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専門看護師とは?役割や分野一覧、認定看護師との違いを解説
専門看護師(CNS:Certified Nurse Specialist)とは、「ある特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有する」看護師のことで、日本看護協会の専門看護師認定審査に合格するとその資格を取得することができます。
本記事では、専門看護師の定義からその役割、専門看護分野の一覧、そして認定看護師との違いまで、わかりやすく解説します。専門看護師になるメリットなども紹介しますので、ぜひキャリアプランの参考にしてください。
※2025年12月9日時点の情報です。最新の資格要件については、各公式サイトをご参照ください。
INDEX
1.専門看護師とはどんな看護師?
専門看護師とは、「ある特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有する」看護師のことで、日本看護協会の登録商標です。CNS(Certified Nurse Specialist)と表記されることもあります。
日本看護協会が資格制度を設けており、分野は全部で14分野です(※2025年12月時点)。その分野において水準の高い看護を効率よく行うための技術と知識を深め、卓越した看護を実践できると認められた看護師が専門看護師を名乗ることができます。
専門看護師の役割
日本看護協会によれば、専門看護師はそれぞれの分野において以下の6つの役割「実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究」を果たすとされています。
- 個人、家族及び集団に対して卓越した看護を実践する。(実践)
- 看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う。(相談)
- 必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う。(調整)
- 個人、家族及び集団の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決を図る。(倫理調整)
- 看護者に対しケアを向上させるため教育的役割を果たす。(教育)
- 専門知識及び技術の向上並びに開発を図るために実践の場における研究活動を行う。(研究)
高い専門性と広い視野を持ち、患者やその家族に起きている問題を総合的に捉えて判断するとともに、施設全体や地域の看護の質の向上に努めるのが専門看護師の役割だといえるでしょう。
専門看護師の働き方
専門看護師は、病院の病棟や外来、訪問看護ステーションなどの看護の現場で専門性を生かした高度なケアを実践するのはもちろん、看護部といった管理部門でマネジメントや教育に携わることも多いです。
また、複数の部署・フィールドをまたいだ調整役として活動するのも特徴で、院内の医師や看護師などのスタッフ以外に、ほかの医療機関や介護・福祉関係者とも連携する機会が多いでしょう。
仕事内容は多岐にわたりますが、マネジメントや調整役としての業務は日中に行うことがほとんどなので、夜勤のない日勤のみの働き方になるケースもあります。
専門看護師の現状
2024年12月時点での専門看護師の人数は、全国で3,473人です。登録者数は分野ごとに差があり、もっとも人数が多い「がん看護」では1,000人以上の専門看護師がいる一方、近年創設された「災害看護」「遺伝看護」「放射線看護」などは50人以下となっています。
【登録者数】
| がん看護 1,133人 | 精神看護 454人 | 地域看護 30人 |
| 老人看護 290人 | 小児看護 321人 | 母性看護 98人 |
| 慢性疾患看護 287人 | 急性・重症患者看護 425人 | 感染症看護 120人 |
| 家族支援 99人 | 在宅看護 137人 | 遺伝看護 25人 |
| 災害看護 43人 | 放射線看護 11人 | 合計 3,473人 |
※2024年12月時点
平均年齢は47.2歳で、分野別に見てもほとんどで平均は45歳を超えています。このことから、ある程度の経験を積んだ中堅以上の看護師が専門看護師として活躍していると考えられるでしょう。
【平均年齢】
| がん看護 47.9歳 | 精神看護 47.6歳 | 地域看護 51.8歳 |
| 老人看護 47.6歳 | 小児看護 45.5歳 | 母性看護 46.2歳 |
| 慢性疾患看護 47.5歳 | 急性・重症患者看護 45.5歳 | 感染症看護 48.1歳 |
