新着記事
看護師と助産師の違いを解説!主な6つの違いと進路選びのポイント
看護師と助産師は同じ医療職ですが、仕事内容や資格、ケア対象などに大きな違いがあります。特に、これから看護師や助産師を目指す看護学生にとっては、どちらの道を選ぶかが悩みの1つといえるでしょう。
本記事では、看護学生の方々に向けて、看護師と助産師の主な6つの違いをわかりやすく比較しながら解説し、看護学生が進路選択で考えるべきポイントについても整理して紹介します。
監修者
小渕 麻弥

慈恵第三看護専門学校、母子保健研修センター助産師学校卒業。公立病院の産婦人科病院の助産師として、病棟・外来業務を兼任。関わった母子は3,000組以上を超える。現在は一般病院の女性混合病棟・産婦人科外来に従事しながらライターとして医療の正しい知識を伝える活動をしている。
1. 看護師・助産師とは
看護師と助産師はいずれも、人の命と健康を支える医療の専門職です。看護師は、病気やけがを抱える患者の治療・回復を支える役割を担い、医師の補助や生活支援を行います。
助産師は妊娠・出産・産後の母子を対象に、分娩の介助や育児支援などを専門的に行う職種です。どちらも国家資格が必要で、医療チームの一員として欠かせない存在ですが、ケアの対象や専門分野には明確な違いがあります。
看護師
看護師は、医師による指示のもとで診療や治療の補助、患者の健康管理、生活支援を行う国家資格を持った専門職です。病院やクリニックなど医療現場の中心的な存在として、幅広い年齢・疾患の患者に対応します。
看護師になるには、看護専門学校や看護大学などの看護師養成課程を修了し、国家試験に合格する必要があります。近年は医療の高度化に伴い、特定行為研修を修了してより専門的な医療行為を行う看護師も増えているのが現状です。
医師・薬剤師・理学療法士・栄養士など、多職種と連携しながらチーム医療を支える存在として、医療・介護・福祉の分野で幅広く活躍しています。
助産師
助産師は、女性のみが就くことのできる国家資格を持った専門職です。母子保健の専門家として、妊娠・出産・産後の女性および新生児に対する支援とケアを行います。医師の指示がなくても、正常分娩を単独で取り扱うことができるのが助産師の大きな特徴です。
助産師になるには、まず看護師の資格を取得したうえで、大学や専攻科で助産師養成課程を1年以上学び、助産師国家試験に合格しなければなりません。助産院、病院の産科、自治体の母子保健センターなどで活躍し、女性の一生に寄り添うケアを実践します。
2. 看護師と助産師の6つの違い
看護師と助産師はどちらも医療・看護の専門職ですが、資格の取得方法、仕事内容、ケア対象、職場環境などに違いがあります。ここでは、両者の違いを「資格・仕事内容・ケア対象・職場環境・人数・給料」の6つの視点から整理して解説します。
資格の違い
看護師と助産師はどちらも国家試験ですが、その取得ルートと専門性の高さには大きな違いがあります。看護師になるには、看護専門学校(3年制)や看護大学(4年制)などの養成課程を修了し、看護師国家試験への合格が必要です。
一方、助産師は看護師資格を持っていることが前提です。看護師の免許取得後、大学の専攻科・大学院・助産師学校などで、助産師養成課程における1年以上の専門教育を受け、助産師国家試験に合格することで資格が得られます。
つまり、助産師は看護師としての基礎知識に加えて、妊娠・出産・育児支援に関する高度な専門知識を持つ職種です。資格取得までに必要な期間も長いため、事前にキャリアプランを想定しておきましょう。
仕事内容の違い
看護師と助産師は、どちらも「ケアを行う」仕事ですが、その目的と対象が異なります。看護師の仕事は、医師の診療補助、注射・点滴・投薬管理、検査準備、患者の生活支援など、治療と回復をサポートする業務が中心です。
疾患や手術を抱える患者が対象であり、医療行為を円滑に進めるために多職種との連携が求められます。また、助産師は「妊娠・出産・産後」というライフイベントを支える専門職です。
正常分娩を単独で取り扱える資格を持ち、妊婦健診・出産の介助・母乳育児支援・産後のメンタルケアなどを包括的に行います。単に出産へ立ち合うだけでなく、妊産婦の心身の変化を見守り、生活全体を支援する役割を担うのが特徴です。
看護師が「病気と向き合い回復を支えるケア」を担うのに対し、助産師は出産を一つの節目として、「女性の人生と健康に寄り添い続けるケア」を担います。
ケア対象の違い
看護師は、あらゆる年齢・症状の患者がケア対象です。小児科や内科、外科、精神科、訪問看護など、健康状態がさまざまな人々に対応します。看護師は、患者の病気や障がいを理解しながら、その人が自分らしく生活できるように支援することを目的としています。
