看護職の仕事図鑑

緩和ケア病棟

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死と向き合う患者に寄り添い その心身をそっと支える

緩和ケア病棟ってどんな仕事?

緩和ケア病棟のイメージ

緩和ケアは、生命を脅かすがんのような疾患を抱える患者さんに対して、4つの苦痛(身体的、精神的、社会的、スピリチュアル)を緩和してQOLを改善することを目的としています。
各施設の方針にもよりますが、基本的に緩和ケア病棟では「治癒」を目的とした医療行為を積極的には行わず、痛みや不快な症状を和らげるために必要なケアを中心に提供していきます。具体的には、疼痛コントロール、栄養管理、褥瘡の予防やケア、胸水や腹水の管理など、患者さんの様子を見ながら日々の看護を実施します。痛みの程度によっては、薬物治療の一環として医療用麻薬を使用することもあります。患者さんが最期を迎えたときは、死後のケアも行います。
とりわけチーム医療が重視されることも、緩和ケア病棟の特徴です。変化していく患者さんの状態やニーズに合わせて、医師や看護師のほか、薬剤師、管理栄養士、臨床心理士、医療ソーシャルワーカー、介護職などの多職種でカンファレンスを重ね、どのような方針でケアすることが最善か検討していきます。
緩和ケア病棟では「できるだけその人らしい、元気だったときに近い生活」を実現することが意識されます。そのためには、患者さんや家族が適切に病状を理解できるよう説明し、よりよい意思決定ができるようサポートすることが大切です。また、大きな苦しみを抱えている患者さんの家族もケアの対象者です。看病の方法や患者さんとの関わり方を指導するとともに、感情を表出できる場を提供していきます。残された時間を心穏やかに過ごせるようにするため、緩和ケア病棟の看護師にできることは少なくありません。

実際に緩和ケア病棟で働いている人の声

Good

以前は急性期病棟で働いていたのですが、緩和ケア病棟に異動してからは、ゆっくりと時間を取って一人ひとりの患者さんと向き合えることに充実感を覚えています。私はこういう看護がしたかったのだなあ、と。
(36歳、市中病院勤務)

不仲だというご家族へ連絡して患者さんの最期を見届けていただき、「あなたのおかげで悔いのないお別れができました」と言葉をかけられたとき、ここで働いていてよかったと思いました。
(29歳、がんセンター勤務)

終末期患者さんのケアでは、看護師であるということを超えて、私という人間そのものの力量が試されているような気がします。
(40歳、ホスピス勤務)

No Good

死と向き合うのは並大抵のことではありません。患者さんを支えるはずの医療者が、精神科医療のサポートを必要とすることもあります。
(38歳、がんセンター勤務)

緩和ケア病棟では「担当した患者さんが元気になって退院していく」という経験がほとんどできません。虚しさにとらわれて辞めていった同僚もいました。
(32歳、市中病院勤務)

緩和ケア病棟に向いている人

  • 一人ひとり異なる「その人らしい最期」を尊重した看護を実践したい人
  • 多大なストレスを抱える患者さんや家族と向き合い、すべてを包み込むようなケアができる人
  • 患者さんが歩んできた人生に思いを馳せ、「最終コーナー」を伴走する気持ちのある人

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