仕事内容や初任給についても公立病院と民間病院では差が見られます。

本記事では、これから看護師を目指す学生の方々に向けて、公立病院と民間病院の違いやそれぞれのメリットをわかりやすく解説し、自分に合う就職先を選ぶポイントを紹介します。

1. 公立病院と民間病院の違いは?

公立病院と民間病院は、運営母体や施設数、役割などに大きな違いがあります。ここでは、それぞれの違いについて詳しく解説します。

運営母体の違い

公立病院は、都道府県や市町村などの自治体が運営する病院です。「○○県立○○病院」「○○市立○○病院」などは、公立病院にあたります。

一方、民間病院の母体は医療法人や企業、個人であり、経営方針やサービス内容には独自性が見られます。中には、複数の病院をグループ化して全国展開しているケースもあります。

施設数の違い

令和7年に総務省が公表した資料によると、全国の病院数は8,044あり、そのうち公立病院は844(10.5%)、民間病院(※)は6,549(81.4%)でした。このように、日本では民間病院の割合が非常に高く、多くの医療サービスが民間によって支えられていることがわかります。

ただし、人口密度が低い地域においては、公立病院が優位な傾向にあります。例えば、山形県における公立病院の病床数の割合は45%、岩手県は42%でした。これは、東京の10.1%、大阪の11.2%を大きく上回っています。

※国公立、公的病院以外の病院

役割の違い

上述したように、日本では民間病院の比率が高く、病院数の8割、病床数の7割、救急搬送の6割を占めています。特に人口密度の高い都市部において、民間病院は急性期・慢性期を含めた幅広い医療を支える存在です。

一方、公立病院は民間病院では対応が難しいへき地医療や、救急・小児・周産期・災害・精神などの不採算・特殊分野、高度・先進医療といった公共性の高い役割を担っています。

このように、両者がバランスよく機能することで、全国どこでも適切な医療を受けられる体制が保たれているのです。

2. 公立病院と民間病院で働く看護師に違いはある?

ここからは、公立病院と民間病院、それぞれで働く看護師の仕事内容や初任給の違いについて紹介します。

看護師の仕事内容の違い

公立病院と民間病院では、看護師の基本的な仕事内容に大きな違いはありません。どちらの看護師も、患者さんのケアや診療補助など、医療現場において重要な役割を担っています。

ただし、公立病院は地域医療を支える中心的な存在であるため、看護師には幅広い知識や高度な技術、そして最新の医療にも対応できる力が求められる場合があります。

一方、民間病院の中でも看護師が少ない病院では業務が細分化されていないので、看護師一人ひとりがさまざまな業務を幅広く担当することになります。ただし、内科や眼科、整形外科など、特定の診療科に特化している民間病院の場合は扱う疾患が限られており、看護師の業務範囲は比較的明確です。

なお、公立病院の看護師は多くの場合「地方公務員」として勤務しますが、民間病院では「一般職員」として雇用されるという立場の違いもあります。

看護師の初任給の違い

2024年の日本看護師協会資料から、公立病院と民間病院で働く看護師の初任給(大卒)を紹介します。

なお、民間病院についてはさまざまな法人に分かれていますが、最も施設数が多い「医療法人」の初任給を参照しています。

平均基本給与額 平均税込給与総額(※)
公立病院 231,333円 293,473円
民間病院(医療法人) 209,076円 279,189円

※通勤手当、住宅手当、家族手当、夜勤手当、
当直手当、看護職員処遇改善等事業に基づく
手当等を含む。(時間外手当は含まれない)

このように、初任給の平均額を比較すると公立病院の方が高くなっています。ただし、民間病院は数が多く働き方の選択肢も豊富なため、公立病院よりも高い初任給が支給されるケースもあります。

