看護職の仕事図鑑

災害現場

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有事の際に多数の命を救う「がれきの下の医療」

災害現場ってどんな仕事?

災害現場のイメージ

地震や津波、風水害、竜巻、噴火などの自然災害だけでなく、交通事故、鉄道事故、火災、化学物質や放射性物質への曝露、テロなどの人為的災害を含め、私たちは多くの困難に見舞われます。通常の救急医療体制では手に負えないほどの災害に備えて、事態に即応できる災害医療体制を平時から整えておかなければなりません。
大規模災害時の医療は、平常時のそれとは大きく異なります。一人でも多くの人を救命するため、見込みがある人を優先して救護・搬送し、そうではない人は後回しにせざるを得ないという厳しい状況もあるでしょう。災害急性期を脱した後も、長引く避難所生活で心身の健康を崩した被災者などに対して、継続的な医療支援が必要になります。
看護師が災害現場で活躍するための道筋はいくつかありますが、その一つが日本看護協会による災害支援ナース派遣です。災害支援ナースとして登録するためには、5年以上の実務経験や研修の受講といった要件をクリアしなければなりません。2011年3月の東日本大震災では、発災直後から5月中旬までの間に、のべ3770人の災害支援ナースが活動したそうです。
災害派遣医療チームであるDMATの一員となる道もあります。指定機関ごとに医師・看護師・業務調整員など3~5人程度のチームが編成され、要請を受けて災害急性期(おおむね48時間以内)に現場急行できる機動性を有していることが特徴です。
災害大国ともいわれる日本において、有事の際の医療体制を整えておくことはとても重要です。大変厳しい現場ではありますが、そこで活躍できる技量を備えた看護師は、今後も絶対に必要とされる存在となるはずです。

実際に災害現場で働いている人の声

Good

組織的な支援で多くの傷付いた人を救いたいという気持ちからDMATの一員に。「その日」に備えて、院内外のさまざまな訓練に参加しています。
(36歳、大学病院勤務)

1分1秒を争う災害現場では、誰かに質問したり調べたりしている時間がないことも。プロとして自分を高め続けられる人にとっては、やりがいのある任務だと思います。
(37歳、大学病院勤務)

発災直後だけでなく「少し落ち着いてから」必要とされる看護もあります。長引く避難所生活での災害関連死を防ぐためにも、多くの看護師に災害看護を学んでほしいです。
(40歳、市中病院勤務)

No Good

できるだけ早く現地へ飛び込みたい気持ちがあっても、人員配置や医療圏の問題ですぐには出動できず、歯がゆい思いをすることもあります。
(32歳、大学病院勤務)

人を助けたいという気持ちは大切ですが、自身の心のケアも忘れないで。過酷な被災地での経験から、落ち着いてきたころにバーンアウトしてしまった仲間もいます。
(29歳、市中病院勤務)

災害現場に向いている人

  • 過酷な状況でも冷静さを保ち、最善を尽くすことができる精神力を持つ
  • 医療班の一員として統制を保ちつつ、異なる職種の専門家とも連携して動ける人
  • 日ごろから鍛錬を重ね、いつ来るかわからない災害に対して準備し続けられる

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