
わたしが選んだ道
~現役ナースリアルキャリア報告~
- わたしが選んだ道TOP
- vol.10 家庭との両立をしながらのキャリア
- vol.09 白衣を着ない森のナースとして生きる
- vol.08 患者さんの人生と共に歩む〜訪問看護師
- vol.07 CNSとして働くということ
- vol.06 新天地、新聞社での挑戦
- vol.05 出産・育休を経て復帰
- vol.04 アメリカへ留学
- vol.03 総合病院での経験から特定のケアに興味を持ち転職
- vol.02 大規模病院に就職
- vol.01 はじめに:看護師としてどう生きるか、考えたことはありますか?
働き方を考える
vol.02
大規模病院に就職
がん専門病院勤務 / 2年目 秋元さやかさん(仮名)の例
先輩の例から看護師のキャリアを考えてみよう!
今回は卒業後大規模な病院に就職した秋元さんのケースを紹介します。
入職してみて1年が経過したが…。
私は頭頚部のがん患者さんが多く入院している病棟に勤務し、この春2年目を迎えました。入職前から「私はできが悪い…」とわかっていましたが、ここまでダメだとは思わなかったですね(笑)。AMの報告やPMの申し送りなど、プリセプターと約束した時間に患者さんの状態報告ができず、「何やっていたの?」と怒られたり、先輩たちから「あの子はいつもナースステーションにいない」と言われたり。
バイタルサインや点滴交換といった1つひとつの手技に時間がかかるうえ、患者さんとの会話をなかなか終えられず、病室にいる時間が長くなってしまうんです。1年たって少しずつできることが増えてきていますが、失敗の連続でインシデントレポートを何枚書いたことか…。プリセプターとも相性が合わず、本当に苦労しました。同期4人が大きな支えで、もし彼女たちがいなかったら辞めていたと思います。4月から新人さんが入ってきましたが、私が怒られる日々はまだ終わりそうにありません。

「同期」という点では、研修を通じてほかの病棟で働く同期の看護師と仲良くなれたことが強みですね。「たくさんの同期と交流する」という研修の目的はしっかり達成できていると思います。お互い休みの日に一緒にごはんを食べたり、おしゃべりしたりして楽しんでいます。
なぜ「がん専門病院」だったか?秋元さんの就職・病院選びの基準
この分野で働きたいと思ったのは、実習で頭頚部のがん患者さんを受け持ったことがきっかけです。学生で知識も技術もない私は、実習中患者さんに何もできなかったんです。頭頚部はほかの部位と違って服で隠せない部分で、手術によっては顔が変わってしまったり、声が出なくなってしまったりもしますから、看護が関わる部分が大きい分野だと感じています。いろいろな病院をみてみたいという思いから、大学付属の病院には就職しませんでした。

就職の条件として、以下の3つを挙げて、説明会や見学会に参加しました。
- 頭頚部外科があること
- がん看護にたずさわれること
- 認定看護師や専門看護師が活躍していること
病院選びでは、以下の4つを基準にしました。
- 3交代でないこと
- お給料
- 病院の体制
- 評判
最初からがん専門病院で働くことに迷いもあったのですが、「いずれがん看護をやりたいという目標があるのなら、最初からやってみては?」というアドバイスに後押しされ今の病院に決めました。
働き始めて感じたことは、「離職率は嘘をつかない」ということです。離職率が低い病院をみてみるといい条件が揃っているなと思います。これも病院選びの指標の1つになるかもしれません。
秋元さんのこれからのキャリアビジョン
今のところ「5年働いてから大学院に進学し、CNSになりまた臨床に戻って、いずれは実家に戻る」というプランを考えています。もちろんこの通りにいくかはわかりませんが…。でもCNSになる・ならないに関係なく、大学院には行きたいです。患者さんとの関わり方や看護実践など、1回臨床から離れないと見えない部分があるはずなので、そこを掘り下げていきたいですね。まずは1人前の看護師目指して頑張ります!
こっそり今だから言える話
新人時代はプリセプターとの関係がうまくいかず、ずっと悩み続けました。仕事の手際が悪かったり、ケアがうまくできなかったりすると、「あなたが全部悪い」と頭ごなしに怒られたことをよく覚えています。なぜそうなったのかという経緯を聞いてくれなかったし、その後のフォローもありませんでした。改善策の提案もなくただただ自分を否定されるというのはつらいものです。「他の同期はできているのにあなた1人だけできていない」と指摘されたことも悔しかったですね。それは自分が1番よくわかっていることなのに…さらに突き落とす言葉を言われてとてもショックでした。
4月からプリセプターとして新人教育に携わることになっています。指導できるか不安は大きいですが、これまでの私自身の経験を踏まえて、プリセプティーに対しては「叱ることはあっても怒らない!」という姿勢で関わっていきたいですね。
秋元さんのキャリアからわかること
奮闘する2年目の秋元さんの姿はみなさんにとって年齢も近く想像しやすいかもしれませんね。秋元さんは多くの同級生が大学付属の病院を選択した中で、自身の将来像を考えながら病院選びをしました。最初にどんな病院で働くかは重要です。
必ずしも恵まれているとはいえない環境の中での勤務はつらい部分が多いと思います。そこで重要なのが同期の存在です。同期といっても成長するスピードがそれぞれ違いますから、時に自分より先をいく仲間がプレッシャーになってしまうこともあるでしょう。しかし、成長を競い合うよりも、共に苦難を乗り越えていく戦友として支えあう、そんな関係ができるといいですね。そこで築かれた絆は一生ものになりますよ。
高山真由子(看護師・保健師・看護ジャーナリスト)
看護短大・大学編入学を経て、早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了(ジャーナリズム修士)。病院、在宅、行政・学校・産業保健、教育機関、イベント救護など、幅広い臨床経験を持つ。並行して看護ライターとしての活動も広げ、ダンス留学、自転車ロードレース選手生活も経験。現在は医療系web編集者として、メディアの立場から看護の発展にたずさわる1児の母。