| 家族支援 45.9歳 | 在宅看護 49.5歳 | 遺伝看護 44.7歳 |
| 災害看護 46.0歳 | 放射線看護 45.3歳 | 全体平均 47.2歳 |
※2024年12月時点
また、専門看護師は病院で働いているケースが74.1%ともっとも多いですが、それ以外にも大学などの学校や訪問看護ステーションといったさまざまな施設で活躍しています。病院の中では、病棟、外来、看護管理部(室)に所属するケースが多いです。
【所属先】
| 施設種別 | 人数 | 割合 | |
|---|---|---|---|
| 病院 | 2,566人 | 74.1% | |
| 病棟 | 937人 | 36.5% | |
| 外来 | 428人 | 16.7% | |
| 看護管理部(室) | 411人 | 16.0% | |
| ICU・CCU・HCU等 | 241人 | 9.4% | |
| 救命救急センター | 91人 | 3.5% | |
| 地域(在宅部門、訪問看護ステーション含む) | 60人 | 2.3% | |
| その他 | 398人 | 15.5% | |
| 学校・大学 | 408人 | 11.8% | |
| 訪問看護ステーション | 86人 | 5.4% | |
| クリニック・診療所 | 51人 | 1.5% | |
| 介護保険施設等 | 30人 | 0.9% | |
| 会社 | 19人 | 0.5% | |
| その他 | 72人 | 2.0% | |
| 離職中 | 129人 | 3.7% | |
※2024年12月時点
2.専門看護師の「専門看護分野」一覧
専門看護師の制度では、専門看護分野ごとに資格が認定されます。専門看護分野とは、独立した専門分野として知識・技術に広がりと深さがあると認められたもので、全部で14分野あります。日本看護協会の資料をもとに、各分野とその特徴をまとめました。
| 分野 | 特徴 |
|---|---|
| がん看護 | がん患者の身体的・精神的な苦痛を理解し、患者やその家族に対してQOLの視点に立った看護を提供する |
| 精神看護 | 精神疾患患者に対する水準の高い看護、一般病院でも心のケアを行う「リエゾン精神看護」の役割を提供する |
| 地域看護 | 産業保健、学校保健、保健行政、在宅ケアにおいて水準の高い看護を提供し、地域の保健医療福祉の発展に貢献する |
| 老人看護 | 高齢者が入院・入所・利用する施設で、認知症や嚥下障害などの健康問題を持つ人のQOL向上につながる看護を提供する |
| 小児看護 | 子どもの健やかな成長・発達につながるよう療養生活を支援し、ほかの医療スタッフと連携して水準の高い看護を提供する |
| 母性看護 | 周産期の母子および家族への支援、女性のライフサイクル全般にわたる健康への援助といった看護ケアを提供する |
| 慢性疾患看護 | 生活習慣病予防、慢性的な不調を抱える人に対する慢性疾患の管理、健康増進、療養支援などに関する水準の高い看護を行う |
| 急性・重症患者看護 | 緊急度や重症度の高い患者に対する集中的な看護の提供、患者とその家族の支援、医療スタッフ間の調整などを通して最善の医療の提供につなげる |
| 感染症看護 | 施設や地域における個人や集団の感染予防と発生時の対策に従事し、感染症の患者に対して水準の高い看護を提供する |
| 家族支援 | 患者を含む家族のセルフケア機能を高め、主体的に問題解決できるよう身体的・精神的・社会的に支援することなどにより、患者の回復を促進する |
| 在宅看護 | 新たなケアシステムの構築や既存のケアサービスの連携促進も図りながら、在宅で療養する人とその家族が在宅療養を続けることを支援する |
| 遺伝看護 | 遺伝的課題を持つ人に対し、診断・予防・治療に伴う意思決定の支援、QOL向上のための療養生活支援を行い、医療・ケア体制の構築とゲノム医療の発展に貢献する |
| 災害看護 | 災害時にメンタルヘルスを含む適切な看護を提供するとともに、平時から他職種や行政等と連携・協働し、減災・防災体制の構築と災害看護の発展に貢献する |
| 放射線看護 | 放射線事故・災害や職業被ばくにおける平時からの体制構築、健康課題を有する人への長期的な看護、放射線診療を受ける人とその家族への水準の高い看護に従事する |
※2025年12月時点
3.専門看護師と認定看護師の違い
専門看護師と似た資格に、認定看護師(CN:Certified Nurse)があります。どちらも日本看護協会が認定する資格ですが、どのような違いがあるのでしょうか。以下の表では、この2つの看護師資格について概要を整理しました。
| 専門看護師 | 認定看護師 | |
