助産師になるには?免許の取得ルートや主な就職先、新卒の年収を紹介

助産師になるには?免許の取得ルートや主な就職先、新卒の年収を紹介

助産師になるには、女性であること、そして看護師免許と助産師免許の両方を取得していることが要件として法律で定められています。免許を取得するには、大学や専門学校などで看護師課程と助産師課程の両方を修了しなければなりません。
本記事では、助産師になるための要件、助産師国家試験を受けるまでのルートやその難易度、主な就職先や新卒の年収について紹介します。また、助産師を目指す際の学校選び・職場選びについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

監修者

小渕 麻弥

小渕 麻弥

慈恵第三看護専門学校、母子保健研修センター助産師学校卒業。公立病院の産婦人科病院の助産師として、病棟・外来業務を兼任。関わった母子は3,000組以上を超える。現在は一般病院の女性混合病棟・産婦人科外来に従事しながらライターとして医療の正しい知識を伝える活動をしている。

1.助産師になるにはどうすればいい?

助産師になるには、厚生労働大臣が発行する助産師免許が必要です。助産師免許は国家試験に合格することで取得できますが、その受験資格や免許交付には法律で定められた要件があり、それらをすべて満たさなければなりません。

助産師になるための要件

保健師助産師看護師法で定められている、助産師になるための要件は以下の3つです。この3つをクリアして初めて、助産師として認められます。

  • 女性である
  • 看護師国家試験合格・看護師免許取得
  • 助産師国家試験合格・助産師免許取得

現在の日本の法律では、男性は助産師になることができません。また、看護師国家試験・助産師国家試験を受けるには、それぞれの受験資格を満たす必要があります。

看護師国家試験の概要

看護師国家試験は、国家資格である看護師免許を取得するための試験です。基本情報を以下にまとめました。

実施時期 年1回・毎年2月
受験資格 看護師課程を修了していること(卒業見込みを含む)
試験形式 筆記試験
試験科目
  • 人体の構造と機能
  • 疾病の成り立ちと回復の促進
  • 健康支援と社会保障制度
  • 基礎看護学
  • 地域・在宅看護論
  • 成人看護学
  • 老年看護学
  • 小児看護学
  • 母性看護学
  • 精神看護学及び看護の統合と実践

看護師国家試験を受けるには、原則として看護師課程のある大学や短大、専門学校などで学ばなければなりません。試験では、看護師として働くうえで必要となる基本的な看護知識が問われます。

助産師国家試験の概要

同じく国家資格である助産師免許を取得するための助産師国家試験も、毎年2月に筆記試験で行われます。

実施時期 年1回・毎年2月
受験資格 助産師課程を修了していること(卒業見込みを含む)
試験形式 筆記試験
試験科目
  • 基礎助産学
  • 助産診断・技術学
  • 地域母子保健及び助産管理

助産師課程の修了が受験資格となりますが、助産師教育を受けるには前提として女性であり、看護師教育も受けていなければなりません。試験内容も看護知識がある前提で、助産に関する科目に絞られています。

新卒でも助産師になれる?

学校によっては看護師課程と助産師課程の両方を履修できるため、その場合は新卒でも助産師になることができます。また、看護師課程を修了したあと、実務経験を挟まずに助産師教育を行う大学の専攻科や大学院などに通う場合も、新卒で助産師になれるでしょう。

助産師国家試験の受験資格には看護師としての実務経験は含まれないので、新卒で助産師を目指すことも十分可能です。

2.助産師になるためのルート

ここからは、看護師国家試験および助産師国家試験を受けるまでのルートについて詳しく解説していきます。受験までのルートは、大きく分けると以下2つです。

助産師課程のある4年制大学で学ぶ

助産師になるための最短かつシンプルなルートとなるのは、助産師課程のある4年制の看護系大学で学ぶ方法です。看護師課程と助産師課程を4年間で学ぶことができ、卒業見込みの年に看護師国家試験と助産師国家試験の両方を受けられます。

このルートであれば、高校卒業から最短4年で助産師になることができます。学費も4年間で500万〜700万円程度、国公立大学ならその半分程度と費用を抑えやすいでしょう。

ただし、助産師課程の定員は限られていることが多く、看護師と助産師の勉強を同時に進めなくてはならない大変さもあります。

看護師課程の卒業後に助産師課程で学ぶ

看護師課程と助産師課程を別々に修める方も多くいます。はじめに大学や短大、専門学校などの看護師課程で学び、卒業後に助産師学校に入学する方法です。看護師学校、助産師学校それぞれの選択肢を以下にまとめました。

看護師学校 助産師学校
  • 助産師課程のない看護系大学(4年)
  • 看護系の短期大学(3年)
  • 看護専門学校(3年)
  • 5年一貫看護学校(5年)
  • 大学の専攻科・別科(2年)
  • 短期大学の専攻科(1年)
  • 大学院の助産師課程(1年)
  • 専門学校の助産師課程(1年)

このルートでは、看護師課程も助産師課程もじっくりと学べるメリットがあります。また、看護師課程3年と助産師課程1年で学ぶ場合は最短である4年で、5年一貫看護学校で学ぶ場合は年齢的に最も早く助産師になれるルートです。

ただし、学校に2度入学する必要があるため、入学試験などの負担はあります。学費は選ぶ学校によって異なりますが、看護師学校は200〜700万円、助産師学校は100〜350万円程度が目安で、総額では助産師課程のある看護系大学よりも高くなる傾向です。

3.助産師になるのは難しい?

