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Topic. 24

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外出介助のアルバイト、やってみる?
――ケアプロの新サービス「ドコケア」

「健診弱者」のためのワンコイン健診、「看取り難民」を救うために
24時間365日サービスを提供する訪問看護ステーションなど、
医療・福祉分野の問題解決に挑む事業を展開してきたケアプロ株式会社。

同社が2020年6月にスタートさせた「ドコケア」は、
病気や障害があっても自由に外出できる社会を実現するためのサービスです。
外出に介助が必要な人と、その介助ができる人をマッチングする意義について、
関係者の皆さんに伺いました。

プロフィール

川添高志:ケアプロ株式会社代表取締役社長。自身も看護師であり、医療現場の経験を積んだ上で2007年に起業した。

金和樹 :ドコケア事業全体のプロジェクトマネジメントを担当。理学療法士として病院や訪問看護ステーションで経験を重ねたほか、英国シェフィールド大学大学院への留学経験も。

古川美帆:「ドコケア」のカスタマーサクセスや、ウェブアプリ仕様の企画などを担当。大学病院の整形外科病棟で看護師として勤務し、大学院でスポーツマネジメントを学んだ経歴を持つ。

新屋麻美:マーケティングや広報活動を担当。医療的ケア児であった次女の育児経験から介護の仕事に興味を持ち、以前はデイサービス施設で勤務していた。

中込千夏:教育コンテンツ「ドコケア学」の立ち上げや運営などを担当。京都大学医学部で看護学を専攻した後、ケアプロ株式会社へ新卒で入社した。

※カスタマーサクセス:自社の商品やサービスに対して顧客が抱く不満を解決し、顧客満足度を高めるための取り組み

「利用者が介助者を選ぶ」ってどういうこと?

――「ドコケア」で医療・介護従事者が外出介助を提供する仕組みを教えてください。

川添:「ドコケア」は利用者と介助者をつなぐプラットフォームのような存在で、事前に情報登録した利用者(あるいは家族や友人など)が、同じく登録済みの介助者から条件に合う人を選択して外出介助を依頼します。1時間から気軽に利用可能で、公的サービスのような制限もなく、通勤通学や買い物、冠婚葬祭、旅行など多様な目的で活用できることが特徴です。

古川:介助者としてサービスを利用する際は、まず「ドコケア」に介助者としての情報を登録します(身分証、プロフィール写真、資格免許証が必要)。依頼書が送られてきたら、アプリのチャット機能を使って利用者と詳細を確認し合います。「見積作成」のページで希望の料金を伝え、依頼者から正式に依頼があった時点で契約成立です。

ユニークなのは、利用料金を決めるのは介助者自身という点でしょう。当社から「推奨金額」はご案内していますが、実際に提示する金額は下限の1500円以上(1時間当たり)であれば問題ありません。なお、これまでの最高金額は4000円/1時間。ご自身のスキルや考え方、サービス内容によって、自由に料金設定できます。なお、介助者が受け取った報酬の25%をシステム手数料として「ドコケア」に支払う仕組みです。

「ドコケア」で医療・介護従事者が外出介助を提供

――現在、何人くらいの利用者・介助者が登録し、どんなかたちで「ドコケア」を利用していますか。

金 :現時点(2021年2月下旬)での登録者数は、介助者が89人、利用者が30人です。現在のところは、医療・介護従事者が職場で顔なじみの利用者に声をかけ、登録・利用に結び付くケースが多いですね。例えば、視覚障害や筋萎縮性側索硬化症(ALS)、先天的心疾患などを抱えた幅広い年齢層の方が、買い物や散歩、通院などのために「ドコケア」を利用されています。

在宅では病院よりも利用者の本音が出やすく、より「個人としての相性の良さ」が求められる傾向にあります。利用者自身が「この人に頼みたい!」と思える介助者に依頼できる本サービスでは、ミスマッチによる互いのストレスを軽減できるというメリットもあるのです。