|---|---|---|
| 定義 | ある特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有することを認められた者 | ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有することを認められた者 |
| 役割 | 専門看護分野における実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究 | 特定の看護分野における実践・指導・相談 |
| 分野 (※2025年12月時点) |
14分野 (がん看護、精神看護、地域看護、老人看護、小児看護、母性看護、慢性疾患看護、急性・重症患者看護、感染症看護、家族支援、在宅看護、遺伝看護、災害看護、放射線看護) |
19分野 (感染管理、がん放射線療法看護、がん薬物療法看護、緩和ケア、クリティカルケア、呼吸器疾患看護、在宅ケア、 手術看護、小児プライマリケア、新生児集中ケア、心不全看護、腎不全看護、生殖看護、摂食嚥下障害看護、糖尿病看護、乳がん看護、認知症看護、脳卒中看護、皮膚・排泄ケア) ※新制度のB課程の場合 |
| 登録者数 (※2024年12月時点) |
3,473人 | 24,974人 |
| 資格要件 |
|
|
どちらの資格も、その看護分野における高いスキルを持っていることを証明する点は同じですが、専門看護師のほうがよりハイレベルな専門性が求められるといえるでしょう。役割の面でも、専門看護師は幅広いフィールドでの活躍が期待されています。
分野については、認定看護師のほうが細分化されている傾向にあります。認定看護師は現場での各看護ケアにおいて、専門看護師はその看護領域全般においてスキルを発揮するイメージです。
4.専門看護師になるメリット
専門看護師の資格は、看護師のキャリアのさまざまな側面でプラスに働きます。特に以下の3つのメリットは、専門看護師の大きな魅力といえるでしょう。
高度な看護スキルが身に付く
専門看護師の資格取得に向けて学び、経験を積むなかで、自身が専門とする看護分野における高度なスキルが身に付きます。専門看護師を目指す方の多くも、看護スキルの向上をその理由の一つに挙げるでしょう。
現場での実践だけでなく、調整役としてのスキルも含めた総合的な知識や技術を身に付けられることが専門看護師の特徴です。患者に対する直接的な看護ケアにとどまらず、患者が抱える問題の全体像を把握してより良い医療の提供につなげる力が身に付きます。
キャリアの選択肢が広がる
高度な看護スキルが身に付くことで、キャリアの選択肢も広がります。病院で活躍できるのはもちろん、介護福祉施設や在宅医療サービス、教育・研究機関など、さまざまな場所でその専門性を生かせるでしょう。
また、病院というくくりの中でも、専門病院や特定機能病院、救命救急センターなど、働く病院の種類や所属する部署・部門の選択肢を広げやすくなります。
転職や復職にも有利になる可能性が高く、キャリアチェンジやキャリアアップ、キャリアの継続といった点でメリットを感じやすいでしょう。ほかの診療科目のスタッフや自身が働く施設以外の関係者などと接する機会も多く、人脈の広がりにも期待できます。
給与アップや昇進につながりやすい
専門看護師に期待される仕事の幅は広く、チーム医療の中心的な存在として活躍できます。また、専門看護師の資格を持っていることで、看護スキルの高さを客観的に示すことができます。こうした要素は、給与アップや昇進の足がかりとなるでしょう。
人事評価に反映されて昇給したり、看護スタッフの教育や人材育成などに関わる管理職に昇進したりするほか、資格手当によって給料が上がることもあります。
日本看護協会による2022年度の調査によれば、専門看護師の給与月額の平均は約43.5万円、そのうち基本給月額は平均約33万円で、資格手当が支払われる場合は平均して月額1.1万円程度でした。
| 給与月額 | 435,291円 |
|---|---|
| 基本給月額 | 331,456円 |
| 資格手当月額 | 11,279円 |
同じ2022年の厚生労働省の調査によると、看護師全体での「きまって支給する現金給与額」は344,300円なので、専門看護師の給与水準が比較的高いことが分かります。
【出典】日本看護協会「「2022年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査」報告書」
【出典】e-Stat「令和3年賃金構造基本統計調査(職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計))」
5.専門看護師になるには?