一方、助産師が主に関わるのは、妊娠・出産・育児期を中心とした女性とその子どもです。ただし、助産師の役割は出産に立ち会うことだけではありません。妊娠期の健診や生活指導、産後ケア、授乳支援、育児相談などを通じ、ライフステージごとの課題に向き合いながら、女性の心身における変化と育児を含めた人生の過程に寄り添います。
つまり、看護師は「疾病を抱えるすべての人」をケア対象とするのに対し、助産師のケア対象は「あらゆるライフステージにいる女性」であると言えるでしょう。
職場環境の違い
看護師の職場は非常に多様です。病院やクリニックをはじめ、訪問看護ステーション、介護施設、企業、学校、行政機関など、医療・福祉のあらゆる職場で活躍できます。夜勤がある病棟勤務、日勤のみの外来勤務といった働き方の選択肢が広いのも特徴です。
助産師の主な勤務先は、産科病棟・助産院・母子保健センター・産婦人科クリニック・訪問看護ステーション(産後ケア専門)などです。出産対応が想定されるため、夜間・休日を問わず待機やオンコール勤務が発生することがあります。
また、妊婦健診や育児支援を行う外来勤務、自治体での母子保健活動、海外での国際医療支援など、社会貢献度の高い環境が揃っています。看護師が「多職種と協働する現場」に強く、助産師は「女性と新しい命に寄り添う少人数ケア」に強みを持つ職種です。
人数の違い
厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」を見ると、令和6年時点で、日本国内の就業看護師は約136万人、助産師は約3万8千人とされています。つまり、助産師は看護師全体のわずか3%程度しかおらず、非常に専門性が高く希少な職種です。
| 職種 | 人数(令和6年時点) |
|---|---|
| 看護師 | 1,363,142人 |
| 助産師 | 38,721人 |
助産師が少ない理由は、国家資格であり取得ルートが限られていることと、学習・実習負担の大きさが挙げられます。ただし、地方の病院や施設では助産師が不足しており、需要の高さから資格を持つことで強みになるという見方もできます。
【出典】厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」
給料・年収の違い
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」の資料から、看護師と助産師の給料・年収に関するデータを参照できます。看護師の平均月収は329,600円、年間賞与その他特別給与額は835,000円で、年収に換算すると約479万円です。
一方、助産師の平均月収は347,200円、年間賞与その他特別給与額は1,010,400円で、年収が約518万円となっています。助産師の年収がやや高い傾向にあるのは、妊娠・出産という限られた領域で高い専門性を求められるためです。
分娩介助や母子保健指導といった専門技術に加え、夜間の出産対応などの業務も発生することから、資格手当・職務手当が上乗せされやすい傾向にあります。ただし、助産師は勤務先の種類によって収入に差が生じることも考慮しなければなりません。
| 平均月収 | 年間賞与その他特別給与額 | 年収 | |
|---|---|---|---|
| 看護師 | 329,600円 | 835,000円 | 4,790,200円 |
| 助産師 | 347,200円 | 1,010,400円 | 5,176,800円 |
【出典】e-Stat「令和6年賃金構造基本統計調査|職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」

小渕 麻弥
資格や給与の違いも大切ですが、現場で感じる一番の違いは自分の判断が求められることです。助産師は、正常な分娩経過であれば医師の指示を待たずに自らの判断でケアを行う場面が多く、その分責任の重さとプロとしての独立性を強く感じます。一方で、看護師がカバーする領域の広さもまた、重要な専門性のひとつです。自分が「誰のどんな瞬間に力を尽くしたいか」。そこを考えられたら、目指すべき姿がより明確に見えてくるはずです。
3. 看護学生が進路選択で考えるべきポイント
看護師と助産師のどちらを目指すかは、今後の学びや働き方に大きく関わります。進路を選ぶ際には、資格や給与の違いだけでなく、「自分がどういったケアをしたいのか」「どのような働き方が理想か」「どう成長していきたいか」といった視点を持つことが大切です。
ここでは、看護学生が進路を考えるうえで意識しておきたいポイントを解説します。
自分の興味・関心を軸に進路を考える
進路を決める際には、まず「どのような分野のケアに興味・関心があるか」を軸に考えることが重要です。患者の病気やけがの回復を支える看護師の仕事と、妊娠・出産・産後の母子を支える助産師の仕事では、求められるスキルとやりがいが異なります。
