准看護師から正看護師になるには?ルートや費用、目指すメリットを解説

准看護師から正看護師になるには?ルートや費用、目指すメリットを解説

准看護師から正看護師になるにはいくつかのルートがあり、それぞれ学習方法や学習期間が異なります。正看護師になれば、収入やキャリアの面で大きなメリットがあるため、准看護師から正看護師を目指すケースも多いです。

本記事では、准看護師から正看護師になるための方法やメリットを解説し、看護学生のみなさんが進路を考える際のポイントも紹介します。

監修者

荒井 麻弥

荒井 麻弥

昭和大学保健医療学部看護学科卒業。大学病院の集中治療室で急性期看護に従事したのち、産業保健師として労働者の健康管理やメンタルヘルス支援に携わる。離島医療や高齢者施設での勤務を経験し、急性期から慢性期、在宅支援、終末期ケアまで幅広い領域を担当。地域特性に応じた支援や多職種連携を重視し、一人ひとりの生活に合わせたケアを心がける。これまでの幅広い臨床経験をもとに、看護師や保健師を目指す方に役立つ情報を発信中。

1. 准看護師から正看護師になるには?

中学・高校卒業後に准看護師資格を取得し、働きながら正看護師を目指す方は少なくありません。また、准看護師として働く中で、より幅広い業務を担える正看護師へのステップアップを考える方もいます。

准看護師から正看護師になるには、次に紹介するいずれかのルートを経て看護師国家試験に合格し、看護師免許を取得する必要があります。

全日制(2年間)の看護師学校養成所で学ぶ

まず1つ目は、全日制(2年間)の看護師学校養成所で学ぶ方法です。日中に授業や実習へ通う必要があるため、准看護師として働きながらというのは難しいものの、短期間で正看護師資格の取得を目指せます。

このルートで正看護師を目指す場合、中卒の方は准看護師として3年以上の実務経験が必要です。

定時制(3年間)の看護師学校養成所で学ぶ

2つ目は、定時制(3年間)の看護師学校養成所で学ぶ方法です。1年次と2年次で授業の時間帯は異なることが多く、3年次は実習がメインとなります。

定時制には昼間定時制と夜間定時制があり、平日に授業のない日を設けている学校もあるため、場合によっては准看護師として働きながら通学することも可能です。

こちらのルートにおいても、中卒の方は3年以上の実務経験が求められます。

通信制(2年間)の看護師学校養成所で学ぶ

3つ目は、通信制(2年間)の看護師学校養成所で学ぶ方法です。通信教材による学習が中心ですが、見学実習や面接授業、事例検討などの際は登校が必要となります。

実際の登校日数は学校によって異なり、放送大学の科目を併用できるカリキュラムを取り入れている学校もあります。働きながら学ぶ場合は、登校の負担を減らすために自宅から通いやすい学校を選ぶことがポイントです。

なお、このルートで正看護師を目指す場合は、学歴に関わらず准看護師の実務経験が5年以上必要です。(令和8年4月1日から)

荒井 麻弥

荒井 麻弥

准看護師として現場経験を積んでから正看護師を目指す道は、決して遠回りではありません。働きながら進学する方法や通信制の活用など、さまざまな選択肢があります。
大切なのは「なぜ正看護師になりたいのか」という目的を明確にすることです。将来像を具体的に描き、自分に合った進学ルートを選択していきましょう。

2. 准看護師から正看護師になるための費用と支援制度

准看護師から正看護師を目指す際に必要となる費用の多くは、看護師学校養成所に関わるものです。入学金、授業料、施設整備費、教材費といった学費が中心で、通信制の場合は放送大学の入学金や授業料が加わることもあります。

さらに、ユニフォーム代、実習に必要な検査費、通学や実習先への交通費などが発生する可能性もあるため、ある程度まとまったお金を準備しておかなければなりません。

正看護師を目指すうえで費用に不安がある場合は、次のような支援制度を利用するのも一つの方法です。それぞれ、利用できる条件は異なるため、事前に内容を確認しておきましょう。

看護職員修学資金貸与事業

看護師を目指す学生に対して、自治体が修学資金を貸与する制度です。看護師不足の解消や地域医療の充実を目的としており、対象には准看護師から正看護師を目指して看護師養成所等に在学している方も含まれる場合があります。