全国2000万人に及ぶ「交通弱者」のために

――「ドコケア」事業を立ち上げた背景には、どんな思いがあるのでしょうか。

川添:高齢で要介護状態だったり、病気や障害を抱えて外出時にサポートを必要としている「交通弱者」は全国で2000万人に上ると考えられ、中にはほとんど外出をあきらめてしまっている人もいます。自費サービスとして外出支援を提供する訪問介護・看護事業所もありますが、保険適用にならないため料金が高額で、利用者の経済的負担が重くなりがちです。より手ごろな料金で外出介助を提供し、病気や障害があっても自由に外出できる世の中を作りたい――。「ドコケア」は、そうしたビジョンの下で生み出されたのです。

――サービス開発に携わった皆さんも、自由な外出介助の必要性を実感した経験があるそうですね。

古川:病棟勤務時代、脊椎損傷の患者さんを担当したことがあります。下半身に麻痺があり、病棟も車椅子で移動する状態だったのですが、「入院前にチケットを取っていたアイドルのライブに行きたい」との希望がありました。当初、病院側としては安全面を考慮して許可を出さなかったのですが、本人の強い希望もあり、結局は友人付き添いのもとで外出することに。ところが、ライブ中に2回転倒してしまったことが後で分かり、「本当に行かせてよかったのか……」と後悔が残る結果になりました。もし、当時「ドコケア」があれば、患者さんも病院スタッフも安心して計画を立て、安全な外出を実現できたかもしれません。

新屋:私は医療的ケア児の母でもありました。人工呼吸器で24時間管理されていた次女と、健常児の長女と三女を抱えての外出は、簡単なことではありませんでした。常にいっぱいいっぱいの状態なので、ちょっとした散歩や買い物などのとき、気軽に手伝いを頼める人がいればどれだけ助かったかと思います。

また、当事者だったときは公的サービスの仕組みを十分に理解できておらず、制度上できないことをヘルパーさんに頼んでしまい、申し訳なさそうに謝られることもありました。「ドコケア」があれば、どんなニーズでもかなえられる可能性が広がります。医療や介護の世界を拡張する新たな選択肢ができたことを、まずは多くの人に知ってほしいです。

自由な外出介助の必要性を実感

学生も「ドコケア」で外出介助に挑戦を!

――公式サイトでは教育コンテンツ「ドコケア学」を展開していますが、どんな内容にすることを心がけているでしょうか。

中込:保険外サービスとしての外出介助では、TPOに合わせた服装やマナー、交通機関やホテル、エンターテインメント会場における安全なケアなど、通常の介助とは異なる注意点がたくさんあります。医療・介護従事者であっても、「ドコケア」のように自由な外出介助の経験がある方はまだまだ少ないでしょう。そこで、お出かけ時のマナー、感染対策、トラブル対応などのポイントをまとめた学習コンテンツを「ドコケア学」として用意しました。利用者も介助者も安心できるために必要な知識を分かりやすく提供していますから、ぜひチェックしてみてくださいね。

――最後に、看護学生の皆さんにメッセージをお願いします。

中込:私は大学で看護師資格を取得後、新卒で当社に入職しました。皆さんには、もし病院勤務が自分に合わなくても、それまでに培った力を生かせる世界はたくさんあることを知ってほしいです。「医療に興味はあるけれど、臨床ではない道を模索したい」と考える看護学生は意外に多いもの。当社のようなヘルスケアベンチャーを含め、視野を広く持って自分の将来を描いてください。

川添:「ドコケア」では、医療・介護系の資格を持たない一般の人も介助者として登録可能です(外出介助できる対象者は限定される)。これは、同分野での活躍をめざす学生や地域活動に積極的な方などを中心に、より多くの「身近な介助者」が生まれることを期待しているため。外出介助を通して患者さんに寄り添うことは、看護の心を学ぶ上でも貴重な経験になるはずです。自由になる時間が多く、通学定期券の範囲なら容易に移動できるという今だけのメリットを生かして、ぜひ外出介助に挑戦してみてください。

看護学生の皆さんにメッセージ

企業プロフィール

ケアプロ株式会社

ケアプロ株式会社

東京都中野区中央3-13-10 JOY HAYASHI 3F
https://carepro.co.jp/
2007年創業。「革新的なヘルスケアサービスをプロデュースし、健康的な社会づくりに貢献する」をミッションに掲げ、既成概念にとらわれないサービスを創出。これまでにセルフ健康チェック事業、訪問看護事業、健康データ管理事業などを展開しており、2020年6月に日本初の交通医療サービス「ドコケア」をスタートさせた。

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