助産師を目指す皆さんにとっては、助産師になる難易度も気になるところでしょう。まずは、看護師国家試験と助産師国家試験の合格率を見てみます。

看護師国家試験 助産師国家試験
令和6年度 90.1% 98.9%
令和5年度 87.8% 98.8%
令和4年度 90.8% 95.6%

これ以前の試験結果を見ても合格率はおおむね9割程度で推移しており、試験そのものの難易度は極端に高いわけではありません。

ただし、看護師国家試験の対策期間と助産師課程の入試準備期間は重なるため、計画的に学習を進められるかどうかが合否を分ける重要なポイントになります。

また、助産師課程を設置している学校は倍率が高い傾向にあり、入試を突破するには一定水準の学力や成績が求められますので、看護学校や助産師学校への入学自体が一つの関門となる可能性もあります。

【令和6年度入学の倍率】

看護師3年課程 助産師課程
最高倍率 2.7倍 5.5倍
最低倍率 0.5倍 1.7倍
平均倍率 1.3倍 3.4倍
小渕 麻弥

小渕 麻弥

助産師国家試験の合格率を見て安心した方もいるかもしれませんが、本当のハードルは助産師過程のある学校に入ることです。特に大変なのは、看護師国家試験に向けた勉強と並行して、倍率の高い助産師学校の入試対策を進めなければならない点です。実習や試験に追われ、心身ともに余裕がない中で、いかに効率よくスケジュールを管理し、二つの試験対策を両立させるかが最大の壁となります。まずは学内での成績を維持しつつ、早めに過去問に触れるなど、事前準備をしていきましょう。

4.助産師の主な仕事内容と求められる資質

助産師を目指すにあたっては、適性があるかどうかも重要な観点です。自分が助産師に向いているか、どのような意識や姿勢が必要かを知るために、ここでは助産師の主な仕事内容と求められる資質について解説します。

助産師の主な仕事内容

助産師は、出産前後の母子を幅広くサポートします。また、母子だけでなくその家族のサポートを担う場面もあるでしょう。主な担当領域とその内容をまとめました。

妊娠期のサポート
  • 家族計画や不妊治療の相談対応
  • 健康管理・生活指導
  • 妊婦や家族の精神的サポート
  • 出産や新生児に関する基礎知識の提供
分娩のサポート
  • 分娩の準備
  • 正常分娩の介助・医師との連携
出産後のサポート
  • 母子の健康管理
  • 育児指導
  • 産婦や家族の精神的サポート

具体的な業務内容は勤務先によって変わってくることもありますが、妊産婦やその家族に近くで寄り添う存在となるのが助産師の大切な役目です。

助産師に求められる資質

助産師の仕事内容を踏まえると、助産師には以下のような資質が必要であると考えられます。

  • 人と関わるのが好き・赤ちゃんが好き
  • 誰かのお世話をするのが好き
  • 思いやりや共感力を持ってコミュニケーションが取れる
  • 明るく親しみやすい雰囲気
  • 強い責任感と冷静さ
  • 体力面・精神面でのタフさ

ただし、これらは必ずしもはじめから備えていなければならないわけではありません。助産師を目指して学ぶなかで、また助産師として働くなかで身に付けられる部分もあるので、まずは助産師の仕事に惹かれるかが何よりも重要だといえるでしょう。

小渕 麻弥

小渕 麻弥

助産師の仕事は「赤ちゃんがかわいい」という気持ちだけでは務まらない、体力と精神力が求められる現場です。しかし、産婦さんがあなたを信頼し、無事に赤ちゃんが産声を上げた瞬間の安堵感は、何物にも代えがたいものです。相手に寄り添う共感力とプロとしての責任感を育てる意識を持って実習に臨んでみてください。

5.助産師の主な就職先

助産師免許を取得したあとは、病院や診療所、助産所などに就職して経験を積むのが一般的です。それぞれの施設の概要と助産師の働き方について解説します。

病院

20床以上の入院病床を持つ医療機関が病院です。病院の種類はさまざまありますが、助産師は産科や産婦人科がある病院に勤務することになるでしょう。

病院は、医師の判断や指示が必要となる処置やハイリスクな妊産婦にも対応しやすいのが特徴で、産科医が中心となる対応に加えて、助産師が診察を担当する「助産師外来」や助産師を中心に分娩介助やケアをする「院内助産」を行う病院もあります。

診療所(クリニック)

診療所(クリニック)は、入院病床がない、もしくは19床以下の医療機関です。病院よりも規模が小さく、スタッフの数も妊産婦の数も比較的少なくなります。その分、アットホームできめ細やかな対応が行えたり、クリニック独自の特色があったりするのが魅力でしょう。