多くの自治体では、卒業後にその自治体が指定する医療機関などで一定期間勤務すれば、修学資金の返還が全額免除される仕組みを設けています。つまり、実質的に学費や生活費の支援を受けながら正看護師を目指すことが可能です。

ただし、貸与額や返済条件は自治体によって異なりますので、利用したい方は居住する自治体の制度内容をしっかりチェックしておきましょう。

看護師学校養成所2年課程(通信制)進学者に対する奨学金

日本看護協会が創設した無利息の貸与型奨学金制度であり、看護師資格取得を目指し、看護師学校養成所2年課程(通信制)に進学する准看護師の方を対象としています。

貸与額は年額36万円または48万円、貸与期間は在学中の1年または2年間です。就業先や居住地などの条件はなく、他の奨学金との併用も可能ですが、利用にあたっては日本看護協会の会員になっている必要があります。

また、最終貸与年の翌年10月から、最長4年以内に貸与額を全額返還しなければなりません。

教育訓練給付制度(専門実践教育訓練)

働く人のスキルアップや資格取得を支援するために、国が教育訓練に関わる受講費用の一部を支給する制度です。

受講期間中は、支払った教育訓練費の最大50%(年間上限40万円)が支給され、さらに修了後1年以内に一定期間就業すれば、追加で20%(年間上限16万円)が支給されます。

対象者は、雇用保険に加入している在職中の方です。また、志望する看護師学校養成所が「教育訓練給付制度(専門実践教育訓練)」の対象として、厚生労働大臣の指定を受けている必要がありますので、入学前に対象であるかを確認しておかなければなりません。

3. 准看護師と正看護師の違い

そもそも、准看護師と正看護師とではどういった違いがあるのでしょうか。ここでは、仕事内容や給料、ワークライフバランスなどの観点から、それぞれの違いを解説します。

資格の違い

まず、准看護師は各都道府県知事が交付する免許です。准看護師養成所や高等学校衛生看護科で所定の課程を修了し、准看護師試験に合格することで准看護師免許を得ることができます。

一方、正看護師は厚生労働大臣が交付する国家資格です。4年制大学や3年制看護師養成所などで必須課程を修了した後、看護師国家試験に合格することで、正看護師資格を得られます。

仕事内容の違い

准看護師は、医師や正看護師の指示のもとで業務を行わなければならないため、診療の補助・生活援助が中心となり、仕事の範囲はやや限られます。

一方、正看護師は患者の状態を観察して必要なケアを考え、自分の判断で看護を実施することができます。医師の指示に従うだけでなく、チーム医療の一員として中心的な役割を担う存在です。

人数の違い

令和6年の厚生労働省「衛生行政報告例」によると、就業中の看護師のうち正看護師は約136万人、准看護師は約23万人と正看護師が大多数を占めています。また、准看護師は40代以上の比率が87.5%と高く、若い世代では正看護師が圧倒的に多い傾向です。

合計
正看護師 118,068人 1,245,074人 1,363,142人
准看護師 17,691人 215,331人 233,022人

初任給・年収の違い

令和4年に公表された日本看護協会の「准看護師の業務に関する実態調査報告書」によると、正看護師と准看護師の初任給には約3万円の差があります。

また、厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」より平均年収を算出したところ、正看護師の方が約86万円ほど高い結果となりました。

平均初任給 平均年収(※)
准看護師 172,923円 3,924,500円
正看護師 202,861円 4,790,200円

※月額(所定内給与額)に12を乗じ、年間賞与その他特別給与を加算して算出

ワークライフバランスの違い

准看護師は医療行為や判断の範囲が限定されており、正看護師ほど業務の幅が広くありません。そのため、パート勤務や日勤のみの勤務など、勤務時間が安定した働き方を選びやすい傾向にあります。家事や子育てとの両立を優先したい人にとって、勤務時間や勤務形態の自由度は非常に重要です。

准看護師は正看護師と比べてキャリアの幅は限定されるものの、家庭と仕事のバランスを保てる職種として、あえて准看護師で働く選択をする人も少なくありません。

荒井 麻弥

荒井 麻弥

准看護師と正看護師の違いは、資格の位置づけや業務範囲、責任の重さなど様々です。名称の違いだけでなく、キャリアの広がりや判断権限にも差があります。自分がどのように働きたいのかを考えるとどちらの仕事が自分に向いているのかわかりやすくなるでしょう。