例えば、救急や集中治療など、生命の危機に関わる場面にやりがいを感じるなら看護師が向いています。一方、命の誕生を支え、母親やその家族に寄り添うケアをしたい場合は、助産師としてのキャリアが適しているといえるでしょう。
どちらの選択でも、人の人生に深くかかわるという共通のやりがいがありますが、自分が「どのような瞬間に感動を覚えるのか」「どういった対象に寄り添いたいか」を明確にすれば、後悔のない選択につなげることが可能です。
ライフスタイル・働き方との相性を考慮する
看護師と助産師では、勤務形態や働き方にも違いがあります。看護師は24時間体制の病院勤務が多く、夜勤を含む交代制勤務が基本です。対して、助産師が働く病院・クリニック・助産院なども多くは24時間体制のため、日勤・夜勤の両方を担うのが一般的です。なお、施設によっては、分娩対応が必要になった際に呼び出しをかける「オンコール体制」を導入している場合もあります。
また、将来的に家庭や子育てとの両立を考える場合、勤務先によって働き方の柔軟性も異なります。看護師であれば、訪問看護や入院設備のないクリニックを選択することで、夜勤を避けた働き方ができます。同様に、助産師も分娩対応を行わない助産所や育児相談がメインの保健所などを選べば、日勤中心の勤務が可能です。
「どのような働き方が自分に合うのか」を見据えながら、ライフスタイル・働き方との相性を考慮し、短期的な条件だけでなく、長く働き続けられる環境を考えた進路選択を行いましょう。
将来に向けて必要な学びとスキルを意識する
進路を考える際には、「どのような学びが必要になるか」を事前に理解しておくことも大切です。看護師は基礎的な医療知識と幅広い看護技術を学び、どの診療科にも対応できるためのスキルを身に付けます。
一方、助産師は妊産婦の健康管理や分娩介助、母乳育児支援など、より専門的な知識と判断力が求められる職業です。さらに、助産師を目指す場合、看護師国家資格を取得したうえで助産師養成課程への進学も必要となります。
学生のうちから助産師を志望するなら、看護学の学びを通じて母性看護学や女性の健康支援に興味を持ち続ける姿勢が大事です。看護師・助産師いずれを選ぶにしても、実習や講義で得た経験を「自分の強みにどうつなげるか」を意識すると良いでしょう。
積極的に病院見学や情報収集を行う
進路をより明確にするためには、実際の職場環境や働く人の声を確かめるのがおすすめです。病院見学や情報収集を行うことで、看護師・助産師の業務内容の違いと職場の雰囲気を肌で感じられます。
また、学校や自治体が主催するキャリアガイダンス、オンライン説明会などを活用すれば、現場のリアルな声を聞く機会を増やすことが可能です。その他、勤務形態・教育制度・福利厚生といった情報を確認するのも有効です。
特に、助産師志望の学生は、産科の規模や分娩件数なども確認し、自分の学びやすい環境を選ぶと良いでしょう。現場を知ることで、将来の働き方や自分に合った職場のイメージをより具体的に描けるようになります。

小渕 麻弥
実習や国試勉強に追われていると、どうしても資格を取ることがゴールになりがちです。でも本当に大切なのは、資格をとってからどのような看護師・助産師を目指すのかという視点です。急性期でスキルを磨くのか、地域でじっくり人と向き合うのか、あるいは助産師として専門性を極めるのか。私を含め、周りもライフステージに合わせて働き方を変え、いろいろな現場で活躍している仲間がたくさんいます。最初から完璧を求めなくて大丈夫。まずは実習などで自分が心が動いた瞬間を大切に、最初の一歩を選んでみてください。
4. まとめ
看護師と助産師は、いずれも医療の最前線で人の命や生活を支える大切な職種です。しかし、その対象・仕事内容・学びの内容・キャリアの方向性には明確な違いがあります。
看護師は幅広い疾患や年代の患者を支え、チーム医療の中で活躍する一方、助産師は妊娠・出産・育児という限られた時期に寄り添う専門職です。どちらを目指すにしても、進路を選ぶ際には自分の興味・関心を軸に、納得のいくキャリアを築くことが大切です。
学生のうちは、看護師として医療の幅を広げるか、助産師として命の誕生に携わるのかをじっくりと考えましょう。情報収集から始めるなら、まずはマイナビ看護学生に登録し、説明会・セミナーへの参加や病院検索を行ってみるのがおすすめです。













小渕 麻弥
看護師も助産師も、診察の補助だけではなく、患者さんや妊産婦さんの生活、そして人生に寄り添い支えるプロフェッショナルです。特に助産師は、命の誕生という瞬間に立ち会い、家族の新たなスタートを支える責任と喜びがあります。私自身、臨床での経験を重ねる中で、スキル以上にそばにいて支えることの大切さを痛感しています。これからこの道を目指す方にも、仕事の奥深さや尊さを知っていただけると嬉しいです。