看護師は子育てしながら続けられる?両立のポイントや働きやすい職場を解説

看護師は子育てしながら続けられる?両立のポイントや働きやすい職場を解説

看護師は夜勤がある場合も多いことなどから、「看護師の仕事と子育ては両立できないのでは?」と感じる方もいるかもしれません。しかし、実際には仕事と子育てを上手に両立させて働いている看護師も多くいます。

本記事では、将来的に結婚や出産を考えている看護学生に向けて、看護師が仕事と子育てを両立させる方法や子育て中でも働きやすい職場の例、事前に知っておきたい子育て支援制度などについて解説します。

監修者

荒井 麻弥

荒井 麻弥

昭和大学保健医療学部看護学科卒業。大学病院の集中治療室で急性期看護に従事したのち、産業保健師として労働者の健康管理やメンタルヘルス支援に携わる。離島医療や高齢者施設での勤務を経験し、急性期から慢性期、在宅支援、終末期ケアまで幅広い領域を担当。地域特性に応じた支援や多職種連携を重視し、一人ひとりの生活に合わせたケアを心がける。これまでの幅広い臨床経験をもとに、看護師や保健師を目指す方に役立つ情報を発信中。

1.看護師でも仕事と子育てを両立できる

看護師というと、夜勤がある職場も多いことなどから「忙しい」「働き方がハード」というイメージを持っている方もいるかもしれません。「看護師の仕事をしながら子育てするのは難しいのでは?」と思う方もいるでしょう。

しかし、看護師の職場や働き方はさまざまで、働く環境次第では仕事と子育てを両立させることも十分に可能です。実際に、仕事を続けながら子育てをしている看護師も多くいます。

結婚や出産後も続けられる看護師の働き方とは

看護師が結婚や出産を考えるうえで懸念点になりやすいのは、不規則な勤務でしょう。夜勤を含めたシフト制であることが多いため、勤務日や勤務時間が不規則になりがちです。

一方で、子育て中など家庭の事情がある看護師に対して夜勤免除を実施している病院もあり、育児・介護休業法においても、深夜に保育できる同居家族がいないなど一定の条件下では、就学前の子どもを養育する労働者に深夜労働をさせてはならないと定められています。

また、社会的に需要の高い職種である看護師は、非常勤やパート勤務といった働き方も選びやすいです。これらは一例ですが、こうした勤務制度・雇用制度を活用することで、結婚・出産後も無理なく働き続けることができます。

仕事と家庭どちらも大切にするための考え方

特に子どもが小さいうちは、どうしても子育てを優先せざるを得ないでしょう。結婚したり、子どもが生まれたりした後は今と同じ働き方はできない、あるいは今の職場で働き続けるのが難しいと感じるケースは少なくありません。

しかし、看護師の職場や働き方の選択肢は幅広いです。仕事に本腰を入れられるようになるまでの間は、子どもや家庭、そして自分の体調を優先できるような環境に身を置くこともできます。

そのため、まずは看護師という職種を離れずに家庭とのバランスが取れないか模索することをおすすめします。キャリアを完全に中断しないことで、再就職時のスキル面での心配なども減るでしょう。

2.看護師が子育てしながら働くためのポイント

子育てしやすい環境に身を置くために、押さえておきたいポイントをご紹介します。職場を変える場合も変えない場合も、以下の3つのポイントは意識しておくと良いでしょう。

院内保育所や院内の託児所を利用する

病院によっては、院内に保育所や託児所を併設しています。主に0歳〜就学前の乳幼児が対象で、看護師をはじめとする職員の子どもを預かってくれます。

預け先の確保や送迎の時間に関する心配が減り、体調不良など子どもに何かあったときにすぐ駆けつけられるという点でも安心です。中には、子育てしながらの夜勤にも対応できるように24時間体制で保育所・託児所を運営している病院もあります。