4. 准看護師から正看護師になるメリット

准看護師から正看護師になると、どういったメリットを享受できるのでしょうか。ここでは、収入アップとキャリアの広がりという2つのメリットについて解説します。

収入がアップする

上述したように、正看護師は業務の範囲が広がり責任が増える分、年収も上がりやすい傾向です。また、准看護師と正看護師の仕事内容が大きく変わらない職場でも、正看護師の基本給の方が高かったり、資格手当が加算されていたりするケースがあります。

こうした給与差は、生涯年収に大きな影響を与えるため、将来のライフプランを考えるうえで安定した収入を重視したい方には、正看護師を目指す道が適しています。

キャリアの幅が広がる

正看護師になると権限の幅が広がり、より専門性の高い医療にも関われるようになります。結果として、主任や師長などの管理職を目指せるほか、認定看護師や専門看護師などの上位資格にも挑戦でき、キャリアの選択肢が大きく広がります。

准看護師では制限のあった働き方も、正看護師になることで選べる道が増え、自分が描きたいキャリアプランを実現しやすくなる点が大きなメリットです。

荒井 麻弥

荒井 麻弥

正看護師になることで、給与面や昇進の可能性、活躍できるフィールドが広がります。また、専門性を高めやすく、管理職や認定看護師などへの道も開かれます。ただし、進学には時間や費用の負担も伴います。メリットと負担を天秤にかけながら、自身のライフステージに合った選択を考えることが大切です。

5. 准看護師と正看護師のどちらを目指すべき?

ここからは、准看護師と正看護師のどちらを目指すべきか悩んだ際の考え方を解説します。将来の選択に迷った際のヒントにしてください。

「将来どうなりたいか」を軸に考える

准看護師と正看護師では、任される業務の範囲や将来のキャリアパスが異なるため、まずは「将来どうなりたいか」を基準に選ぶことが大切です。

例えば、「専門性を伸ばしたい」「リーダー的な役割を担いたい」「病院以外の現場にも挑戦したい」と考えているなら、正看護師を目指す方が将来の選択肢は広がります。

一方で、「家庭との両立を優先したい」「患者さんへの基本的なケアを中心に働きたい」といった希望があるなら、准看護師という道を選択した方が満足度は高くなるかもしれません。

学費・学習時間・生涯年収などを総合的に比較する

准看護師の免許は最短2年で取得でき、正看護師になるよりも学費を抑えられるため、「早く働き始めたい」「できるだけ費用負担を少なくしたい」という方にとっては魅力的な選択肢です。

ただし、長期的にみると正看護師と比べて生涯年収は低くなることが多く、資格の取りやすさだけで決めてしまうと、働き始めてから後悔する場合もあります。

進路を決める際は、短期的なメリットだけでなく将来得られる収入やキャリアの広がりなども含めて、総合的に判断することが大切です。

荒井 麻弥

荒井 麻弥

どちらを目指すべきかに正解はありません。早く現場で働きたい人、将来的に幅広いキャリアを築きたい人など、目指す方向によって最適な選択は異なります。大切なのは、周囲の意見だけで決めるのではなく、自分の価値観や将来設計を軸に考えることです。

6. まとめ

准看護師から正看護師を目指すには、全日制・定時制・通信制のいずれかの看護師学校養成所に進学し、所定のカリキュラムを修了したうえで、正看護師国家試験に合格する必要があります。

まとまった費用や学習時間は必要ですが、正看護師になることで収入アップやキャリアの幅が広がるなどのメリットが得られます。

将来、准看護師と正看護師のどちらを目指すべきか迷っている方は、資格の違いを十分理解したうえで、自分の目指す働き方が実現できるかどうかを見極めることが大切です。

これらの情報を正確に把握するには、病院が実施する見学会や説明会に参加し、現場の声を直接確認するのがおすすめです。看護学生向けの情報サイトであるマイナビ看護学生に登録すれば、最新の見学会・説明会情報をチェックできますので、積極的に活用して自分に合った職場を見つけましょう。