基本的には病院と同じく産科医と連携しながら妊産婦の健診や分娩介助を行うことになりますが、なかには病床がないために分娩に対応していないクリニックもあるため、分娩介助のスキル向上という観点では注意が必要です。

助産所(助産院)

助産所(助産院)とは、ベッド数が9床以下の助産師のみで運営されている施設を指します。その人らしいお産を実現するためにサポートするのが特徴で、妊娠期から出産まで基本的に1人の助産師が担当し、出産計画も妊婦さんの希望に沿って一緒に考えます。

よりアットホームな雰囲気で出産を迎えられるのが魅力ですが、助産所には医師がいないため、対応できるのは母子ともに経過が順調な場合のみです。何か問題が発生した際は、提携病院につなぐ必要があります。

なお、新卒からいきなり助産所に入職するケースは少なく、まずは病院などの医療機関で経験を重ねてから、助産所への転職を検討する流れが一般的です。

小渕 麻弥

小渕 麻弥

就職先選びは「自分がどんな助産師になりたいか」という思いを元に考えると良いでしょう。最先端の医療で母子を救いたいなら大学病院や総合病院、一人ひとりと深く関わりたいならクリニックや助産院という選択肢があります。特に新卒の方は、まずは教育体制が整った病院で正常や異常の判断をしっかり学べる環境を選ぶのが、将来のキャリアを支えるベースになります。

6.助産師の初任給と年収の目安

助産師は、看護職のなかでも給与水準が高めです。厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」をもとに、助産師と看護師の所定内給与額(月額)・ボーナス額(年額)の平均、そして年収に換算した金額を以下にまとめました。

助産師の平均給与
所定内給与額 年間賞与その他特別給与額 年収
新卒助産師
(20〜24歳)
27万1,900円 10万600円 336万3,400円
助産師全体 34万7,200円 101万400円 517万6,800円
看護師の平均給与
所定内給与額 年間賞与その他特別給与額 年収
新卒看護師
(20〜24歳)
26万500円 5万8,800円 318万4,800円
看護師全体 32万9,600円 83万5,000円 479万200円

就職先によって差はあるものの、所定内給与に時間外手当や夜勤手当などの超過労働給与をプラスすると、助産師の初任給は約27〜28万円、1年目の年収は335万円~345万円程度が目安といえるでしょう。なお、手取りは額面の7.5割〜8.5割が目安です。

7.助産師を目指す際に意識しておきたいこと

ここまで助産師のなり方について解説してきましたが、助産師を目指す学生の皆さんは特に以下の2点を意識しておきましょう。

学びたい内容に合った学校選び

助産師になるためのルート、学校は複数あります。そのためまずは、どのルートで、どの学校で助産師を目指すのかよく検討しましょう。学費の目安については前述しましたが、学校によってカリキュラムも異なるので、学べる内容を知っておくことも重要です。

例えば、大学や短大では看護学や助産学だけでなく一般教養科目もカリキュラムに含まれます。一方、専門学校などでは看護や助産により集中する形で学ぶことができるでしょう。また、それぞれの学校ごとに教育の特色もあります。

充実した学校生活を送るためにも、自分は進学先でどのようなことを学びたいのかを一つの軸にして学校選びをするのがおすすめです。

希望する職場条件の明確化

助産師を目指して勉強していくなかで、就職先についても早めに考え始めておくと良いでしょう。職場選びでは、以下のような観点で希望条件を洗い出すことをおすすめします。

  • 施設の理念や取り組み
  • 施設内での助産師の役割・業務内容
  • 労働条件(勤務形態・給与・福利厚生など)
  • 助産師の教育体制・研修制度
  • 職場の雰囲気

これらは実際の施設情報・求人情報や現場を見ないとイメージしづらい部分でもあるので、積極的に情報収集をし、説明会や見学会などにも参加してみましょう。

小渕 麻弥

小渕 麻弥

助産師になるためのルートは一つではありません。大切なのは、周りと比べず自分のペースを大切にすること。また、職場選びではぜひ「その職場の先輩が楽しそうに働いているか」を見てください。皆さんのやる気と情熱を支えてくれる最高の環境をじっくり見極めていきましょう。

8.まとめ

助産師になるには、看護師免許と助産師免許の両方が必要です。また日本では、助産師になれるのは女性のみであることも法律で定められています。免許を取得するには国家試験に合格しなければなりませんが、受験までのルートは複数あります。

大きく分けると、助産師課程のある4年制の看護系大学、そして看護師課程の卒業後に助産師課程に入学するルートの2つですが、費用や学校の特色などを考慮して選ぶことが大切です。

免許取得後は病院や診療所、助産所などで経験を積むのが一般的で、就職先についても早いうちから準備をしておくと良いでしょう。マイナビ看護学生では、希望条件での病院検索や説明会・セミナー情報のチェックも簡単にできます。ぜひ登録して、理想の就職先を見つけましょう。