大学病院と一般病院の違いは?看護師の初任給や働くメリットを解説

大学病院と一般病院の違いは?看護師の初任給や働くメリットを解説

大学病院と一般病院は役割が異なり、働く看護師の仕事内容や初任給にも違いがあります。新卒で働く場合は、将来どのような働き方をしたいか、キャリアプランをどう描くのかなどによって選ぶべき道も変わってくるでしょう。

本記事では、大学病院と一般病院の違いやそれぞれで働くメリットなどを紹介し、看護学生のみなさんが就職先を選ぶ際のポイントを解説します。

1. 大学病院と一般病院の違いは?

大学病院と一般病院は、「役割」「教育・研究体制」「病院数」などにおいて大きな違いがあります。ここでは、それぞれの違いについて詳しく解説します。

大学病院とは

大学病院とは、医学部・歯学部の教育や研究をおこなうために設置された大学に付属する病院です。診療・研究・教育という3つの使命を持ち、毎年多くの学生や医療従事者に対して実習と研修を実施しています。

また、約9割の大学病院が、高度医療の提供や最新技術の開発、研修の実践にあたる「特定機能病院」として承認されており、最先端の医療設備と複数の診療科を備えていることが多いのも特徴です。

大学病院の数を見ると、令和5年4月1日時点で177施設であり、全病院の約2%に過ぎません。しかし、職員の割合に注目すると、大学病院に勤務する常勤医師は医師全体の23.7%、常勤看護師は看護師全体の12.5%を占めています。このことから、施設数は少ないものの、大学病院で働いている医療従事者の数は多いことがわかります。

一般病院とは

一般病院に明確な定義はありませんが、厚生労働省によると病院の類型は「一般病院」「特定機能病院(大学病院など)」「地域医療支援病院(地域医療を担うかかりつけ医など)」 「精神病院」 「結核病院」の5つに分けられています。

つまり、一般病院とは特定の役割を持たず、高度な医療技術で幅広い疾患の診療にあたる病院と言えるでしょう。

また、医療法においては病床が20床以上の医療施設を「病院」、19床以下の医療施設を「診療所」と定めているため、一般病院として区分されるには、20床以上の病床を備えている必要があります。

2. 大学病院と一般病院で働く看護師に違いはある?

病院としての役割に大きな違いのある大学病院と一般病院ですが、そこで働く看護師にはどのような違いがあるのでしょうか。仕事内容と初任給という観点から、それぞれの違いを解説します。

仕事内容の違い

大学病院と一般病院、それぞれで働く看護師の仕事内容には主に次のような特徴があります。

大学病院で働く看護師の特徴 一般病院で働く看護師の特徴
・高度かつ最先端の医療に関わる機会が多く、専門性の高い看護が求められることがある

・「教育」という使命を担っているため、学生の実習など育成に関わる場面が多い

・医療体制が細分化されており、専門職との連携が密に行われる
・地域の患者さんを中心に、日常的な疾患から慢性期まで幅広い看護をおこなうことがある

・患者さんと長く関わりながら、生活に寄り添った看護を提供することが多い

・病院によっては、一人ひとりの看護師が担う業務範囲が広くなるケースがある

患者さんに対するケアにおいては、大学病院と一般病院で大きな違いはありません。ただし、大学病院では難易度の高い手術や重症患者を治療する三次救急に対応していることも多く、看護師には高い専門性が求められる可能性があります。

一方、一般病院では大学病院よりも少ない人数で幅広い疾患に対処する場面があるため、一人ひとりの看護師が担う業務範囲が広くなることもあるでしょう。

初任給の違い

2024年に公表された日本看護協会の資料から、「国立」「公立」「私立学校法人」および、一般病院を含む設置主体全体の平均初任給(高卒+3年課程)を見てみましょう。

平均基本初任給額 平均税込初任給総額(※)
国立 217,384円 281,518円
公立 224,661円 283,503円
私立学校法人 213,773円 292,410円
一般病院を含む設置主体全体 209,697円 276,127円

※通勤手当、住宅手当、家族手当、夜勤手当、当直手当、看護職員処遇改善等事業に基づく手当等を含む(時間外勤務の手当は除く)。夜勤をした場合には、当該の月に三交代で夜勤8回(二交代で夜勤4回)をしたものと想定。

大学病院を運営していることの多い「国立」「公立」「私立学校法人」の平均初任給は、一般病院を含む設置主体全体の平均額より高い傾向です。

理由としては、診療報酬の高い高度医療を提供していることや、特に私立大学では学校法人として安定した経営基盤があることなどが挙げられます。

ただし、一般病院の中には大学病院より高い初任給を支給しているケースもありますし、夜勤手当などによっても支給額は変動するため、給料の平均値だけで判断せず、各病院の条件をしっかりチェックすることが大切です。

3. 大学病院で働くメリット

大学病院で看護師として働くと、「高度な医療に関われる」「教育体制が充実している」といったメリットを享受できます。ここでは、それぞれのポイントを詳しく解説します。

高度・最先端医療に携われる

多くの大学病院では、がん治療、臓器移植、救命医療など、専門性の高い高度医療が日常的に行われています。そのため、看護師は最先端の医療機器を使った看護や、複雑な疾患を抱える患者さんのケアに携わる機会が豊富です。