3. 公立病院で働くメリット

公的機関として運営されている公立病院には、安定した収入と充実した教育制度という大きなメリットがあります。

給料や賞与が安定している

公立病院の看護師は、多くの場合「地方公務員」として勤務します。そのため、給与や手当は公務員給与規程に基づいており、景気の影響を受けにくいのが特徴です。

また、公立病院は賞与や昇給も制度として確立されていることが多く、安定した収入と雇用が確保されている中で、安心して長く働き続けることができます。

教育制度が充実していることが多い

公立病院は地域医療の中核として高水準な医療提供が求められるため、新人看護師の教育制度や研修体制が充実している傾向にあります。

また、段階的なキャリア支援や認定・専門看護師の育成制度などが整っている病院も多く、看護師として働きながら成長し続けたい人にとっては、大きなメリットといえるでしょう。

4. 民間病院で働くメリット

民間病院のメリットとしては、就職の選択肢が多いこと、また専門分野に特化した病院が多く専門性を高められる可能性があることなどが挙げられます。

就職の選択肢が多い

全国にある病院のうち8割を民間病院が占めており、規模や専門分野はさまざまです。求人数も多く選択肢が豊富なので、自分の希望に合わせて職場を選びやすいというメリットがあります。

急性期や療養型、専門クリニックなど、働き方やライフスタイルに合った環境を選べるのは、民間病院ならではの魅力です。

専門性を高められる可能性がある

民間病院の中には、内科や小児科、整形外科など、特定の診療科に特化した専門病院が多くあります。そのような病院で働いた場合、看護師が担当する診療科目も固定されるため、日々の業務を通して実践的に専門性を高めることができます。

民間病院は、特定分野で着実にキャリアを積みたい看護師にとって、成長の機会が豊富な環境といえます。

5. 看護学生が就職先を選ぶ際のポイント

公立病院と民間病院のメリットを踏まえたうえで、看護学生が就職先を選ぶ際は、さらに次のような点をチェックしておくと良いでしょう。

教育や資格制度は整っているか

看護の現場では、知識や技術を常に更新しながら業務にあたる必要があります。また、仕事への不安を減らし、安心してスキルを身に付けるには、教育や資格制度の有無が非常に大切です。

先述のとおり、公立病院は教育制度が整っていることが多いものの、制度の内容や充実度は病院によって異なります。これは民間病院でも同様で、病院ごとに教育方針やサポート体制には大きな差があります。

そのため、就職先を選ぶ際は公立・民間に関わらず、どのような教育制度やキャリア支援があるのかをしっかり確認しておきましょう。

具体的な制度には、「プリセプター・ブラザーシスター制度」「配属前の病棟研修」「階層別研修」「ジョブローテンション制度」「認定・専門看護師の資格取得支援制度」などがあります。

福利厚生は充実しているか

福利厚生とは、職員が安心して働けるように整えられたサポート制度のことです。例えば、寮や住宅手当、通勤手当、特別休暇制度、産休・育休制度、保育所の有無、医療費の補助、職員食堂などが挙げられます。

福利厚生が充実していると、生活面での負担が減り、安定して長く働き続けやすくなりますので、待遇や教育制度とあわせてチェックしておきましょう。

自分が目指す働き方を実現できるか

看護師を目指すにあたって、希望する働き方は人それぞれです。「夜勤を頑張って高収入を目指したい」という方がいれば、「生活リズムを重視し日勤だけで働きたい」という方もいるでしょう。

また、「最先端の高度医療に携わりたい」「患者さんとじっくり向き合いたい」「スキルを磨いてキャリアアップしたい」など、目指す方向性によっても選ぶべき病院は変わります。

就職後のミスマッチを防ぎ、安心して長く働くためには、自分の希望と職場の環境が合っているかを見極めることが大切です。

6. まとめ

公立病院と民間病院は、運営母体や役割、教育体制などに違いがあります。公立病院は地域医療の中核として幅広い医療を担い、安定した収入や充実した教育制度が魅力です。一方、民間病院は多様な働き方や専門分野でのスキルアップがしやすい特徴があります。

就職先を選ぶ際は公立・民間に関わらず、教育体制や福利厚生の充実度、さらには自分の目指す働き方が実現できるかどうかを見極めることが大切です。

これらの情報を正確につかむには、病院が実施する見学会や説明会に参加して、直接確認してみるのがおすすめです。看護学生向けの情報サイトであるマイナビ看護学生に登録すると、最新の見学会や説明会の情報がチェックできますので、ぜひ積極的に活用して自分に合った病院を見つけましょう。