わたしが選んだ道~現役ナースリアルキャリア報告~

vol.05
出産・育休を経て復帰

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私立大学病院消化器病棟勤務 / 30歳 大島恵さん(仮名)の例

先輩の例から看護師のキャリアを考えてみよう!
今回は臨床6年目で出産後、育児休暇から復帰した大島さんのケースを紹介します。

就職。結婚。臨床6年目で出産

都内の専門学校を卒業し、「救命で働きたい!」との思いで救命救急センターのある病院に就職し、念願叶って配属されました。就職の際、結婚や子育てといった将来のことについては考えていなかったですね。ただ、大きなライフベントが起こっても「仕事を辞める」という選択肢は私の中になかったので、「なんとかなるだろう」という思いを持っていました。

その後結婚し、臨床6年目で妊娠したのですが、救命救急センターのスタッフはほとんどが独身。子供がいても大きかったりで、残念ながら仕事との両立や出産に関してロールモデルになるスタッフはいませんでした。でも、同じ時期にナースの妊娠が4人続いて、妊婦仲間がいたのが支えになりましたね。それまで「妊娠したらやめる」「子供がいるナースは外来に異動」といった空気があったのですが、そのような考え方はやめようという転換期にあったことが追い風になったと思います。

就職 結婚 出産

妊娠中はつわりがまったくなかったので、身体的には楽に過ごせましたね。勤務は深夜勤をはずしてもらい、日勤と準夜勤の2つのシフトで働きました。実は、つらかったのは産休に入ってからだったんです。それまで「何もしない」をしてこなかった私は、出産までの6週間、何をして過ごせばいいのか戸惑いました。

育児休暇から復帰

産後は育児休暇を取得して、約1年半後に復帰しました。休んでいる間は復帰することへの不安よりも、病院とつながることができない疎外感を感じることが多かったですね。復帰後は救命救急ではなく一般病棟で働くことが決まっていたので、その不安はありました。6年間救命救急センターでキャリアを積んで、そろそろ次のステップに行くころかな、そんな時期でもあったんです。不安いっぱいでいざ復帰したら、同期が8人もいて一気に不安が解消されたのですが…。若手の看護師が中心であるほかの病棟と較べて、層の厚い職場だな・恵まれているなと感じます。

仕事と子育ての両立

仕事と子育てを両立する生活が始まって、よりいっそうメリハリがつくようになりました。保育園に子供のお迎え、家事、と家では仕事のことを考える余裕はまったくないので、勤務時間にすべてを解決できるよう心がけています。そしてもう1つ大切なのが「100%でやらない」、つまり頑張りすぎないこと。残業できないことで周りには申し訳ないと思いますが、看護師長の理解と協力のおかげで楽しく仕事できています。病棟にもう1人子育て中のナースがいることが心強いですね。もちろん、夫の理解と協力も不可欠です。ありがたいことに「こんなに協力的な夫はほかにいない」というくらい一緒に子育てに参加してくれているので、とても恵まれた環境で両立が維持できています。

仕事と子育てのメリハリのある生活!

もちろん大変な面も少なくありません。でも「仕事と家庭どちらも大切にできるから絶対に働いたほうがいい!」というのが私のスタンス。子供に働く姿を見てもらえると仕事のモチベーションが上がりますね。子供って本当によく見ているんですよ。また、人間関係が職場だけではなくなったことも大きいです。それまで病棟の世界がすべてでしたが、今はどんどん広がっていくことを感じます。「仕事がしたい!」という気持ちを胸に、これからも両立を続けていきます。

大島さんのキャリアからわかること

忙しいはずなのにキラキラ輝く瞳は、仕事と家庭どちらも楽しんでいることを教えてくれます。妊娠・出産・子育てがまったくマイナス要素にならず、どんどんプラスに変えていく力を持っていますね。女性であれば誰もが考える、出産・子育てをめぐるまざまな選択。学生のみなさんにとっても、きっとそう遠い話ではありませんよ。

最近「ワークライフバランス」という言葉をよく耳にするようになりました。「仕事か子育てか」ではなく「仕事も子育ても」が可能な社会に向けて、変化が起こり始めています。

ずっと仕事を続けたい」と思っている方も多いはず。働きやすさ・サポートの充実・勤務スタイルの多様性といった視点から病院をみてみると、出産・育児に限らず将来のキャリアを考える際、多用な選択ができるのではないでしょうか。説明会や見学で、どんな働き方をしている先輩ナースがいるか聞いてみると、何かヒントが得られるかもしれませんね。

インタビュアー

高山真由子(看護師・保健師・看護ジャーナリスト)

看護短大・大学編入学を経て、早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了(ジャーナリズム修士)。病院、在宅、行政・学校・産業保健、教育機関、イベント救護など、幅広い臨床経験を持つ。並行して看護ライターとしての活動も広げ、ダンス留学、自転車ロードレース選手生活も経験。現在は医療系web編集者として、メディアの立場から看護の発展にたずさわる1児の母。

高山真由子(看護師・保健師・看護ジャーナリスト)

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