病院ごとに対象年齢や利用可能な時間、利用条件、料金は異なりますが、こうした福利厚生は子どものいる看護師にとって大きな安心材料といえるでしょう。

職場から理解を得て負担を減らす

前述した夜勤免除の制度や院内保育所など、提供されている仕組みを活用することも大切ですが、職場から子育てについて理解を得ることも必要です。家庭の状況を共有してしっかり相談し、できるだけ事情を汲んでもらえるようにしましょう。

また、職場選びの際は、子育て経験のあるスタッフが多いなど理解を得やすそうな職場であるかも一つのポイントとなります。

職場の理解があれば、シフトを柔軟に調整してもらえる可能性が高まりますし、子どもが原因の急な早退・遅刻や欠勤も寛容に受け入れてもらえることが多いです。

周りの人達からの協力を得る

職場だけでなく、プライベートでも自身の周りに協力を求めると良いでしょう。パートナーや両親をはじめとする家族と協力したり、行政が提供している「ファミリー・サポート・センター」などのサービスに頼ったりすることで、仕事と子育ての両立が格段にしやすくなります。

炊事・洗濯といった家事に加え、子どもの身の回りの世話や送り迎え、保育園や学校の行事への参加など、子育て中は何かと忙しいですし、子どもの体調不良などイレギュラーも発生しやすいです。

日頃から身近な人と役割分担をしておくことや、いざというときに頼れる人・場所を考えて準備しておくことが大切になります。

荒井 麻弥

荒井 麻弥

子育てをしながら働くうえで大切なのは、「すべてを完璧にこなそうとしないこと」です。看護師は責任感が強く、職場でも家庭でも無理を重ねがちですが、長く働き続けるためには優先順位をつける視点が欠かせません。勤務形態や時間帯の調整、周囲に相談する勇気を持つことは、決して甘えではなく、自分と家族を守るための選択です。環境を整える工夫を重ねることで、仕事と子育ての両立をしやすくなるでしょう。

3.子育て中でも働きやすい看護師の職場

看護師が働ける職場はさまざまありますが、ここでは特に子育て中の看護師でも働きやすい職場とそれぞれの職場での働き方の特徴を解説していきます。

クリニック

クリニックは入院設備がないところがほとんどであるため、基本的に夜勤がありません。また、土日祝休みなど定休日が決まっている場合が多いため、勤務が不規則になりにくく、安定して働きやすいでしょう。

加えて、フルタイムの正規雇用以外にパートの求人も多く、フルタイムで働くのは難しいと感じている人にとっても選択肢の一つとなります。

クリニックはその数自体も多いので、自宅から近い・保育園から近いといった立地の希望もかなえやすいでしょう。

病院外来

病院でも外来勤務であれば、クリニックと同じように勤務が不規則になりにくいでしょう。夜間・休日対応の救急外来以外は診療時間が昼間なので、夜勤がなく残業も少ない傾向にあり、土日祝日は休診であることが一般的です。

また、少人数体制のクリニックと比べて看護師の数が多いので、急な休みや早退をフォローしてもらいやすい点もメリットといえます。

特に大規模な病院は福利厚生も充実している傾向があるので、子育て中の看護師が活用できる独自の制度なども提供されていることがあります。

訪問看護ステーション

訪問看護ステーションの訪問看護師も、子育て中の看護師が選択しやすい仕事の一つです。訪問看護では担当患者が固定される場合が多く、基本的には夜勤なしの決まったルーティンで働くことができます。自宅からの直行直帰も一般的で、残業も発生しにくいでしょう。

夜間や早朝、土日祝日への対応はステーションによって異なりますが、日勤のみ・土日祝休みのステーションもあります。

また、勤務日数や勤務時間、訪問件数を選べる非常勤の募集も多いため、働き方を柔軟に調整しやすいです。

介護施設

介護施設は、病院などと比べて落ち着いて働ける看護師の職場だといわれることが多いです。高度な医療措置やイレギュラーな対応をする必要が少ないため、業務負担や残業も少ないでしょう。

特にデイサービスやデイケアといった通所型の介護施設では、基本的に日勤で土日祝休みなど定休日も決まっています。常駐している看護師が複数いれば、急な休みや早退にも対応してもらいやすいでしょう。

