准看護師にできないことは?注射や採血はできる?正看護師との違いも解説

准看護師にできないことは?注射や採血はできる?正看護師との違いも解説

准看護師の業務範囲には制限があり、主体的な判断による看護や他の看護師への指示などは行えません。ただし、医師の指示があれば、正看護師同様、注射や採血などの診療補助を行うことができます。
このように、准看護師の仕事は「できること」と「できないこと」が明確に分かれているため、将来のキャリアを考えるうえで違いを理解しておくことが大切です。本記事では、准看護師にできない業務や正看護師との違いなどをわかりやすく解説します。

監修者

木下 知理

木下 知理

日鋼記念看護学校看護学科を卒業後、呼吸器内科・透析科・健診センターでの勤務を経て、現在は札幌市内のデイサービスに勤務。現役看護師として働く中で得た経験をもとに、看護記事の監修を担当。読者にわかりやすい内容になるよう現場の視点を大切にしている。

1.准看護師にできないことは?

准看護師とは、病院や診療所、介護保険施設などで、医師や看護師の指示に従って患者の療養上の世話や診療の補助を行う職業です。国家資格者の正看護師と比べると、いくつか業務上の制限があります。

主体的に判断して行う看護業務

准看護師は、独自の判断で患者に対して療養上の世話や診療の補助を行うことはできません。これらの業務にあたるには、必ず医師や正看護師の指示が必要です。業務内容自体は正看護師と大きく変わりませんが、主体的な判断ができないという制限があります。

また、採血や点滴の投与などの医療行為は、国家資格が必要と思われがちですが、医師や正看護師の指示があれば、准看護師でも問題なく行えます。

看護計画の立案やアセスメント

准看護師は医療行為にあたる業務を医師や正看護師の指示のもとで行えますが、看護計画の立案や患者の状態を分析・評価するアセスメントには関われません。

准看護師の教育課程には、これらの能力を養成するカリキュラムが含まれていないため、担当できる業務の範囲が正看護師とは異なります。あくまでも准看護師の役割は、医師や正看護師の指示のもとで業務を安全に実施することです。

他の看護師への指示

准看護師は、他の正看護師に対して指示を出すことはできません。たとえ年齢や経験年数が自分より下であっても、正看護師と准看護師には明確な権限の違いがあるため、必ず指示を仰ぐ必要があります。

准看護師を目指す場合は、この点を理解したうえで、自分の将来の働き方やキャリアプランを考えましょう。

訪問看護における24時間体制のオンコール

訪問看護では、准看護師が24時間体制のオンコールに対応することはできません。近年、自宅で看護サービスを受けられる訪問看護の需要が高まっていますが、原則として24時間体制で働けるのは保健師や正看護師に限られています。

保健師や正看護師が主体となってオンコール対応を行い、准看護師は日中の訪問業務など限られた時間帯で働くのが一般的です。

木下 知理

木下 知理

准看護師は国家資格ではないため、業務を行う際は必ず医師や正看護師の指示を受けて働きます。そのため、自分の判断だけで看護計画を立てたり、患者さんの状態を評価して看護の方針を決めたりすることはできません。また、正看護師を指導する立場や、病棟・施設をまとめる管理職に就くこともありません。

2.准看護師にできること

准看護師には業務上の制限がありますが、基本的な仕事内容は正看護師とほとんど変わりません。准看護師が実際に行える主な業務は以下のとおりです。

  • 血圧・脈拍・体温の測定
  • 点滴の作成・静脈路の確保
  • 採血・静脈内注射
  • 食事・排泄・入浴・移動・移乗介助
  • 診療・手術の補助
  • 患者の送迎
  • カルテ記載
  • カンファレンスへの参加
  • 服薬管理
  • 夜間患者対応

このように、准看護師も医療現場において欠かせない存在として幅広い業務を担当しています。

木下 知理

木下 知理

准看護師は、実際の現場では正看護師とほぼ同じように、患者さんのケアや診療の補助などの看護業務に関わります。法的には権限の違いがあり、主体的に判断する役割はありませんが、患者さんのケアを行う存在であることは正看護師と同じです。
それぞれの資格の特徴や役割を理解し、チームで協力し合うことが、より良い看護につながると考えています。

3.准看護師と正看護師の違い

准看護師と正看護師では、業務範囲だけでなく、資格の種類や取得方法、収入面などにも違いがあるため、それぞれの特徴を理解しておくことが大切です。ここでは、これらの観点から両者の違いを解説します。