専門看護師になるには、通常の看護師免許の取得に加えて大学院での履修と実務研修が必要です。大学院での学びは2年程度、実務研修の期間は5年以上ですが、並行して進めることも可能です。資格取得までの流れは以下のようになります。
看護師免許取得
↓
看護系大学院の修士課程(専門看護師教育課程)で所定の単位(計38単位)を取得
5年間の実務研修(うち3年以上は専門看護分野の実務研修)
↓
認定審査(書類審査・筆記試験)
↓
専門看護師認定証交付・登録手続き
大学院で学ぶ内容や実務研修の内容、そして筆記試験の内容は、選ぶ専門看護分野によって異なります。2026年度からの認定審査では、筆記試験はマークシート方式の四肢択一問題となり、150点満点中105点以上で合格という基準です。
医療機関によっては専門看護師を目指す看護師への支援制度を設けており、職場のサポートを受けながら取得の準備ができる場合もあります。
なお、資格の有効期間は5年で、更新するには更新審査を受けなければなりません。更新審査の要件も2025年度審査から変更されているので(2027年度までの3年間は特例措置期間)、更新の際はしっかりと確認しておきましょう。
【出典】日本看護協会「2025年度専門看護師教育機関・課程一覧」
【出典】日本看護協会「専門看護師(CNS)の個人審査変更について」
6.専門看護師を目指すのがおすすめな人
ここまで専門看護師についての基礎知識を解説してきましたが、「自分は専門看護師を目指すべきなのだろうか?」と疑問に思ったり、悩んだりしている方もいるでしょう。専門看護師の特徴から考えると、次のような傾向がある方には取得がおすすめです。
- その分野の知識や技術を広く、深く身につけたい
- 看護現場での実践だけでなく、仕組みづくり・組織づくりにも取り組みたい
- 質の高い医療を提供するためにチームで動くことを重視したい
- 教育や研究を通して看護の質向上に貢献したい
一方で、現場での実践にこだわりたい方や、より限定的な知識やスキルを究めたい方は認定看護師のほうが向いているかもしれません。自分の興味・関心や目指す看護師像を踏まえて、専門看護師を目指すかどうか検討しましょう。
7.専門看護師を含めキャリアの選択肢を考えておこう
専門看護師の資格を取得することは、看護師としてのキャリアを歩むうえで大きなプラスとなり得る選択肢の一つです。ただし、看護師のキャリアに役立つ資格はここで紹介した専門看護師や認定看護師だけではありません。また、資格を取得する以外にもキャリア形成の手段はさまざまあります。
例えば、看護職の国家資格(免許)である保健師や助産師、救命処置や心電図の活用といった特定の行為・機器に関する資格、介護系などの関連資格を取得したり、業務を通して経験を積むことで理想のキャリアを実現していったりする道もあるでしょう。
大切なのは、自身が目指すキャリアの方向性を早い段階から考え始めておくことです。はっきりとは決まらなくても、選択肢を知っておくと将来像もイメージしやすくなります。就職先や取得したい資格も、目指す方向性に合わせて検討しましょう。
8.まとめ
専門看護師とは、特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有するとして、日本看護協会の認定を受けた看護師のことです。専門看護師として働く看護師には、現場での看護の実践以外にも、組織のマネジメントや関係者間の調整役としての役割も期待されます。
認定を受けるには、大学院の修士課程での単位取得と5年以上の実務研修が求められますが、医療機関によっては専門看護師を目指す看護師向けに支援制度を設けており、職場のサポートを受けられることもあります。
こうした支援制度の有無も含め、自分に合う就職先を見つけるには、合同説明会や就職セミナー、求人情報などを通して積極的に情報収集を行うのが効果的です。マイナビ看護学生では、病院情報や説明会日程を簡単にチェックできます。ぜひ登録して、看護師としての未来への一歩を踏み出しましょう。