施設によってはパート勤務が可能な場合もあるため、正規雇用以外でキャリアを続ける選択肢も選べます。

健診センター

健康診断を実施する健診センターも、平日の日中勤務が主となる職場です。健診は基本的に予約制で、一日の業務量・業務内容の変動が少ないため、身体的・精神的な負担も比較的少ないです。

日勤のみの定時退勤ができることに加え、高度な看護スキルが必要とされない点が、子育て中の看護師でも働きやすいポイントといえるでしょう。中にはパートの求人を出しているセンターもあります。

なお、病気の早期発見を目的としている検診センターでも同じような働き方ができるため、職場の候補にしやすい施設の一つです。

荒井 麻弥

荒井 麻弥

子育て中の看護師が働きやすい職場かどうかは、制度の有無だけでなく「実際にその制度を使いやすい雰囲気があるか」が大きなポイントです。実際に子育て世代の看護師が多い職場では、急な欠勤や時短勤務に対しても「お互いさま」という意識が根づいていることが少なくありません。求人情報だけで判断せず、見学や面談の際に子育て中のスタッフがどのくらいいるのか、どんな働き方をしているのかを確認してみると、仕事と子育てを両立できるかイメージしやすくなります。

4.事前に知っておきたい子育て支援制度

将来的に子どもを持ちたいと考えている・その可能性がある場合、子育て支援の制度は事前に知っておきたい知識といえます。こういった知識が、制度の適切な活用や仕事と子育ての両立につながっていきます。

産前・産後休業

産前・産後休業は、労働基準法で定められている休暇制度です。一般的には「産休」と呼ばれ、女性労働者が出産をするにあたって、産前と産後に分けて休暇を取得することができます。

原則として産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後8週間の14週間の休暇で、就業規則や雇用形態、労働条件を問わず、出産を予定している人であれば誰でも職場への申請・取得が認められています。

産休の取得による不当な配置転換・解雇・給与の減額などは法律で禁止されており、企業は労働者が無事に出産を迎え、その後職場復帰を果たせるよう努めなければなりません。

育児休業

育児休業(通称「育休」)は、育児介護休業法で定められている休暇制度です。原則として1歳未満の子どもを養育するために取得できる休暇で、就業規則や雇用形態を問わず、そして女性・男性を問わず取得できます。女性の場合は産休のあとそのまま育休に入るケースもあります。

子ども1人につき原則2回に分割して取得することができ、「パパ・ママ育休プラス」の要件を満たせば、子どもが1歳2か月に達するまで取得期間を延長することも可能です。また、入所できる保育所が見つからないなどの事情がある場合は、最大2歳に達するまで延長することも認められています。

なお、通常の育児休業とは別に男性向けの「産後パパ育休」という制度もあります。配偶者の出産後8週間以内に、4週間を限度に2回まで取得できる休暇で、男性の育休取得を推進するために整備された制度の1つです。

育児休業給付金

育児休業給付金は、雇用保険の被保険者を対象として給付される子育て・生活支援のための給付金です。細かく分けると、「育児休業給付金」「出生時育児休業給付金」「出生後休業支援給付金」「育児時短就業給付金」の4つの区分があります。

  • 育児休業給付金:育児休業を取得した人が対象
  • 出生時育児休業給付金:産後パパ育休を取得した人が対象
  • 出生後休業支援給付金:育児休業給付金または出生時育児休業給付金の支給を受ける+両親ともに通算14日以上の育児休業(産後パパ育休を含む)を取得した場合が対象
  • 育児時短就業給付金:2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して就業する人が対象

これらの給付金の申請手続きは原則として、本人の希望に基づいて事業主が事業所の所在地を管轄するハローワークにて行います。

子の看護等休暇

特に子どもが小さいうちは、育児休業が終わっても子どもの体調不良などで仕事を休まなけらばならないタイミングも出てくるでしょう。そのようなときに活用できるのが「子の看護等休暇」です。

日々雇用を除く労働者が対象で、小学校3年生以下の子どもを養育している場合に、1年度において最大5日(小学校3年生以下の子どもが2人以上の場合は10日)、1日単位または時間単位で休暇を取得することができます。