資格の違い

准看護師は各都道府県で実施される試験に合格すると「都道府県知事」から免許が交付されますが、正看護師は国家試験に合格すると「厚生労働大臣」から免許が交付されます。

また、准看護師になるには、中学卒業以上で2年間(1,890時間以上)の准看護師課程を修了することが条件です。一方、正看護師になるには、高校卒業以上で3〜4年(3,000時間以上)の看護過程を修了する必要があります。

このように、両者は免許の交付元や受験資格の面で大きく異なるため、職業選択の際は、それぞれの違いを十分に理解しておきましょう。

資格取得ルートの違い

准看護師と正看護師の資格取得ルートにも、それぞれ違いがあります。以下の表のとおり、准看護師は最短2年の教育課程で受験資格を得られますが、正看護師は最低でも3年は必要です。なお、一部には高校から入学し5年間一貫で学ぶ看護師養成課程もあります。

【准看護師の資格取得ルート】

中学卒業以上が条件
中学卒業の場合 高校卒業の場合
准看護師養成所(2年) 准看護師養成所(2年)
高校衛生看護科(3年)
准看護師試験
准看護師免許取得

【正看護師の資格取得ルート】

高校卒業以上が条件
看護大学
(4年制)
看護短期大学
(3年制)
看護専門学校
(4年制)
看護専門学校
(3年制)
看護師国家試験
看護師免許取得

初任給・年収の違い

准看護師と正看護師は、初任給や年収にも違いがあります。以下の表は、日本看護協会と厚生労働省のデータを基にそれぞれを比較しました。

准看護師 正看護師
初任給 16万~17万円未満 20万~21万円未満
年収 417万円 519万円

上記のとおり、正看護師の方が初任給・年収ともに高い水準にあることが分かります。職業選択の際は、収入面だけでなく教育過程や働き方なども含めて総合的に判断しましょう。

※初任給に関して:初任給の割合がもっとも多かった金額を平均値として記載

※年収に関して:令和6年「賃金構造基本統計調査」より職員10人以上の施設におけるデータを基に、きまって支給する現金給与額に12を乗じ、年間賞与その他特別給与額を合算して算出

木下 知理

木下 知理

准看護師は国家資格ではないことから、医療行為そのものができないと誤解されがちですが、実際には医師や正看護師の指示のもとで医療行為に携わることができます。正看護師との大きな違いは、「自分で判断して行うことができない」という点です。
そのため、准看護師として臨床経験を積みながら学び、正看護師の資格取得を目指す方も少なくありません。

4.准看護師から正看護師になるには

准看護師から正看護師になるには、正看護師に必要な教育課程を修了し、看護師国家試験に合格した後に晴れて看護師免許を取得できます。受験資格を得るには、学歴や実務経験によって3つの方法があります。

准看護師
中卒の場合は実務経験3年以上(高卒は実務経験不要) 実務経験7年以上
看護専門学校・看護短期大学の全日制(2年) 看護専門学校の定時制(3年) 看護専門学校・看護短期大学の通信制(2年)
授業形態:平日昼間 授業形態:夜間や土日 授業形態:自宅学習(実習は登校または勤務先で行う)
看護師国家試験
看護師免許取得

このように、准看護師から正看護師を目指すには複数のルートがあるため、キャリアアップの際はこうした選択肢があることを知っておきましょう。

5.准看護師は廃止?いつから?今後の動向をチェック

昨今の医療の高度化に伴い、複雑化・多様化する医療現場では、状況に応じた対応力や判断力が必要不可欠です。このような現状を踏まえ、日本看護協会は、法務省に対して「准看護師制度を停止し、看護師養成に変更するよう強く要望した」と発表し、准看護師制度の廃止を求めています。

そもそも准看護師制度は、戦後の看護師不足に対応するために設けられましたが、時代の変化や医療水準の向上により、現代の医療現場では十分な対応が難しくなっています。

看護の質向上や准看護師のキャリア形成の観点からも制度の見直しを求められていますが、現時点で制度が廃止されるかどうかや、その時期は決まっていません。

6.まとめ

准看護師は、医師や看護師の指示のもと患者の療養上の世話や診療の補助を行う職業で、業務内容は正看護師とほぼ同じです。しかし、主体的な判断や看護計画の立案ができないなど権限に違いがあり、管理職への昇進や職場選びの面で制限が生じやすいという側面があります。という側面があります。

准看護師から正看護師になるには、学歴によって資格取得ルートが異なるため、キャリアアップを考える際は、こうした選択肢を把握しておきましょう。

自分に合ったキャリアを描くには、さまざまな医療現場の実態を知ることが大切です。まずは「マイナビ看護学生」に登録して、説明会・セミナーへの参加や病院検索を通じて視野を広げていきましょう。