医師・薬剤師・リハビリスタッフなど、多職種と連携してチーム医療を行う場面も多く、専門知識や臨床判断力を高めたい方にとっては最適な環境と言えます。

教育・研修制度が整っている

大学病院は医療人材の育成を担う場であり、一般病院と比べて採用人数も多い傾向にあるため、教育体制が充実している施設が多いです。1対1で先輩がサポートする「プリセプター制度」や、段階的に学べる研修プログラムを用意している病院であれば、基礎から応用までしっかりスキルを身につけられます。

専門分野の勉強会や院内研修も多く、資格取得を支援する制度を設けている病院もあります。学びの機会が豊富なため、着実に成長できるのは大学病院の大きなメリットです。

4. 一般病院で働くメリット

続いて、一般病院で働いた場合のメリットを紹介します。「幅広い臨床経験」「地域の患者さんとの関わり」という2点について見ていきましょう。

幅広い臨床経験が積める

一般病院では、年齢層・疾患の種類・重症度などが異なる患者さんを受け持つ機会が多く、幅広い臨床経験を積むことができます。

大学病院のように診療科が細かく分かれていない場合は、外科・内科・循環器・消化器など、さまざまな疾患をもつ患者さんを受け入れることも一般的です。そのため、幅広い基礎的スキルが身につき、「どんな現場でも対応できる力」を育てやすいというメリットがあります。

また、急性期から慢性期、在宅への移行支援まで一連の流れを経験できる病院も多く、看護師としての視野が広がりやすい点も魅力です。

地域の患者さんとじっくり関われる

一般病院は地域に密着した医療を提供しているため、患者さんと長く、深く関わりやすい傾向があります。繰り返し受診する患者さんも多く、ご本人の生活環境を理解しながら継続的に看護をおこなうことができます。

また、退院後の生活や在宅医療、地域のかかりつけ医との連携など、患者さんの「その後」まで見届けられるケースもあり、日常生活に寄り添った支援がしやすい点も特徴です。

こうした継続的な関わりを通じて、患者さんとの信頼関係が深まれば、看護師としてのやりがいをより強く実感できるでしょう。

5. 新卒で働くならどっちがいい?大学病院と一般病院の選び方

大学病院と一般病院にはそれぞれ異なるメリットがあり、どちらを選ぶべきか悩む方も多いのではないでしょうか。ここでは、就職先を検討する際に知っておきたい選び方のポイントを紹介します。

将来のキャリアプランを軸に選ぶ

大学病院と一般病院で迷った場合は、まず将来のキャリアプランを基準に考えてみましょう。

例えば、「高度医療や専門領域のスキルを磨きたい」「認定看護師・専門看護師をめざしたい」「研究や教育にも関わりたい」といったキャリアを思い描いている場合は、教育体制が整っており、最新医療に触れる機会の多い大学病院が向いています。

一方で、「幅広い患者さんを看たい」「地域医療や在宅につながる看護に興味がある」「患者さんと長い期間関わりたい」と考えているなら、さまざまな年代・疾患の患者さんと向き合える機会の多い一般病院のほうが経験を積みやすいでしょう。

このように、「自分は将来どんな看護師になりたいのか」を軸に考えることで、自分に合った就職先を選びやすくなります。

教育や資格制度を確認する

病院ごとに、「新人研修の内容や長さ」「プリセプター制度の有無」「認定看護師・専門看護師の取得支援制度」などは大きく異なります。

基本的に、大学病院では体系的な教育制度が用意されている場合が多く、院内研修・学会参加・資格取得支援など、成長を後押しする仕組みが整っています。高度医療に対応するための専門研修を実施している病院もあり、キャリア形成を意識しやすい環境です。

一方、一般病院でも教育が手厚いところはあり、病院規模によっては一人ひとりの成長を細かくフォローしてもらえたり、地域医療や幅広い診療科を生かした研修を実施している病院もあります。

このように、「どんな研修が受けられるのか」「資格取得をサポートしてくれるか」などを事前に確認することで、自分の成長に合った環境を見極めることができます。

福利厚生や職場の雰囲気も重要

新卒で働く病院を選ぶ際は、福利厚生や職場の雰囲気といった「働きやすさ」も必ず確認しておきましょう。

まず、住宅手当・扶養手当・通勤手当のほか、寮や社宅の有無、休暇制度、育児支援制度などのサポート体制は、長く働くうえで生活に大きな影響を与えます。自分の生活スタイルに合った福利厚生があるかどうか、事前にしっかり確認することが大切です。

また、人間関係やチームワークの良さは、働きやすさを左右する重要な要素です。これは求人票だけでは判断できないため、病院説明会や見学会に参加して、職場の雰囲気を感じたり、先輩看護師に質問したりするのが良いでしょう。

6. まとめ

大学病院と一般病院は、病院としての役割に大きな違いがあり、そこで働く看護師の初任給や教育体制も異なる場合があります。

どちらで働くべきか迷っている方は、それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで、将来のキャリアプランを見据えながら判断しましょう。その際は、求人情報だけでなく、病院説明会や見学会に参加し、実際の雰囲気を確かめることが大切です。

看護学生向けの情報サイトであるマイナビ看護学生に登録すれば、合同説明会や就職セミナーなどの最新情報を効率よく収集でき、就職先選びの幅も広がります。ぜひマイナビ看護学生を積極的に活用して、満足できる職場を選びましょう。