病気、けがをした子の看護はもちろん、予防接種・健康診断を受けさせる場合や感染症に伴う学級閉鎖等になった子の世話をする場合も含まれます。また、入園式、卒園式、入学式に参列する目的でも取得することが可能です。

短時間勤務制度

短時間勤務制度とは、 前述の育児介護休業法で定められている制度の1つです。育児をする労働者においては、以下の条件を満たすことで1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を受けることができます。

  • 3歳に満たない子を養育している
  • 日々雇用でない
  • 1日の所定労働時間が6時間以下でない
  • 短時間勤務制度が適用される期間に育児休業(産後パパ育休を含む)をしていない

基本的には1年以上勤務している従業員であれば適用対象となり、正社員の場合でも雇用形態を変えずに勤務時間を減らせるといったメリットがあります。

なお、職場によっては「小学校に就業するまで」など子どもの年齢に基づいて利用期間を延長している場合もあるので、事前に確認しておきましょう。

荒井 麻弥

荒井 麻弥

子育て支援制度は、知っているかどうかで働き方の選択肢が大きく変わります。育児休業や時短勤務、看護休暇などは代表的な制度ですが、職場ごとに運用方法や取得しやすさには差があります。制度の存在だけでなく、「実際にどのように使われているか」を事前に確認することが大切です。早い段階から情報を集めておくことで、将来のライフステージの変化にも落ち着いて対応しやすくなります。

5.学生のうちから意識しておきたいこと

最後に看護学生の皆さんに向けて、働き始めたあとの子育てを見据えて意識しておきたいことについて解説します。子どもが小さいときの働き方は多くの看護師が悩むことでもあるので、早い段階からイメージしておくことが大切です。

病院の子育て支援制度について調べる

上記では主に国が実施している子育て支援制度を紹介しましたが、これらにプラスする形で病院・施設独自の支援制度を設けている場合もあります。そのため、看護職としてどのような制度が利用できるのか、さまざまな病院・施設について調べてみると良いでしょう。

子育て支援制度の種類や内容を調べることで知識も深まり、看護師の仕事と子育ての両立もより具体性を持ってイメージできるようになるでしょう。

また、こういった制度の充実度は職場選びにおけるチェックポイントにもなります。子育て支援制度が充実している病院・施設は、子育て以外の面でもスタッフの働きやすさを重視している傾向があるので、安心して働ける可能性が高いです。

将来のライフプランを家族や友人と共有する

結婚や子どもを持つこと、またキャリアプランを含め、自分が思い描いているライフプランを家族や友人など、身近な人と共有しておくこともおすすめします。

特に結婚や出産といった大きなライフイベントが起こる際には、周りの人の助けが必要となることも多いです。あらかじめライフプランを共有しておくことで理解を得られ、それが現実になったときにも協力してもらいやすくなるでしょう。

まだ明確な計画でなくても、また計画が現実的なものになったときにも、将来の計画については定期的に共有しておくと安心です。

荒井 麻弥

荒井 麻弥

看護学生のうちから、将来の働き方を柔軟に考えておくことは、子育てと仕事の両立を見据えるうえで大きな意味があります。病院勤務だけでなく、訪問看護や外来、健診など多様な選択肢があることを知り、実習や情報収集を通じて視野を広げておくことが大切です。

6.まとめ

看護師の仕事をしながら子育てをすることには不安を感じる方も多いですが、環境次第では仕事と子育てを上手に両立させることができます。

看護師にはさまざまな職場や働き方があり、加えて国や事業所ごとの子育て支援制度も提供されています。無理をせずに働ける労働環境に身を置き、同時に周囲の人の理解や協力が得られれば、子どもが小さくてもキャリアを継続しやすくなるでしょう。

事業所ごとの働き方や子育て支援制度については、積極的に情報収集しておくのがおすすめです。マイナビ看護学生では、詳細条件での病院検索や、説明会・セミナー開催情報のチェック、申し込みもできます。ぜひマイナビ看護学生を活用して、希望に合う就職先を見つけましょう。