看護職の仕事図鑑
働き方を考える
外来
日常と非日常の接点となる「医療施設の表玄関」
外来ってどんな仕事?
外来は入院していない患者さんの診療を行う場所であり、一般的には診療科別に設けられています。とても多くの患者さんが押し寄せるため、俗に「3分診療」といわれる、過度にスピードを重視した医療が行われてきた現実もあります。混雑しがちな大病院を紹介状なしで受診した患者さんには一定額の負担金を求める制度も導入されましたが、根本的な状況改善には至っていないようです。
外来勤務の看護師の業務内容としては、医師の診療介助や患者さんに対する生活指導のほか、受診の受付けや電話対応など、いわゆる「患者さんをさばく」ことが求められ、多忙な現場のなかで効率的に動く必要があります。このときも、当然ながらケアマインドをもって患者さんに配慮し続けなければなりません。接する機会が限られた外来患者さんへの生活指導は、外来看護師の腕の見せどころです。
外来の性格上、原則として夜勤が発生することはなく、日曜日や祝日も休みとなるため、ワークライフバランスを保ちやすい職場だといえます。そのため、子育て中のママさんナースの復帰先として人気です。また、高度な手技を求められることが少なく、長期ブランクがあった潜在看護師の復帰先としても適しています。一方で、新卒の看護師が配属されることはほとんどないでしょう。
近年は、より対象を細分化して専門的な診療・ケアを提供する「専門外来」がトレンドになっています。例えば、花粉症外来、ペースメーカー外来、ものわすれ外来(認知症診療を行う)、ペインクリニック(疼痛治療を行う)などで、なかにはフットケア外来のように看護師が中心となって対応する専門外来もあります。
実際に外来で働いている人の声
糖尿病外来で患者さんの生活指導をする機会が多いのですが、その生活を常に見守っているわけにはいかないという条件下で指導内容を守ってもらうためにはどのような伝え方をすべきなのか、奥が深いテーマだと思います。
(39歳、大学病院勤務)
多少の残業はありますが、家族で夕飯の食卓を囲める日のほうが多く、プライベートも充実しています。育児に手がかかるうちは外来勤務を続けるつもりです。
(33歳、市中病院勤務)
外来診療予約システムが導入されて以来、比較的スムーズに業務が回るようになり、働く側にとってもストレスがなくなりました。
(42歳、クリニック勤務)
長い待ち時間にいら立った患者さんからクレームを言われることもあり、平謝りするか笑顔で乗り切るか。患者さんの気持ちもよくわかるのですが……。
(31歳、クリニック勤務)
病棟勤務のときと比べて患者さんと深く接する機会があまりないので、看護師として少し寂しさを感じることもあります。
(45歳、市中病院勤務)
外来に向いている人
- 患者さんにとって非日常である医療施設へ迎え入れるホスピタリティーにあふれた人
- 効率的にテキパキと動き、スムーズに事を進めることが好きな人
- ワークライフバランスを確保して、育児や介護と両立させたい人